どうしよう…




このチョコ、誰からのだろう…




聞いてみたいけど…




怖くて聞けないよ…




意気地無しの自分が嫌になる。




でもさ、義理チョコかもよ?




聞いたほうがラクになるかもよ?




ほら!勇気出せ!




「玲奈?地図あった?」




「あったよ!はい!」




「さんきゅ!」




雑誌を手渡してからさりげなく聞いてみる。




「あ、あのさ、なんかさ、チョコみたいな箱があったけど、車の中に置いておいていいの?暖房で溶けちゃうよ?」




「あっ!やべぇ!忘れてた!保険のおばちゃんからのだ!ホラ、会社によく営業に来るでしょ?」




あ、そうなのか。心配してソンしたなぁ。




心の中で安堵する。




でも、まだちょっとモヤモヤするのは、営業用にしては高級すぎるブランドの包み紙だったのと、会社でもらったはずのチョコがなんで車の中に?通勤に車は使わないはずなのに?という小さな疑問が次から次へと頭に浮かんでは、消えなかったからかも。




「あ、あったあったよ!目的地発見!」




モヤモヤしてる私とは逆に隆史は嬉しそう。




店に入って




「玲奈どれにする?あ、俺コレにしようっと」




至っていつも通りの感じで注文して。




料理が運ばれて来るまでの会話で口火を切ったのは隆史だった。




「そうだ、あのさ…」




「なぁに?」




「俺さ、3月の第一土曜と日曜で、旅行に行くことになったから」




「えっ?誰と!?」




イキナリ言われたらやっぱそう聞いちゃうよね。




「会社の同期たちと。房総で一泊」




「そっか…楽しんできてね…」




行くななんて言う理由も無いし、今までだって飲み会や旅行をダメなんて言ったことは一度もないよ。




でも…




同期…同じ年に入社した仲間…




私の知らない人達…




女の子もいるんだろうな…



女の子もいる?なんて聞けないけど、たぶんいる。




ホントは嫌だ。




けどいつもその気持ちにはフタをしてる。




隆史を信じてる。




信じたい。疑いたくない。



でも、私の気持ちはさっきよりも沈んでる。




大好きなパスタもいつもより美味しくない。









食べ終わって、店を出て駅まで車で送ってもらって、いつもの別れ際のキス。




けど、いつもより嬉しくなかった。




帰りの電車に乗ってる時間も、やたら長く感じた。




隆史に会えて嬉しかったはずなのに、何故か涙が出てきた。




なんで?別にケンカしたわけでもないし、ヒドイことを言われたわけでもないし、隆史はいつも通り優しかったのに。




電車の中で1人で泣く女。



他人の視線が突き刺さる。



ヤバイ、いったん電車降りよう。




駅のトイレを目指して歩いていると




「玲奈ちゃん?」




背後から聞き慣れた声。




振り替えると…




そこには…




奥村くんがいた。