卵巣がんは、父親から娘に遺伝する可能性があるとの研究結果がこのほど初めて発表された。今回の遺伝学的研究によって、この疾患を発症するリスクが母娘よりも姉妹間の方が高い患者がいる理由がついに明らかとなった。
「サイレント・キラー」と呼ばれる卵巣がんは、がんが卵巣から転移するまで症状が現れない傾向があり、その時点では治療がより難しくなるため、症例によっては特に危険性が高く、5年生存率は46%となっている。一般的に閉経後の女性に多く見られ、患者全体の半数を63歳以上の女性が占めている。
しかし今回の研究では、この病気のリスク遺伝子を父親から受け継いだ女性は、母親から受け継いだ女性よりも約6年早く発症する傾向があることが分かった。
研究を行った米ニューヨークにある「ロズウェルパーク総合がんセンター(Roswell Park Comprehensive Cancer Center)」の研究者らは、卵巣がんを発症している祖母と孫娘のペア、計186人のデータを収集し、X染色体を解析した。
その結果、卵巣がんが父方の祖母から受け継いだ遺伝子に関係している患者は、母方の遺伝子に関係した卵巣がんの患者よりも発症年齢が低かった。また父方の遺伝子は、父親と息子が前立腺がんを発症する確率が高まることとも関連性がみられた。
研究では、X染色体のある遺伝子が、BRCA遺伝子といったすでに知られる他の感受性遺伝子とは別に、女性の卵巣がん発症リスクの原因となっている可能性があることも判明した。
こうした発見によって、家族の病歴に関するスクリーニング検査や、場合によっては遺伝子検査のおかげで、結果的により多くの命を救うことが可能となるとみられる。
ケベン・イング(Keven Eng)医師は、「今回の研究によって、この病気を発症する娘が家族に何人もいる理由の説明がつくかもしれない。子どもの性別を決定するのは父親の染色体であるため、娘は全員、父親と同じX染色体を受け継ぐ」と説明し、「私たちが次にやるべきことは、より多くの家族を対象に解析を行い、問題の遺伝子を突き止めることだ」と続けた。
同氏は、「3人の娘全員が卵巣がんを患っている家族は、BRCA遺伝子変異よりもむしろX染色体の変異を受け継いだことによる影響の方がより高い可能性がある」としている。
今回の研究結果は、米オンライン科学誌「プロス・ジェネティクス(PLOS Genetics)」に掲載された。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180224-00010000-clc_teleg-int
卵巣がん(国立がん研究センター)
https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/
卵巣がん
http://www.ganchiryo.com/type/index12.php
卵巣がんの治療を困難にしてる腹膜播種性転移の成立メカニズムにエクソソームが関与(国立がん研究センター、名古屋大学、国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/0228/index.html
がん10年生存率
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO97020060W6A200C1TZQ001
卵巣癌ステージ1C
卵巣癌ステージIV→大腸癌IV
卵巣がん(Women's park)
http://women.benesse.ne.jp/healthcare/pc/katei-igaku/detail/141
http://women.benesse.ne.jp/healthcare/pc/katei-igaku/detail/5
こころとからだを支えるガンサバイバーのためのかんたんおいしいレシピ(公益財団法人がん研究振興財団)
http://www.fpcr.or.jp/pamphlet.html