そのあと、水族館近くのファミレスで




軽く晩御飯らしきものを済ませて、





私達は帰る方向の電車に乗った。





デートの帰りが一緒の方向って、なんか新鮮。





隆史とはこんなことないからな・・・。





あ、いかんいかん、また隆史と比べてしまった。





隆史と、というより、遠距離恋愛と、かな。





電車の中では、他愛もない会話をしつつ、





窓の外の流れる景色をぼーーーーっと見てた。





「あ、次だ」




と、浩介が呟く。




次の駅で降りて、私達はそれぞれの路線に乗り換える。




「今日は楽しかった。ありがとね。


じゃあ・・・またね」




と、歩き出そうとした私に、





「あ!ちょっと待って!」





と浩介がストップをかける。




「ん?」





「あのさ、コレ!」





と、紙袋から取り出したのは、小さな包み。





さっきの水族館のショップの包み紙。




私に差し出すから、




「何??」




びっくりしたんだけど、





「いいから、開けてみて」





と言われるがままに包み紙を開けると・・・





そこに・・・





ちょこんと、イルカのマグカップ。





私がさっき「ほしい」って言ったものだった。





2度目のびっくり。





「コレ・・・」





「ハンカチ貸してもらったお礼だよ」





「そんなのいいのに・・・」





「あ、もちろん、洗濯して返すけどね・・・




ひとまず、さっきは助かったから」





「あ・・・ありがと・・・でも悪いよ・・・」





「いいってことよ!」





「ホントに、ありがと・・・」





なんか・・・





胸がいっぱいで気の利いたことを言えず、





ただただ「ありがとう」って、私は繰り返した。