1 途中答案がだめな理由
司法試験では、途中答案というのは、ときに大きく点数を凹ませるので、合否に大きな影響を与えることがあります。
これは、なぜでしょうか。
それは、最後の問題で発生するある現象のためです。
司法試験では、最後の問題に難易度の低い問題が配置されることがあります。難易度が低い問題は、時間さえあれば多くの人が適切に処理できます。しかし、時間が切迫された状況では、往々にしていつもできる問題も、十分に解答できないということが起こります。
最後の問題が簡単なのに、できない人が多いということは、裏を返せば、最後の問題はそれなりの論述ができていれば、浮き上がってくるということを意味します。なので、答案の戦略をしっかりと考えている人は、最後の問題に多くの時間と労力を割いてきます。なので、最後の問題はできる人は、それなりにできるし、できない人は数行になってしまうという現象が生じて、さらに大きな点差がついてくるのです。
2途中答案防止のコツ
このような状況を踏まえると、司法試験に合格したいならば、最後の問題を厚く書き、途中答案を絶対しないという姿勢を徹底する必要があります。途中答案を絶対にせず、バランスの良い答案を書くことは、できる人はなぜか自然にできていたりするのですが、多くの人は、訓練を通して、できるようになるものだと思います。
僕も自然にできるタイプではなかったので、途中答案をしないような技術を身に付けるために、答練で訓練していました。
途中答案をしないためのコツについて、これから少し説明してみたいと思います。
途中答案は、自分なりの工夫を複合的に用いることによって、何とか防止できるものだと思っているので、途中答案を防止するために役に経ちそうな工夫は、一つといわず何個も試してみるべきだと思います。
(1) 1枚当たりを書く時間、自分の書ける答案の枚数をしっかりと把握する
答案に何を書くかは、自分がかける答案の分量に大きく左右されます。配点比率に応じて、答案を書く分量を設問ごとに調整するのですが、あらかじめ自分の書ける量や、1枚当たりの時間を把握していないと答案は書けません。
(2) 時間の管理を徹底する。
答案を書くときは、いつも自分の目線に、時計の時間が入るようにして、時間を忘れて、答案を作ることがないように工夫しました。誰しも、答案を書くのに夢中になっていて、気が付いたら時間がたっていたということはあると思います。そういう現象は、時計から目を切っている状況で起こることを発見したので、時計を答案の横において、いつも視線に入れるようにしました。
(3) 設問1をあっさり書くように日ごろから意識する。
設問1は、なぜか必要以上に書きすぎることが多かったので、気持ち要求される配点比率よりも、少なめに書くように、分量を答案の書き始めの時点で調節していました。たとえば、1枚くらいで書くべき問題であれば、0.8枚くらいに収めるように初めの時点で調整します。結果として書きすぎても、何とか1枚くらいに収まります。
(4) 予定外に時間がかかったらこまめに、答案作成のプランを修正する。
試験では、予想外のことが起こります。いつも5枚書ける人が、答案構成で時間を食ったりして、4枚くらいしかかけないことも起こり得ます。この場合に、書き始める時点で、5枚書くつもりのままだと、最後の1枚が書けないことになります。なので、答案を書き始める際には、残り時間で何枚答案を書けるか考える必要があります。
また、答案を書いていて、思いのほか筆が進まないこともあります。そういう場合は、答案作成の途中で、配点比率に従って、あとの問題で書く分量を柔軟に調整するべきです。
(5) あきらめをよくする 補論を作るくらいの気持ちを持つ
前述したように、最後の問題は、できる人とできない人の差つきやすいです。しかも、大したことを書いていなくても点数が入りやすいので、前半の問題よりも得点効率が高いのです。なので、例えば3つ設問がある問題で、中間の問題を書いている際、時間がなくなくなったら、場合によっては中間の問題を強引に切り上げてでも、最後の問題に移るべきです。中間の問題で、書き足りない部分があるのなら、最後の問題を一通り仕上げてから、最後に補論を設けるくらいの意識でよいと思います。
(6)個人的なコツ① 時間・分量の管理を工程表を作って管理
僕は、自分なりに、分量と時間が一目でわかる表を試験中に作っていました。表に時間を書きこむことで、自分が計画通りに進んでいるか、何分遅れているのか一目でわかります。また、分量も図になっているので、答案全体のイメージが一目でわかり、時間分量管理をしやすくなりました。

(7)答案作成段階での中間点を設定する
答案構成の時間は、30分で済むこともあるし、50分かかったりすることもあります。僕は、答案構成にかかった時間ごとに、答案作成に何分使え、その答案構成の時間の半分の時間を把握するようにしていました。たとえば答案構成に40分、答案作成の時間に80とるとして、6枚答案を書くとするならば、80分経過時点で3枚は書き終えていなければなりません。それができていないなら、答案作成の計画を修正する必要が出てきます。僕は、記述の中間地点の段階で、自分の状況を1度見直して、後何分で、どの程度の記述をするべきかを見直していました。
また、中間地点を作った方が、「ここまでに〇枚書く!」という目標が明確になって、良かったですし、前半でうまく書けなくても、後半頑張ればよいと精神衛生を切り替えるポイントになりました。前半・後半があった方が、精神衛生的によかったと思います。司法試験は、答案作成時のメンタルがとても重要なので、精神衛生を保つ工夫も重要になってきます。