日本人と組織 | tsure-dure-naru-mamani

日本人と組織

『日本人と組織』 山本七平著



私に影響を与えたランキング5位以内に入る人

日本人論においては、いつも考えさせられる


・・・

日本の組織で問題を解決しようとする場合、

とるべき基本的態度がいかにあるべきかという常識がないという問題がある。


たいてい、組織の改革を議論すると、

そうはいっても今どうやって食っていくんだ!

そんな問題より前に、今日の数字をどうするか!

という類の言葉が、議論を封じてしまう。


ではどうすればよいか。

そんなことは簡単に答えが出るはずもないが、

その基本的な態度としては以下になる。


単に他の物まねをして、自己を切り替えるのではなく、

その外来的な考えをもとに自己を最把握し、自己分析をし、索引化し、

それをもとに自己を再構成していくほかない。


・・・

上記は簡単すぎるので、詳しくは本文にて



この本に限らず、著者は、

日本人の癖として、

制度を変えるが、その実態はそのまま、そして、その実態がわからないため問題が解決できない

ということを明確に認識されている。


明治維新時、日本人の伝統文化を捨て、西洋の制度に改めたが、

結局はその制度という枠組みを取り入れただけで、

その内実、実はこれまでの日本人の伝統的生き方そのままであった。

そして、その伝統的生き方は形に残っていないので(捨ててしまっているので)、

把握ができず手の打ちようがない。


戦後も同様、日本人の生き方を形上改め、日本国憲法、民主主義を受け入れたが、

伝統的生き方(教育勅語等々)は墨塗りで消してしまった。

組織上の問題がおきても、実際の問題は形としては残っていない、伝統的生き方の問題なので、解決仕様がない。

伝統的生き方自体が把握できれば、問題も解決できるが、

それを墨塗りで消してしまっては、解決仕様がない。


現在の会社でも同じことが言える。

社則など規則は定めているが、実際は機能していない。(これは欧米の制度そのもの)

見たこともない人が多いだろう。

会社を動かしているルールは、暗黙の日本人の伝統的生き方である。

ただ、その生き方の把握・分析・再構成がなされていないので、組織上の問題の対処の仕方が見えてこない。


だから、それを把握していく作業が必要になる、重要になる、というのが結論だ。



地道な作業だが、やっていくほかないだろう。