こどものころ


ちいさな庭で
ちいさなわたしが
ひとりで
砂でおままごとをしていると

いろんな音が聞こえてきた



近くの高校の吹奏楽の練習の音

おばあちゃんとおじいちゃんの
部屋からきこえてくるテレビの音

おじいちゃんが木を持って歩くときの
葉っぱの音と足音

パチパチ燃えるたき火の音

父が盆栽をちょきちょき切るハサミの音

ときどき呼ぶ 母の声

近くを通る学生の笑い声

自転車のブレーキの音

鳥の声


そして
お腹がすくころに
匂ってくるパンの焼いた匂い

土の匂い




わたしは お庭で
石と砂をいじりながら
じっと 耳をすませて
周囲の雰囲気を感じるのが大好きだった



そして  いま
そんな賑やかな環境じゃないことに
寂しくなるし


そんな環境を作れていないじぶんを
責めている




あのあったかい雰囲気を
味わいたいし


こどもにも 感じてほしいと思っている


それが できてないことに
さみしくなる






けれども
こどもが 
同じ環境を同じように 
居心地よく感じるかは
わからないことだし

きっと こどもは どんな環境でも
心地よさは 味わえているはずなのに



こどもを使って
自分を責めたいだけなのだ





あのころの あったかいと感じた環境を
そのまま しあわせがあった  と
受け止めたらいいのに


むかしのしあわせな思い出も
自分責めの材料にしている



自分はダメなんだ
と 感じたいだけ


自分は役立たずなんだ
と 感じたいだけ





何回も 終わらせようと思い

終わらせたはずの じぶん責め



きっと これからも
繰り返すから


あーーーだめだぁーー

あーーー役に立てんーー

あーーーさみしいーー

あーーーごめんーー


って  飽きるまで 思っておこうよ