①通常の勉強をする際のコツ




1 短答で必要とされる知識の質



短答で点数をとるためには、知識が必要です。知識あれば、試験中のテクニックとかを、ちまちま考えるまでもなく、自然に短答で点数を取ることができます。ただ、やみくもに知識が増えれば点数も増えるかといえばそんなこともありません。去年は、短答の作問をしていたから分かるのですが、作問する側としては、中途半端な知識を持っている人が間違える問題を意図的に作ります。うろ覚えの知識の人がなんとなく選びたくなるように肢を細工します。そうすると、中途半端な知識を増やすだけでは、短答の点数はあまり伸びません。また、短答式はご存知の通り、刑事・民事は時間が結構きついです。したがって、肢を見たときに反射的に正誤を判断できるようにならなければなりません。

トラップを回避し、スピーディーに問題を処理できるような、正確な知識を日ごろから増やす必要があります。

直前期であれば、条文を素読した記憶とかが結構試験中も残っていて、その記憶に基づいて肢を切れます。しかし、試験まで時間がある時期に勉強した知識は、脳に刷り込んで、長期記憶まで高めておかないと、本試験で思い出せず、使い物になりません。したがって、直前期に入る以前(試験ひと月前以前)の短答の勉強では、吐気がするレベルまで繰り返して、直前期に見直しをしなくても、思い出せる長期記憶にまで高めておく必要があります。


2 長期記憶まで知識を高めるコツ



結論から言えば、とにかく繰り返すことです。

僕の肌感覚ですが、短答の問題で間違えた知識は、一回間違えたくらいでは、試験で使える長期記憶になりません。

二回でもなりません。

三回でもなりません。

四回で、なんとかかんとか。。。。という感じです。
もちろん、知識の性質や、理解の程度にもよりますが。

僕の場合は、四回くらい間違えて、やっと身に付いた感じになります(☚記憶力弱いんで)。

つまり、四回繰り返すまでは、短答の点数は上がらないことになります。そうすると、三回とかでやめてしまうと、せっかく三回勉強したのに、点数が上がらないということになります。せっかく三回勉強したのに時間の無駄になってしまうということになります。選挙で、せっかくたくさん得票したのに、小選挙区で敗れたので、得票が死票になるみたいなものです。

たまに、同級生から短答のやっても伸びないんだけどどうしたらいい的なことを聞かれるのですが、よくよく話を聞いてみると、繰り返しが甘くて、二、三回で反復をやめている場合が多い感じがします。この時点でやめると確かに、勉強しても点数が伸びていかないので、「勉強しても成績が伸びない」というつらい状況になってしまいます。




3 繰り返すコツ



(1)間違えた問題だけに絞る


でも、確かに、一度やった問題を何度も繰り返すのはそれ自体面倒くさいです。あと、短答と行っても、過去問だけに限っても、すでに七科目八年分の蓄積があって、莫大な量があります。すべての問題を四回繰り返すと、それだけで一年経ちかねません。

だから、思い切って間違えた問題だけ、やり直すことになります。

たしかに、短答はたまたま正解してしまうことあるので、正解した問題も復習したくなりますが、そうやって正解できた問題を復習していくと、より優先順位の高い間違えた問題の復習の密度が下がります。受験勉強においては、相対的に得点能力の向上に役立つ勉強法を採用するべきだと思っていたので、正解した問題については、復習しませんでした。当たり前かも、しれませんが、生真面目だと全部の問題を均等に復習したくなりますが、あくまで間違えた問題に集中するべきだと思っています。これは、受験勉強全般にいえることだとは思います。そりゃ、法律の勉強すれば、司法試験に役に立たないということはないですが、より短時間でゴールに到達できる方法をとるべきということです。(☚と、そこをミスり続けてきた僕が申しております。)



(2)断裁のススメ


受験生は肢別本か過去問で勉強している人がかなり多いと思います。僕は肢別が肌に合わなかったので、過去問で勉強していました。

ここで、結構おすすめなコツとうして、自分の使ってる本を断裁して、完全に正解できた問題を、二回目以降の復習から外してしまうことです。断裁は、キンコーズ というお店に行くと、本一冊あたり300円~500円程度できます。断裁後は、二つ穴のファイルなどに閉じることで、前と同様に本として使えます。

断裁後は、過去問などを一回といて、絶対間違えない問題をとき直しの候補から外していまします。そうすると、最初の1、2回の勉強の際に、復習の対象が絞り込めるので、三回目以降の繰り返しがしやすくなります。そこからは、適宜繰り返しを何度もして、完全に身に付いたものから、復習の対象から外していきます。この方法をとると、自分の弱点だけが、最後に残っていくので、直前期には自然に弱点ファイルが完成します。

勉強が進むと、ファイルの量が減っていくので、成果が目に見えて、モチベーションが上がるので、結構おすすめです。


(3)過去問を肢別的に使う



肢別で勉強している人は、自然に間違えた問題だけ反復することになると思います。

過去問で勉強する場合にも、間違えた肢を、肢ごとに記録しておいて、以後の復習は間違えた肢だけ、復習することで、肢別同様の勉強ができます。過去問の場合、間違えた問題丸ごと、復習すると、できる問題肢を何度もチェックすることになるので、非効率な感じがします。ですので、間違えた肢だけ繰り返したほうが、反復効率が高まると思います。



断裁 短答

( 断裁して、何度も解いた過去問 この問題の場合、5回解いています。)


(4) 理解中心


いうまでもないですが、普段の勉強で間違えた問題については、条文を引き、教科書の該当箇所を読むことになります。これは、ほとんどすべての受験生がやっていると思うので、特に言及するべきことはないです。

上記の方法で短答を何度も解くと、短答の肢を繰り返す過程で、教科書を何度も読むことになるので、理解が深まりますね。直前でもなければ、教科書に当たったほうが、記憶の定着もいいですし。


(5)マメに直前に間違えた問題を思い出す


とにかく、短答のコツは何度も思い出すことです。

僕は、今年は、年明け以降大体週4時間くらい短答の時間をとっていたのですが、短答の時間を終了する際に、もう一度、間違えた問題を読み直して、間違えた理由を思い出すようにしていました。また、1週間後の短答の時間に前の週に間違えた問題(間違えた問題ファイルにファイリングしてあるもの)を、読み直して間違えた理由を思い出していました。この二回の思い出す作業の際には、問題なく瞬時に間違えた理由大体思い出すことが可能です。だから、時間もかからないし、簡単にできます。しかし、この作業をすると、1週間の間に、同じ問題を3回解くことになります。地味にこの作業をかませるかかませないかで、記憶の定着が結構違う感じがしました。

エンビングハウスの忘却曲線 に基づくと、1時間後、1日後、1週間後、1か月後に復習すると記憶の定着がいいとか聞いたことがあります。法律の場合、こんなに、規則正しく復習するのは、至難ですが、上記の勉強法は、少なくとも、1時間後と、1週間後の復習については、できるので、忘却曲線の話からしても、忘れにくい記憶方法なのではないかと思います。

この方法を使って、5回問題を解くとすれば、なんと15回復習できます。というか、その前に憶えろ!!って話ではありますが、僕は極めて記憶力が悪いので、死ぬほど繰り返すはめになりました。





ちなみに、今年の短答の勉強は、、去年習得しきれなかった、過去問の短答肢を上記の方法で繰り返し定着させるものでした。最終的に、すべての肢が習得できたかといえばそんなことはなくて、かなり習得しきれていない肢も残っていました。何百問単位で残っていたと思います。

それでも、8割近くの点数になったので、もっと習得度を高めれば、過去問だけでも300点くらいになるような気がします。つまりは、僕を含めた受験生の多くは、過去問既出の肢すら満足にマスターできていないので、いろいろなものに手を広げる必要はなく、まずは過去問だけしっかりやり切れば十分良いせい成績が取れるということだと思います。(現に去年のブロガーさんで、過去問だけで300点くらい取った方もいました。参考までにそのブログ(エスケイさん) のリンクを置いておきます。そもそも実力がある方なので、"過去問だけ"というには語弊がありますが)

とりあえず、日常の短答の勉強法はこんな感じです。

次は直前期の勉強法を述べたいと思います。