何が欲しい?
どこに行きたい?
誰に会いたい?
何を遺す?

人がもし
ある日突然
自分に残された時間の終わりを
突きつけられた時

何を思うのだろうか
どう行動するのだろう

そんなテーマの映画やドラマ
小説は飽きるほど
たくさん見てきたけれど


もしも私ならどうするか
どうしたいのか

最近よく考えてしまう

私が欲しいものなんて
夫と娘の健康以外ない

もしお金でなんとかなるなら
全財産を投げ出すのに

何も変えたくなかった

変わることなんて
想像したこともなかった

特別なことなんて
何もいらなかったのに

ただ毎日が
当たり前に流れてくれていた
あの頃に戻れたら

目覚めて
仕事に行く夫を見送り

その後に
眠たがる娘を起こして
朝食を食べさせて
学校に送り出し

ゆったり家事をして
ニャンコを撫でて寛いで

それから私は仕事に行く

午後
仕事帰りに
夕飯の買い出しをして

夕方
娘が帰宅
その後は
習い事への送迎

6時過ぎ
夫が仕事から帰宅して
3人で今日あったことを
あーでもないこーでもないと
話しながら
夕ご飯を食べる

週末のお出掛けの予定を相談したり
ニャンコと遊んだり
食後のスイーツを楽しんだり


そんな日々は
もう遙か遠くに行ってしまったのか

夫の身体以外は
変わらないそのままのハズなのに

私の心はまるで違う人のよう
それはただただ
私の心の問題なのか

まだ我が家が
あの幸せな日常を取り戻せる
可能性はゼロではないのか

その可能性に賭けて
夫が治療を頑張っているのも
私は知っている


私達夫婦への
悪夢の告知から3ヶ月

私はどうやらわりと
薄情な人間のようで

告知当初は
あんなに眠れなかったのに
夜中の3時とかに
目が覚めていたのに

最近はきちんと朝まで
グッスリ眠れている

病院にせっせと通い
その他の時間は
いつも家にいる夫にも
私は慣れてしまったようだ

今日も肝臓の点滴に行ってきた
あと3日間通う夫

夫が病気であることを
私も受け入れたのか

これが我が家の
ニューノーマルとなるのか

買い物や夕飯作りを
頑張ってくれる夫

でもね
何もしてくれなくていいの

ただ
そこにあなたがいてくれれば
それでいい

それだけで何もいらないのに