米国がん学会から新たに発表された研究報告によると、がん発症に影響する諸要因のなかで、喫煙、赤肉や加工肉の摂取、運動不足といったものが大きな部分を占めているそうです。
この研究を行った研究者たちは、がんにつながることが分かっている要因や、それぞれの相対的なリスクを考慮し、26種類のがんについて「発症に影響すると考えられる要因」の割合を推定しました。
要因のなかには、喫煙、煙草の副流煙の吸入、太りすぎ、アルコール飲料の摂取、果物や野菜の摂取不足、食物繊維やカルシウムの摂取不足、運動不足、紫外線への露出などが含まれています。
また、がんとのつながりが指摘されている6つの感染症、たとえば咽頭癌(いんとうがん)の原因とされるヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス、HPV)や、カポジ肉腫発症の大きなリスク要因であるエイズウイルス(HIV)なども、そのなかに含まれています。
この研究者らは、これらの要因の相対的なリスクやがんの発症を考慮に入れた公式を適用し、それをもとに分析を行いました。すると、これらのリスク要因の影響が認識されたがんの症例は、男性患者の症例全体の43%を占めていることがわかったそうです。
男性にとって危険度の高いリスク要因のトップ5は…
がんリスク要因が高いといわれるトップ5は、煙草の喫煙(全症例の24%)、紫外線への露出(同6%)、太りすぎ(同5%)、アルコール飲料の飲み過ぎ、果物や野菜の摂取不足となっています。この5つは、いずれも生活習慣の改善によってリスクは下げられるものとなります。
男性では「喫煙」の影響がとくに大きく、肺がんの84%、喉頭がんの75%、食道がんの52%でそれぞれ影響がみられました。
一方、紫外線への露出とつながりがあるがんは、わずかに1種類でした。ですが、その影響の大きさは非常に大きなもので、具体的にはメラノーマ(悪性黒色腫)に関して、約95%が紫外線への露出が関係しているという数値がたたき出されたそうです。
太りすぎについては、男性の場合、胆嚢(たんのう)がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がんの約3分の1が、太りすぎの影響で生じたものであることが分かりました。
発癌要因のひとつであるウイルスについて
ウイルスもまた、発癌要因として重要な役割を担っているようですが、先に挙げたほかの要因よりも、その影響力は小さいようです。
たとえばHPVを原因として生じた男性のがんは、(喉頭がんの38%、陰茎がんの59%を含みむ)全体の0.4%だったとのこと。また一方で血管系やリンパ系に関しては、(カポジ肉腫の89%を含む)全体の0.5%のがんがHIVを原因として生じたものとなっています。
禁煙は、がん発症率が下がります
HPVやHIVのようなウイルスの感染から生じるがんに対しては、セックスの際にコンドームやデンタルダムを使うといった対策を講じることによって予防はできます。
さて、ではウイルス以外のリスク要因はどうしたらいいでしょう? これに関して言えば、実は皆さん自身が生活習慣をコントロールすれば予防は可能となるのです。
たとえば喫煙できたなら、男性なら腺がん(よくある肺がんの形態)を発症する確率は禁煙後5年で52%低下、また、同10年後には80%低下するという研究結果が胸部腫瘍学の学会誌『Journal of Thoracic Oncology』に発表されています。
体重管理でもがん発症リスクが下げられる
さらに、ひどい食事や運動不足、太りすぎ…などのがんへのリスク要因の多くは、健康的な食事に切り替え、そしてエクササイズをきちんとすることよって軽減することが大いに期待できるのです。
この点に関して、国際がん研究機関の会長ハム・コルディッツ医師は、「体重を5%減らすだけで、がん発症のリスクは下がり始めるでしょう」と述べています。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171209-00010002-mensplus-life&p=1
がん種別リスク要因と予防法(国立がん研究センター)
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/part_distinction.html
http://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2879.html
あなたの知らないがん情報(シンゲンメディカル(株))
http://www.findmed.jp/topics/cancer/1592?G=00&utm_source=google&utm_term=%E7%99%8C
運動の健康効果「がんを予防する」
http://www.nhk.or.jp/kenko/atc_72.html