全国がん(成人病)センター協議会は16日、がん患者の部位別10年生存率を公表した(表)。算出は昨年に続き2回目。全体の生存率は58・5%だったが、前回同様、部位別の生存率には大きな開きがあった。

2000年~03年に専門的ながん治療を行う20病院で診療した4万5359人のデータを基に、診断から10年後のがん生存率を算出した。がん以外の病気などで亡くなる場合もあるため、がん以外の死亡の影響は補正した。

生存率が最も高いのは前立腺がんの94・5%、最も低いのは膵臓(すいぞう)がんの5・1%だった。

5年と10年で生存率の経過を見ると、乳がん(5年89・3%→10年81・7%)、肝臓がん(5年34・1%→10年16・4%)などは低下の幅が大きく、5年以降も定期的な診療を受ける重要性が浮かび上がった。一方、胃がん(5年70・1%→10年67・3%)や大腸がん(5年72・2%→10年69・2%)は低下の程度は小さかった。

群馬県立がんセンター前院長の猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は「生存率は患者一人ひとりの余命を予測するものではない。がん治療は進歩しており、現在治療を受けている人の生存率は向上する可能性がある。主治医と治療方針などを相談する時の参考にしてほしい」と話している。

集計結果は、同協議会のホームページ(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/))で見られる。