2024.11.30

初めての新宿ゴールデン街。

その独特な雰囲気に、少しの怖さと、普段とは違う世界に足を踏み入れる好奇心と探究心が入り混じる。

目的は、マチュカバーで開催されている「新井英樹 原画展」。


バーなんて人生で一度しか行ったことがない俺は、緊張と迷いを無理やり抑え込み、勢いだけで扉を開けた。

店主のマチコさんが明るく迎えてくれる。

細い通路の先、カウンターの奥に、一日店長の新井英樹先生が。

「新井英樹だ!天才がいる!」

そんな思いが胸を占めるも、緊張して言葉が出ない。

20代以降、ほぼ緊張とは無縁になっていた俺にとって、この感覚は久しぶりで、耐え難いものだった。

心の居場所のなさを感じながら、まずは店内に飾られた原稿を一つ一つ見て回った。その原稿たちを目の当たりにして、圧倒された。衝撃だった。

その後、カウンターに移動させてもらい、新井先生の話に耳を傾ける。じっくり聴く。

新井先生が俺に話しかけてくださり、こんなやりとりがあった。

 

新井先生「最初に何読んだの?」

俺「宮本から君へです」

新井先生「いつ読んだの?」

俺「中学生の頃です」

 

本当は高校生の頃だった。

なぜか「中学生」と答えてしまった自分が恥ずかしい。早く読んでいた方が気に入られるとでも思ったのか、無意識の小さな嘘だった。

質問したいことは山ほどあった。けれど、読んでいない作品がある状態でなにか聞くのは失礼だと思い、結局ほとんど話せなかった。

店を出る間際、なんとか「サインをいただけますか?」と声をかけると、新井先生は快く応じてくださり、『定本 宮本から君へ』4巻に名前入りでサインを書いてくださった。家宝になった。


終電を逃していたので、タクシーで帰宅。約1万4000円。バーの支払いを合わせて2万円ほど。

でも、この日の価値を思えば、安いものだった。むしろ、もっと払っても惜しくないほどの貴重な体験。

また行こうと思う。


▼新井英樹作品一覧

• 『8月の光』

• 『宮本から君へ』

• 『愛しのアイリーン』

• 『ザ・ワールド・イズ・マイン』

• 『シュガー』

• 『RIN』

• 『キーチ!!』

• 『キーチVS』

• 『SCATTER -あなたがここにいてほしい-』

• 『空也上人がいた』

• 『なぎさにて』

• 『KISS 狂人、空を飛ぶ』

• 『ひとのこ』

• 『SPUNK -スパンク!-』