夫の膵臓癌
ステージ4
を告げられたあの日
絶望
絶望以外の言葉が出てこない
その後
混乱
パニック
不安
感情の波が目まぐるしく
私を襲う
そのときに思ったこと
『ああ、全て辞めてしまおう』
夫の仕事
私のパート
私の子供会役員
さすがに小学校は
辞めさせないけど
娘の習い事も
送迎があるし
辞めてもらおう、と
働かなくても
貯金はあるし
がん保険もある
うん
なんとかなる!
今は
仕事や他のこと
なんかしてる場合ではない
夫の治療に集中しなければ
子供会の役員仲間も
私の
事情を話せば途中で
辞めること
分かってくれる
全部
全部
投げ出してしまおう
そう思った
自暴自棄とは
ああいうものなのだろう
人生ではじめての気持ち
しかし
結局
我が家は
現在のところ
なにも変わっていない
なにも辞めたりはしていない
夫は仕事に行き
私も職場で働き
娘もせっせと
スイミングと塾に
通う
結局
私はそんな大胆なこと
行動に移せない
小心者なのだ
小心者
まさにわたし
小心者だから
いつでもどこでも
不意にスイッチが入って
泣いているのだ
夫や己や娘の
今後を憂いて
こんな小心者の私が
この先連続するであろう
厳しい試練に
耐えられるのであろうか