ました。岡本敏子×よしもとばなな イースト・プレス
「岡本
いろんなことを考えるのは結構ですけど。
おかしいのよ。今そこに彼が帰ってきて抱き合えるのに、
『どこへ行っていたのよ。あの人と何かしてたんでしょう』
とか、そっちのほうを実在にすることはないの。
バカじゃないのと私は思うよ。今そこにいる二人が
向き合っているほうがずっと実在なんだから、
そのことを大事にすべきじゃない。ほかのことなんて、
やきもち焼いている暇はないの。」
「岡本
知って、相手をきゅうきゅうとっちめたから
どうだっていうのよ。私、本当にわからない。
自分の前にいなかったときのことを、なんでそんなに
実在にしたがるのか。」
「よしもと
でも、それは相手よりも自分の中の何かなんでしょうね。
わからないけど。」
「岡本
今、自分がここにいて、彼がそこにいて、
向き合っているんだからそれでいいじゃない。」
('-'*)(,_,*)('-'*)(,_,*)。。。