J1ビザの宿命.
それは7年後に訪れるJ1 Waiverである.
J1ビザで渡米して7年後. 米国に永住するためには二つの選択肢に迫られる.
米国の僻地で3年間臨床に従事する. あるいは日本に2年間帰国する. 究極の選択である.
いずれかのプロセスを踏まないとグリーンカードを申請することができないのである.
O1というビザに変更する選択肢もあるが, J1 waiverを先延ばしにするだけなのと, 個人的にグラント(研究費)の関係で早くグリーンカード取得したいのでO1という選択肢は除外.
色々悩んだ末, 今のところ米国の僻地で働く予定である.
日本に帰国するのは魅力的ではある. と同時に居心地が良すぎて米国に戻るのがめんどくさくなるのではないかと懸念している. 週末ランニングする予定が結局家で一日ゴロゴロしながらYouTubeを見てしまうそれである.
米国の僻地での3年間をポジティブに捉えるならば, 臨床経験を積みながら荒稼ぎできることが魅力. さらにハワイとかでもしWaiverができたら毎日アサイーボール片手にアロハできるわけで, 人生の休息も兼ねてなかなかいいではないか.
米国のアカデミアを目指すときに懸念されるのが臨床力. 日本の医療ドラマの主人公は叩き上げのスキルで神の手を持つ外科医で, それと対照的に悪役扱いされるのが論文ばっかり書いていて臨床で役に立たない医者.
米国では後者の方が圧倒的に重宝される. アカデミックな病院では臨床をしている時間が短ければ短いほどprestigiousという節がある. というのも, 研究費が取れれば取れるほど, 臨床に時間を割かなくていいようになるシステムだから.
ガチなphysician scientistは基本的に研究8臨床2の割合を目指す. これが理想. 日本の場合, 殆どの臨床家は臨床99%でやってるし, 研究メインでやる人は臨床はほぼ0と両極端な構造である.
なので, 米国の研究者を日本の臨床側から見ると「臨床ヘタクソだなー」と揶揄されることがあるが, これは必然であり, 米国の医者もそこに重きは置いていない.
とはいえ, 日本生まれ日本育ちで日本の医療ドラマ大好きで大門未知子(ドクターX)に憧れる者としては米国の現状は看過できないのもまた事実.
臨床できない頭でっかちはイケてない. 欲張りである.この反動のせいか自分の目標は心臓集中治療医になること. 超重症な患者に対して挿管・エコー・ECMO・インペラ・カテを高いレベルで自己完結したいという欲張りな野望. これが出来れば研究メインでやってても臨床家にあーだこーだ言われることはないし, むしろ最高にクールである.
しかし, 全米探して色々やらせてもらえる施設があるのかははだはだ疑問である. 心臓集中治療の分野自体はデバイスの進化に伴い医学的に複雑さが増した結果, 心臓集中治療のニーズが高まり, 米国内で急速に発展している分野である. 昨年のJACCという超有名医療雑誌でも特集が組まれたほど.
とはいえ, いまだに確立した進路はなく, 内科専門医の後に集中治療フェローシップだけやる人もいるし, 循環器内科フェローシップをやった後に集中治療をやる人もいる. さらにその先のカテや心不全のアドバンスドフェローシップをやる人もいる. 正解はない.
施設によってもニーズが異なる. 当院の場合は医療請求の関係で集中治療専門の循環器内科はいない. 集中治療自体には力を入れていてCardiac critical care fellowshipという1年間の集中治療専門医が取れるコースやInterventional heart failure fellowshipといってカテやmechanical circulatory support (MCS)の専門家になるための2年間のコースもある.
タフツの2学年上の先輩は心臓集中治療医を目指してメイヨークリニックの集中治療フェローシップにいった. 心臓に重きをおいたコースがあるとかないと. 彼が指摘していたのはフェローシップが終わった後に残ることができるかどうか. その点タフツはトレーニングはいいけど心臓集中治療医のポジションはないのがデメリットだと指摘する.
他施設のことは知らないが, 集中治療と共にカテやエクモをやりたくても, 実際にやらせてくれる施設がなければ本末転倒である.
特にJ1 waiverとなればそもそも循環器内科のポジションを探すのが大変なのに心臓集中治療となるとさらに困難を極めると予想される. 別に(MICU)内科集中治療室や外科ICU(SICU)でも普通に働けるがいかんせん自分のスキルを最大限活かせる職場がベスト. 最悪の場合, 一旦ICUは諦めてカテの技術向上に専念してその後にICUにシフトしていくという手もあるはある. でもその場合はカテをやってる間にICUの能力が失われてしまう可能性が高いからむしろJ1 waiver前に集中治療をやるのは微妙じゃないか. Waiverが終わった後に集中治療フェローシップをやる手もある気もしてくる.
なかなか判断が難しい. いつまでも悩みが消えない今日この頃. さて, 脈絡もなくバス移動の暇つぶしに色々書いていたら一体何を書いていたのか忘れた上にいつのまにかニューヨークに着いたので今日はこの辺で終わりにします.
