そしてぼくはまだここにいる。

6年と3カ月を過ぎた今でも、ここに居続けている。


しかしここにいることはもう長くない。

私の存在は、許されないことになってしまった。


私は自分のやりたいことをやりたかった。それは社会にどう役立つ仕事だとか、

そのようなえらいものではない。

窓辺で静かに本を読むこと。太陽の下で自転車をこぐこと。

おいしい晩御飯を作ること。じっくりものを考えること。

時間を気にせず生きること。

そんなことをやりたいだけだった。


えらいことなんかしたくない。あくせくに生きることもしたくない。

常に自分自身と向き合える余裕を持ちたい、ただそれだけだったかもしれない。


これが胸の内のホンネかもしれない。


タテマエで生きることが嫌いなんだ。少しずつわかってきたんだ。


おれみたいなやつは、これからどうやって生きていったらいいんかな?


そんなことを聞いても返事は返ってこない。


結局、私もまた目の前に起きる「現実」を、一つ一つクリアしていかなければならなくなtった。

「抜き打ちの尿検査だ。君、保健室行け!」

固唾を呑んで列から出た。冷や汗流れてきたのが感じられる。

「お行こう!よかったよかったちょっとみんなから抜けられる。」と、
何もないように装っているが、いろんな考えが頭をよぎった。

行き道に自販機がある!よっしゃ!こいつは俺の人生を救えるんだ!
「ちょっと待って、のどかわいたなー仕方がない」

保健室に着いた。ここからはタイミングとテクニックだ。
緑茶を口に入れて、食道に運んだかのようにのどを上下させた後、
紙コップをもらってトイレへ…

「大丈夫だ。陰性だ。」
「ありがとうございます!」

助かった!助かった!これで助かったよ!これで業界に復帰できるぞ!これで人生は狂うことなく順調に行けるんだ!
あの忌まわしいクサと錠剤のせいで人生を葬ることはないんだ!

その後に続いて二回目の打ち抜きもあったが、
緑茶の仕込みの手間を省いて、今回は便座の水を使った。
「白いなー」「来る前に水をいっぱい飲みましたので…」
ていう具合で、また逃れられた。

以上の話は、最近大相撲業界を揺るがす大麻騒動とは関係ありません。
5年前の実体験です…