ではでは、続きどうぞ~!
ドッキリ収録当日の朝――。
私と速水さんは、楽屋代わりに用意されたホテルの従業員用の部屋で、
スタッフたちと収録直前の打ち合わせをしていた。
スタッフ「まずは隼斗さんの部屋に、うちの撮影スタッフと一緒に入ってもらいます。」
スタッフ「それから――。」
ドッキリのスタッフたちと収録の段取りを確認していると――、
速水賢司「ふわぁ~…。」
隣から大きなあくびが聞こえてくる。
「ちょっと、速水さん。ちゃんと打ち合わせに参加して下さいよ!」
私は慌てて速水さんのわき腹を肘でつつき、小声で注意する。
速水賢司「…んなこと言ったって、お前今何時だと思ってんだよ?」
「朝の5時です。」
速水賢司「スターは昔から朝が弱い生き物だってことになってんだ。」
速水賢司「つーことで、後はまかせた。」
そう言って、速水さんはもぞもぞとソファに丸くなろうとする。
「どんな理屈ですか。ちょっと、起きて下さい…!」
スタッフたちの笑い声をバックに聞きながら、私は速水さんの腕を引っ張った。
目を話せばすぐに寝ようとする速水さんを監視しつつ、打ち合わせは終了。
スタッフから隼斗の部屋のカードキーを受け取り、
さっそく収録が開始された。
速水さんや撮影スタッフと一緒に、
隼斗が泊まっている部屋の前でスタンバイする。
(撮り直し出来ない収録って初めてだから、緊張してきた…)
(私たちのタイミングで始めて良いっていわれたけど、どうしようかな?)
(速水さんに相談してみよう)
「速水さん、どっちが部屋のカギを開けますか?」
私はまだ眠そうにしている速水さんに声をかける。
速水賢司「…隼斗の寝起きは良いのか?」
「え、寝起き? けっこう朝は弱いって聞きましたけど。」
速水賢司「あとは任せた。」
速水さんはマイクまで私に押し付け、一歩下がる。
「ええ? ちょっと、なんで…。」
速水賢司「こういうのは後輩の仕事って決まってんだよ。いいから、早く開けろ。」
「…分かりました。」
(こういう時だけ、先輩になるんだもんなぁ)
(でも速水さんはまだ半分眠ってるし、私が頑張るしかないか)
(…よし、いこう!)
私はマイクを握り、カメラを見る。
「はい。私たちは今、『Regis』のリーダー、斉藤隼斗さんが止まっている部屋の前に来ています。」
「では、さっそく部屋の中に入ってみたいと思います。」
私はカメラに向かってリポートしながら、ドアの前のカードキーをかざした。
足音を忍ばせて室内に入ると、ベッドの上に布団の固まりを見つけた。
(わ…隼斗、寝相悪いんだ)
斉藤隼斗「すー、すー…。」
隼斗は布団にくるまって丸くなり、頭だけ出して眠り込んでいる。
速水賢司「猫みたいだな、あいつ…。」
速水さんが笑いをこらえながら、耳打ちしてくる。
(本当だ…ちょっと、可愛いかも)
速水賢司「さぁ~て、イタズラを始めるぞ。○○。」
速水さんは小声で、嬉しそうに宣言し、ベッドに近づいていく。
(速水さん、さっきまでの態度がウソみたいに元気になったけど)
(大丈夫かな?)
私はヤル気満々の速水さんの姿に不安を感じつつも、
そろりとベッドに近づきながら、カメラに向かってリポートする。
「えー、それでは早速起こしてみたいと思います。」
斉藤隼斗「………。」
(それにしても、ぐっすり眠ってるな)
速水さんと私が近づいても、隼斗は身動き一つしない。
速水賢司「朝だぞ―…。」
そんな隼斗の頬を速水さんがつつく。
斉藤隼斗「………。」
(すごい、無反応だ)
速水賢司「こいつ、かなり眠りが深いんだな。」
速水さんは感心したように言って、隼の頭を軽く撫でる。
斉藤隼斗「う…ん…。」
(あ、今度はちょっと反応した)
速水賢司「まだ起きないか…。」
速水賢司「これは、面白くなってきたな?○○。」
「え? えっと…。」
(なんて答えようかな?)
「そ、そうですね…。」
(速水さん、やりすぎないと良いけど…)
速水賢司「見てろよ、これからが本番だ。」
速水さんはニヤリと笑って、隼斗の布団に手を伸ばした。
速水賢司「よーし。じゃあ、これでどうだ?」
速水さんが布団をぐいっと引っ張ると――、
斉藤隼斗「んー………。」
隼斗が布団を奪い返して、再び丸くなる。
(隼斗…本当に寝てるんだよね?)
思わず顔を覗きこむと、隼斗は眉間にしわを寄せながらも、
すやすやと寝息を立てている。
速水賢司「むぅ…なかなか手ごわいな。」
速水賢司「そろそろ本気で行くか…。」
「本気って、どうするつもりですか?」
速水賢司「こうするんだよ。」
嬉しそうに言って、速水さんは隼斗の鼻をつまむ。
「ちょ、ちょっとやりすぎじゃ…。」
速水賢司「へーき、へーき。コイツは俺のことを尊敬してんだから。」
斉藤隼斗「………。」
斉藤隼斗「…ん…ぐっ…。」
隼斗の顔が苦しそうに歪み――、
斉藤隼斗「…ぷはっ!」
大きく息をついて、ガバッと起き上がった。
速水賢司「お?起きたか?」
「おはよう、隼斗…。」
斉藤隼斗「………。」
(あ、あれ?なんだか様子が…)
速水賢司「おーい、隼斗。まだ寝ぼけてんのか―?」
「速水さん、ちょっと止めた方が…。」
私が止めるのも無視して、速水さんは隼斗の頭をグシャッと撫でまわした。
