埋もれる。崩れる。かきわける。あける。がさつく。散らかす。見つける。かぶりつく。しゃぶりつく。残骸を散らかす。崩す。かき分ける。あける。がさつく。散らかす。見つける。かぶりつく…眠る。眼は覚めない。あと15時間、覚めない。…目をさます。崩れる。かきわける。あける。がさつく。散らかす。見つける。かぶりつく。かぶりつく。流し込む。…吐き出す。


もう2年半これを繰り返している。苦しくて悲しくて、たくさんの吐きダコが指にはできて、胃は血だらけで、口内炎だらけ。吐いても、太っていく。涙が止まらない。泣く。寝る。起きる。むしゃぶりつく。気づくとコンビニ。また1週間ぐらい、むしゃぶりつく。悲しくて、悲しくて。さびしくて、独りで、泣く。ものを食べると、落ち着く。安心する。世の中とつながっている気がする。かろうじて。…製造者表示、化学物質の味、おまけ、新作お菓子。私がとどまっている間も確かに動いている世界が、少しだけ感じ取れる。独りじゃないと、思う。誰かが私に食べられるために作ってくれたお菓子、お弁当、おにぎり、サンドイッチ、ホットドッグ。ああ、私が世の中を知らないでいる間にも、誰かが工場でこれを作っている。しかし、目の前にモノがなくなると悲しみが襲ってくる。部屋の真ん中、蛍光灯の下で延々とゴミにまみれながら、山のような2年半分のゴミにまとわれて倦怠感を覚えながら、それでもそれでも口に運ぶ。…悲しい。


もう、引き返せないところまで来ていることもわかっている。そろそろ貯金もない。むしろ、2年半これだけ食べていけるだけの貯金をしていた自分を褒めたいぐらいだ。


苦しくて、ものがたくさん胃に入っているから幸福で、重い深い眠りにつく。眠い、重い、とろり。

彼女のほほに、虹色のこんぺいとうが、ひとつ。