そうだ、米国で医者やろう~♬ -28ページ目

そうだ、米国で医者やろう~♬

米国ボストンで循環器内科フェローをしています。心臓集中治療の分野と美味しいご飯処を世界に広めるのが目標です。



高級なブティックが並ぶ5番街を越えると、アジアな香りが漂ってくる。


コリアンタウンである。


5番街と6番街を結ぶ32番ストリート。


わずか数百メートルの小道にひしめくように韓国料理屋が立ち並ぶ。


ミシュランにも掲載されているMiss Koreaなど、多くの名店が名を連ねる中、


あえて、本日、勧めるのは、しっかりとした店舗を構えたお店ではなく、また、韓国料理でもない。


フードコートの中のごちゃごちゃしたお店の1つ。


Jian Bing Manの海鮮火鍋である。


そう、韓国料理ではなく、火鍋である。


「あー、一人で火鍋が食べたい」


そんなときに、中華街に足が向かってしまっては素人である。


火鍋を極めし者たちは、コリアンタウンに集結するのである。


海鮮火鍋は一人で食べれるように小さな鍋で提供される。


海鮮をふんだんに使っている。真っ赤なスープの表明に顔を出すの4匹の海老。しっかりと出汁が効いている。


スープを一口飲むと、拡がるのは強烈な山椒の香り。そして、後を追うように強烈な唐辛子の辛味、パクチーと海鮮の旨味が浮き上がってくる。




添えてある白米を投入する。旨味スープとご飯が口の中で邂逅する。出会うことが運命付けられていたかのような絶妙な相性が舌の細胞1つ1つを刺激する。





あー、うまい。思わず漏れるその言葉。


余韻を楽しみながら、鍋に箸を進める。


そして、突き当たるはマロニーちゃん。 




白米を押しのけて、ちゅるりちゅりるりとマロニーちゃん。


先程までの白米への愛はどこにいったのだろう。


そんなことはどうでもよくなる程に、止まらない中毒性。


あー、この海鮮火鍋の奥底に身を潜め、自らの出番を待っていたのだ、マロニー。


あー、気づかなくて、ごめんね。


いま、引き揚げるからね。


ちゅるりちゃるりとマロニーちゃん。


あー、生きていてよかった。


ほっと、安心する火鍋。


外は10度を下回る。


冬の予感に安堵する。


私には火鍋がある。


冬を越えられる。











11月に開催される心臓の学会で幸運なことに優秀賞を頂きました。3000ドルの賞金を獲得です。サポートしてくださった皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。


今週はElective rotationで研究漬けの2週間なので、学会発表するネタを論文化できたらと思います。


さて、本日は、先週までの夜勤2週間を振り返ります。


夜勤は2週間。夜の8時から朝の7時まで勤務です。8時に日勤帯から申し送りを受けます。一年目のインターンと夜間のTo do listを列挙して仕事を分担します。主に病棟の仕事はインターンの役割ですが、レジデントもサポートし、足りない部分を補います。


新規の入院が来る前に必ずご飯をオーダーします。Uber EatsSeamlessというアプリを使用すると、NYにある人気なレストランの料理を出前することができます。


レジデントの主な業務は新規の患者を担当すること。


今ブロックの1日の平均入院数は凡そ4人。普通よりも少し多いようでした。


まず患者はERを受診します。内科に入院が必要と判断されると、内科に入院となります。


夜間は全部で4チーム。4人レジデントがいます。各レジデントが順番になって入院を担当します。


一人当たり4人として、一日、約16人が入院していると考えると日本よりも遥かに入院数が多いです。


入院が割り当てられると、まずはERの先生から引き継ぎをもらいます。


ERの仕事は患者の安定と各科への割り振りです。


内科の役割はERの仕事に正確性を以って分析・診断し、治療プランを立案することです。


ERからの申し送りは3分で済ませて早めに入院の手続きに取り掛かります。


効率的に取り掛からないと終わらないので、いつも順序立てて紐解くようにしています。


1 ERでのバイタルと投薬の確認と記載


ERで患者が安定かどうか確認します。


患者が重症そうならば、まず、すぐにERに足を運んで、患者がパッとみて重症そうか判断します。


2 かかりつけ医、薬局、連絡先の確認


もはや、現病歴よりも大切かもしれません。この三種の神器は必ず記載します。


退院する際や患者が急変した際など役に立ちます。


連絡先に関しては、Health Care Proxy (HCP)といって、患者が意思決定をするのが難しい際に代理で患者の気持ちになって意思決定をする人を確認しておくと何かと便利。


HCPは証明書類が必要なので、持参しているかも確認します。



3 コードの確認 Code Status

米国特有かもしれません。


急変した際の意思確認です。


記載必須です。


Full Code, DNR non DNI, DNR/DNI3つに別れます。


Full Code: 心臓が止まったら胸骨圧迫をする。自力で呼吸ができなくなったら気管チューブを入れて呼吸器で補助する。


DNR non DNI: 気管チューブはいいけど胸骨圧迫はいやだ。


DNR/DNI: 気管チューブも胸骨圧迫もいやだ。


後ろ2つは患者あるいはHCPから書類にサインをいただく必要があります。


4 既往歴、アレルギー、内服歴、家族歴、社会歴の情報収集


過去のカルテから辿ります。


社会歴に関しては、Home Health Aid (HHA)を使っているかも確認します。保険の関係で必要です。


5 データの確認

採血、画像、心電図など、一通りのデータをまとめておきます。患者のイメージがつきます。


6 簡単なAssessment and Plan書く

これらの情報を踏まえて、大雑把にアセスメント&プランを記載します。どんな情報が足りないのか自ずと浮き彫りになります。


7 電子カルテ上でオーダーをいれる

DVT予防、入院時オーダーセット、翌日の採血を無心で入力します。


これらをあらかじめオーダーしておかないと、患者がERから病棟へ上がってきたときに看護師が困ります。


これに加えて、必要な内服の再開、新規に開始する薬、画像、検査などを入力します。抗菌薬などは患者を診てからいれるのがベターです。


8 患者から情報収集


その後、ERに行って、患者から情報収集をし、診察をします。


NYの土地柄薬物中毒で情報が取れないことがあります。その場合は、身体のてっぺんから足先まで身体診察をしっかりやります。なぜなら、敗血症などの脳症とラリっているのが区別つかないことが多いからです (マジです)


特に、注射を使ってヤクをやってる人、IV drug user (IVDU)は気をつけましょう。


若くても心内膜炎 IEの可能性があるので、文字通り指先にも注意して診察が必要です。


9 現病歴の作成

患者から得た情報を基に、足りないオーダを入力します。その後、現病歴の作成です。カルテの最初の方に位置しますが、実は取り掛かるのは最後です。これに関しては、長く書く人もいれば短い人もいます。


現病歴の尺に関しては、Case by caseだと思います。例えば、インフルエンザ陽性で診断済みの人に関して、関節のどこどこの痛みが10段階でどうだとか拡散痛がどうかなど書いても無益です。一方、不明熱で来て、最近、アフリカに行ったなどあれば、確実にしっかりと書くべきです。


治療方針の決定に必要十分な情報さえあればいいと思います。


とまあ、これらの流れを凡そ12時間でやり終えるのが目標です。


7時になると、日勤帯への申し送りがあります。自分が入院を担当した患者を日勤帯にプレゼンします。


一日平均4ケースのプレゼンなので、プレゼンする側聞く側の双方の為にも、長くなり過ぎないように、適宜、割愛して説明するよう心がけてます。


具体的には、


1 診断は「~です」

症例発表ではご法度ですが、全体像を把握するのに有用なので、最初に診断をいいます。


2 「ビタミンを内服しています」

内服薬は必要なものだけ挙げます。ビタミン剤やアレルギーの薬などは話している嫌気がさすのでやめましょう。


3 「腹部は軟で圧痛はなく~」

例えば、足の蜂窩織炎の患者で腹部の完璧な診察所見をされても情報として価値はありません。この場合、足の所見だけをぱっと述べて、あとはunremarkableで終わらせて結構。


4 ラボ、画像、心電図など

同様です。大切な陽性所見と陰性所見だけ述べて、基本的に残りはunremarkableと端折った方が聴きやすいです。


5 サマリー

一通り、患者のプレゼンをしたら、治療方針を話す前に患者のサマリーをします。よくここでも、既往歴をタラタラと話す方がいますが、おそらく必要ありません。年齢、性別、主訴、診断で必要十分です。


6 治療方針はメインに集中

診断、入院経過、方針の3つの軸を話します。特にその日にやるべきリストはしっかりと挙げましょう。activeでないプロブレムに関しては、勝手にカルテを読んでおいてもらえばOK。全て話す必要はありません。


7 Any questions? 

最後に必ず質問がないか聞きましょう。


プレゼンが終わったらどこかしらで朝ごはんを食べたのち帰宅です。


家の近所に早朝から営業しているShake shackという人気ハンバーガー店の第1号店があるのでよくお世話になりました。


おすすめは、パテ二枚乗せに特製ビールです。テラス席で仕事に向かう会社員を酒の肴にビールを嗜み一日の疲れを癒します。












季節は秋を迎え, 日本での2週間の休暇を終えた私はNYに戻りました.

1日の休みを経て, 2週間の夜勤シフトが始まりました.

時差ボケのまま夜勤に突入するのが得策と考えた末, 敢えて帰国から勤務までの時間を短くしました.

内科研修医2年目として初めての夜勤. 心強いことにパートナーのインターンは日本人の先生となりました. 

インターンとは米国一年目を指しますが, 日本人の場合は大抵日本での経験があるため, 卒後年数とは関連ありません. 私の相方の場合も例外でなく, 日本では自分よりも卒後年数が上のため, 病棟業務は安心して委託できます.

2年目の仕事は主に新しい患者を入院させることなので, インターンが病棟業務をこなしてくれると助かります. 

夜間はインターン(1年目)とレジデント(2-3年目)の2人で最大40人の患者を担当します.

特に寝ていれば終わる日本の当直と異なり, 米国は多忙を極めます. 新患は平均4-5人. 日中までは自分以外は患者とコンタクトしないので責任は重大です.

レジデントはEDと病棟を忙しく行き来します.

入院のオーダーを入れ, 日本の病院では考えられないほどのノートを書きます. 数えてみたら, 今日の患者は一人で1350 wordsありました.

渡米してから3ヶ月を迎えた日本人インターンの先生に感想を聞いてみると,

「米国の頑張り方を模索しなければいけないのが大変」

と仰ってました.

確かに日本とは異なる苦労があります. 日本では初期研修を終えて, 後期研修医になれば医局に所属します. 大学病院に残る場合, その後のキャリアは多かれ少なかれ決まっているので, 日々の業務に励めばいいことが多いかと思います.


しかし, 米国の場合は自由度が高く, キャリアは個人の裁量に委ねられます.

米国の大学病院で勤務を希望するのであれば, アカデミックなFellowship programsに進む必要があります. その為にはResidency中に成果を出さなければなりません. 推薦状とか色々要因はありますが, もっとも明確な成果といえば研究です. 

Residency中に研究すれば良い!

と, 思うわけですが, 

日々の業務を頑張っていても研究はできません. プログラムの誰かにやれと言われるわけでもなく, 研究をする機会を与えられるわけでもありません.

何も行動を起こさないと何も起こらず終わります.

ただ頑張ればいいわけではありません.

与えられるものを甘受するだけでなく, 創意工夫を以って, 労力の投資先を探し出さないといけません.

臨床渡米の一番大変なところかもしれません.

考えてみれば, アメリカは常に選択の連続です. 

あまりにも自由度が高い上に不確実. 自分の選択が正しかったのかはFellowshipが決まらないと分かりません. あるいはFellowshipが決まったとしても分からないかも知れません.

この状況を楽しめる人が渡米するのだろうとふと思います.

自ら選択する自由と選択せざるを得ない重圧とのバランスです.

選択の自由を謳歌できれば渡米向きの人間なんでしょう.

逆に, 選択の重圧に押しつぶされるのであれば, 日本的なあり方もまた一つなのかもしれません.