1 はじめに
そろそろ、司法試験の成績通知が全国に行きわたっているようですね。僕は2回落ちているので、2回敗因分析をしたことになります。そこで今回結果に結びついた2回目の敗因分析の方法と、1回目の敗因分析の失敗点を紹介していきたいと思います。かなり長文化しているので、2回に分けて検討していきたいと思います。
なお、僕が以下にのべる方法は、大江ゆかりさんのブログ(http://ameblo.jp/for-leaf-clovers/entry-11923245181.html)に掲載されていた方法をまねたものです。
2 再現答案をそろえる。
まず、やることは点数のある再現答案の収集です。アメブロ上や、某巨大掲示板にリンクが貼ってあるもの、友人なのどの知り合いの合格者から点数付きでもらいます。ここでは、大体、上位(60点程度)・中位(50点程度)・下位(45点)程度の再現答案を集めればよいと思います。二けたくらいになると、もはや真似できないレベルになっているので、300番くらいが、通常人にはちょうどいいのではないでしょうか。
これらの答案に加えて、できれば自分の再現答案を準備します。もし、なければ仕方ないので、構成メモくらいあればよういのではないでしょうか。
3 目標点の設定
次にやるのは、目標点の設定です。
司法試験は、短答が2000番程度なら、47点程度で合格する試験であるといわれています。しかし、だからといって47点を目指すのは誤りです。なぜなら、47点を目指すと、47点が上限になってしまい、1科目でも失敗すると落ちるからです。よく50点を目指すといわれます。全科目50点、合計400点をとれば、現在の司法試験では少なくとも不合格になることはありません。したがって、この目標自体は間違ったものではありません。ただし、ここでいう「目指す」とは50点を割らないという意味に理解するべきであって、50点取ればよいということではないとことに注意するべきです。「目指す」とは、多少崩れても、50点程度に収まるという意味に理解することになります。
試験というは水物なので、どんな人でも問題によって一定の幅が生じてしまいます。そこで、僕としては特定の点数で目標を考えるのではなく、幅をもって目標を設定していました。僕が50点という点数を取るために、設定した得点領域は、50点~60点の幅に収まる答案をコンスタントに書くことができるような力を付けることでした。以下に述べるように、僕は上位合格を捨てたので、61点以上をとるために必要な努力は一切捨てました。そして、マックス60点を取るための努力と、50点を割らないための努力をしていくことになったのです。
~Soch 上位合格やめるってよ~
僕は、2回目の受験の時は、どうせなら上位を目指すつもりで勉強していました。当時のブログのタイトルには、「上位合格を目指す」みたいな文字を入れていました。しかし、僕は、2回目に落ちた時点で、本当にもう受験が嫌になっていました。そこで、2回目に落ちた時点で上位合格しようと思う気持ちは一切なくなりました。受験を続けること自体本当に苦しかったし、とにかく受からなければ意味がないと思ったからです。もはや、上位合格を目指すのをやめたので、ブログのタイトルから「上位合格」の文字は削除しました。しかし、この意識の変化が、自分の勉強法の合理化を促し、勉強の効率化に寄与したと思っています。上位合格を目指すのをやめたことによって、目標点の設定においても、60点を超える答案を書くための努力をしなくなりました。1割の人しか書けない応用的な部分はすっぱりと捨てて、5割の人が書く事項を絶対に落とさない勉強にシフトすることになりました。この意識転換がより基本を重視した勉強を徹底させたように思います。
結果として、設定した目標は300番程度だったと思うのですが、この目標を設定したのは、最低限落ちないという中間目標を作るためであって、上位で合格したいという気持ちはほとんどなくなっていたのです。
4 何ができれば目標点に達するのか考える
前述したように、科目によって違いはしますが、大体50~60点の幅に点数が収まることを目指しました。ここで、ようやく再現答案が登場します。とにかく、自分の答案と、目標答案である60点程度の答案を比べました。その際には、他の中位答案、下位答案を使ってどこに配点があったのかを、出題趣旨と照らし合わせながら、探していきます。3種類の答案を比べていくと、どこに配点があって差がついていくか少しずつ分かってきます。こうして、点数の所在を把握したうえで、自分の答案をどう改良すれば、60点をとれたのかをかなり真剣に考えました。これは、科目ごとの答案の状況によって異なりました。
僕の場合、民事系であれば、僕は民訴の最後の4割分の問題が実質的にほぼ白紙な状態だったのと、会社法で必要なこととを書ききれなかったことがそれぞれ60点に行かなかった原因でした(なお、民法は55点程度は取れていたように思います)。これは論述のバランスの問題だったので、最後まで書ききる事務処理能力をしっかり付ける必要があるというのが分析の方向性でした。
一方で、刑事系は、少し厄介でした。僕の答案は、一応出題趣旨に載っていることについては、ほぼ触れていたにもかかわらず、94点程度と余り伸びていませんでした。おそらく、出題趣旨のとの整合度にだけ見れば、60点答案とあまり変わらないと思いました。そこで、
目標答案と自分の答案をかなり丁寧に読み比べた結果、論点の論述自体の精度が目標答案よりも全体的に少しずつ低いことによって、じわじわと差がついていたことがわかりました。この欠点は、かなり根本的な変更が必要な欠点だったので、解釈論の書き方の精度や、事実の適示、あてはめの全体ついて、ローの刑法や刑訴の先生や、LECの工藤先生のゼミに入って、徹底的にたたき直しました。
公法については、行政法で途中答案をしたこと以外は、67点という足切ぎりぎりの点数をくらった理由が実は年内の時点ではわからず、年明けに弁護士の先輩に憲法において出題者予定している採点ポイントを外しているという指摘を受けるまでは正直欠点があまり良くわかりませんでした。
僕の公法のように、年内の敗因分析を頑張っても、結局敗因が見えないこともあります。ですので、大まかな敗因分析を終了した後も、ひたすら突っ走るのではなく、人の指摘を受けるなどして、敗因を探求していくべきだと思います。
5 欠点を埋める方法を考えて実行する
上記のように各科目の欠点が把握できたので、どうやって弱点を解決するのか考えました。とりあえず、実質途中答案を出してしまったので、バランスのよい答案を書くための事務処理能力を鍛えることが不可欠でしたので、答練を通して事務処理上の欠点を補正していくことにしました(具体的にどうしたのかは、以前の記事ににて)。また、刑事系で制度の高い解釈論とあてはめを展開するには、5枚程度の筆力ではどうしても不可能であるという結論に至ったので、徹底的に筆力を高める努力をすることにしました(努力の方法は後日の記事ににて)。
6 弱点に向かい合う
2回目の司法試験と今回について何が一番変わったのかといえば、弱点に向き合う姿勢だったように思います。1回目に落ちたときは、直前期に母親が亡くなっていたので、どうしても自分の実力が発揮できていないような気がしていました。そのため、なんとなく今までの方法のままでもそのまま勉強していれば受かるような気がして、敗因分析とその実行が中途半端になっていました。要するに甘えです。しかし、僕が1回目に落ちたのは、直前期に不慮の自体が生じたからではありません。勉強法そのものに欠陥があったからなのです。なので、その欠陥のある勉強法のままではなかなか受かりません。僕はそのことを見落としていたのです。
筆力不足が、点数の阻害要因であったことは、実は1回目落ちた時点で、うすうす気が付いていたのです。もちろん、それを改善する努力はしていました。年内にかなり答練のときに頑張って、筆力を増やそうと努力していたのです。しかし、なかなか治らないので、僕は4枚、5枚しか答案を書けないけれども、論述の質を改善することで点数を伸ばそうと思うに至りました。しかし、それは間違っていました。自分の弱点に負けただけだったのです。
2回目に落ちて、本当に失権してしまう瀬戸際に追い込まれて、ようやく僕は自分を変えきることができました。欠点が埋まるまで長い時間、信頼できるいろいろな先生について、教えてもらってようやく欠点が補正できたように思っています。
とにかく、自分の欠点に中途半端に向かい合っていると、何度でも落ちるのが司法試験なので、敗因分析及びその実行をという(いわゆるPDCAサイクルのCとAの部分)を浪人生は徹底する必要があるように思います。
次回は、敗因分析におけるその他の留意点について書きたいと思います。