いよいよ今日から
抗がん剤の予定

仕事をしていても
始まってるかな?
大丈夫かな?と
気になってソワソワする私

仕事中
ポケットの
スマホをふと見ると
夫からLINE

慌てて開く

『ポートが使えなくて
とりあえず今日の抗がん剤は中止になりました』

??

何それ
どういうこと?

頭がいきなり
ショートする

とりあえず
仕事が終わる時間まで
もうすぐだったので
大急ぎで残った
仕事を終わらせて

車で10分ほどの
夫の病院へ駆けつける

車の中でなんとか
はやる気持ちを
落ち着かせて

ナースステーションで
抗がん剤中止について
伺うと

すぐに医師がやって来た

夫の主治医

病室にいた
夫も同席して
あらためて
主治医の説明を聞くと

◯ポートと血管を繋ぐ管が曲がっている
◯抗がん剤を
いれる前に
主治医が気づいたため
抗がん剤が
漏れてはいない
◯明日ポート手術をやり直し
明後日から抗がん剤を
はじめる
◯こういうことは
たまに起こる事例ではある

主治医は丁寧に説明し
『ご心配おかけして申し訳ない』と
言ってくれた

私は
最初は
心の中は怒りが湧き
『はあ?』と
思ったが

顔には
出さない

今ここで病院と
ケンカしても
夫が困る

夫の抗がん剤が
先延ばしになるだけ

冷静に
冷静に私

そんな中

夫は主治医と
笑いながら
『参ったなあ。
まあ貴重な体験と思って頑張るわ』と。

あなたは
誰に対しても
同じ態度で
誰にでも優しい人

ああ
私はそこに惹かれて
結婚したんだったね

膵臓癌になり
余命を告げられても
その穏やかさ
優しさが
変わらない夫を
私は尊敬する

うん
わかったよ

私もここの
病院をもう一度
信じるよ

だから
お願いします

明日からは全てが
うまく行きますように