玄米の毒って本当にあるのか？。

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うつ病対策で玄米を食べるようになり、玄米について検索することが増えました。そこで、必ず出てくるのが「玄米毒」というキーワード！

「玄米は毒？」「無毒化するには？」などの情報が・・・

玄米って毒があるなんて、大学では習いませんでしたが、

その常識が古すぎるのかしら？

「玄米の毒」説はこの2種類

玄米の毒性に関して書かれているサイトで「毒の理由」として挙げられていた説は、主にこの2点。

①「玄米のアブシシン酸が人の細胞内のミトコンドリアを傷つける」説
②「玄米のフィチン酸でミネラル不足になる」説

この二つについて調べました。
さらに、それらを「無毒化」するには「玄米を長時間浸水して発芽モードにすれば良い」と書かれているサイトが多く見られました。

アラシシン酸

アブシシン酸とは、植物は乾燥や低温などのストレスにさらされると、植物ホルモンの一つであるアブシシン酸(ABA)を蓄積し、ABAが気孔の閉鎖や様々な遺伝子の発現量を調節することで、その環境に耐えることが知られています。また植物の種子は、発芽しても生きていけない環境では発芽しないで、種子休眠といわれる"種子を発芽させない"状態を維持しますが、ABAはこの種子休眠においても重要な役割を果たすのだそうです。

この「玄米のアブシシン酸が人の細胞内のミトコンドリアを傷つける」説

なのですが、アブシシン酸は植物全般に含まれている化合物なので、野菜も心配に。。。

「毒性がある」説の根拠を探しましたが、人体のミトコンドリアを傷つけるというよおうな文献をさがせませんでしたが、

アブシシン酸は、米国でトマト，ブドウといった野菜・果実類の肥大や着色促進剤，発芽時期の調整剤として農業利用されているので、このような文献をみつけました。

また日本の食品安全委員会の「食品安全総合情報システム」によると、2010年に米国環境保護庁が、植物調節剤（植物の成長を調節する作用のある農薬）として用いられるアブシシン酸の安全性に関して、「幼児や子供を含めた消費者に危害が生じる可能性はないという結論に至った」と公表。

現時点では、アブシシン酸が人の健康に害を及ぼす可能性は、かなり低いと考えられます。

参考文献：米国環境保護庁(EPA)、植物調節剤、S-アブシジン酸の残留基準値設定免除に関する規則改定｜内閣府食品安全委員会

参考文献：How natural drug, abscisic acid, fights inflammation

フィチン酸（イノシトール６リン酸）

フィチン酸（イノシトール6リン酸）」とは、植物の三大栄養素のひとつであるリンの貯蔵をする役割のある物質で、玄米、小麦やそばなどの食品にも含まれています。

こちらは確かに、フィチン酸にはミネラルの吸収阻害作用がありますが、豆類にも多くのフィチン酸が含まれています。

ただ、「玄米のフィチン酸でミネラル不足になる」とはいえず、玄米のフィチン酸はすでにミネラルと結合した状態であるため、消化器官の中で他の食品由来のミネラルを大量に奪い去っていくとは考えにくく。

さらに玄米のほうが白米よりミネラルもビタミンも桁違いに豊富です。

またフィチン酸には多くのメリットがあると考えられています。抗酸化作用があり、食用油の酸化防止などに利用されています。細胞の酸化を防いで、ガン細胞の発生と増殖を抑える効果があります。また、血液が凝固しにくくなるため、血栓予防効果もあります。

そのほか、フィチン酸が血栓症予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6150590

尿中のフィチン酸が少ない人は、カルシウム蓄積が進み尿路結石になりやすいことがわかりました。他方フィチン酸を摂取することにより、尿路結石形成が抑制されたことから、フィチン酸がカルシウム結石予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10961468