今日で
わたしが訪問するのは
3回めくらいに
なるだろうか

100歳をむかえたマツエさん(仮名)は
入浴を心待ちにされており

わたし達スタッフが
挨拶すると

手を叩き
嬉しさを
表現してくれる

浴中は
手を合わせ

「ありがたい」
と何度も言われる

この日は
とてもよく喋ってくださり

足を洗っていると
「わたしの足は大きいのよ
13文あるの」


1文が何cmか
わからないわたしたちを
おいてけぼりにし


「わたしは
いくつになったのかしら?
90歳だった?」

年齢を耳元で
告げると

「あらぁー」
と  びっくりされ

また

しばらくすると
「わたしは
いくつになったのかしら?
80歳かしら?」

年齢が
だんだん若くなり

その
なんとも可愛い呟きに

終始
スタッフもニコニコで

マツエさん宅に訪問する度
暖かい心になる





一人暮らしをされている
タカシさんは

ポータブルトイレや
歩行器の置く場所
よく使うものは
ベットサイドに使い易いように
置いてあり

長年住み慣れたこのお家で
できるだけいたい
という 思いが伝わる

訪問入浴を利用されるまでは
「お風呂は
年1回  自分の誕生日に
息子が鳥羽の温泉に連れて行って
くれていた」と話され

自宅で
お風呂に入れる事を
とても喜ばれて

入浴中も
「もったいない」
「もったいない」
と何度も言われる

浴後
着衣が終わり

入り口に
目をやると

大きく
見やすい字で

襖に直接

かかりつけ医の
電話番号が書いてあった

「娘が書いていった
この家は
自分が死んだら
どうせ  壊すのだから」

寂しそうなその表情に
胸がキュンとなった

この家で
ご夫婦で
子ども達を育て

それぞれ
独立させ


たくさんの
思い出がつまった


大切な大切なお家を

子ども達が
大事にしてくれていない事が
どれ程
辛かったか

タカシさんの
寂しさに
頷く
わたしだった