これだけ静かな年度末は一体いつ以来だろう、就職して3年目4年目位の、下っ端でのびのびと、生活の心配からも解放されて精神的にも伸び伸びしていた一瞬それ以来のように見える。
静かではあるけども、法律関係の変動はかなり大きい。身分の変動と言うべきか、長年意地になってしがみついてきた身分を、諦めなければならない。その手続きはおおかた終わっているために、表面上は至って静かで、外観上も動きなく、静謐の趣。しかし身分の変動がある以上静かでばかりいるわけでなく、一見穏やかそうでありながら内心波しぶき立つ様は、動きのなかったがために動揺の激しかった一時期、学校を出る間際、卒業式も欠席して、この先どうすればいいのだろうと頭を抱えていた時期に重なる。
年度改まって4月からの事は全く決まらず。いくつかの所を案内して戴いたり、相談員の方や人事の方とお話をする機会はいただいのものの、活動の場に出るには重症すぎるために現場として組織として対応できない、との理由で、いずれも受け入れには至らず。外での活動は難しい、というよりも自分の病態では箸にも棒にもかからないことは昨年の段階で指摘されており自覚もしていたから、そのこと自体は当然のこととして特段の感慨はない。何も決まらずに新年度を迎える覚悟を固める機会として受け止めようと思う。覚悟をしたうえでようやくと、昨年からずっと勧められていた方向へぐいと舵を切る準備ができた、そういう大事な手続きであったと、出来れば今年の夏までにはそう受け止められるようになっていたいと願っている。
そういう宙ぶらりんの時期なので、あまり表だって人様にお会いするのは気が引ける、まず間もなく期限の切れる肩書を語るわけにもいかないから、自分は何者かを人様に説明することからして難儀なものだから、気が引ける。しかし宙ぶらりんだから背負うものもなく率直な物語りすることの出来るときでもある。なので、3月の講話は断らずに受けた。
正式に発病して23年、患者会活動に参加してからも21年目となり、自分もベテランの域に入っている。これまではとても細かなテクニカルの話をすることが多く、テクニカルで無い一般的で有難いお話は専門家にお任せすることだから、当事者にしか出来ない細かなテクニカルをお話ししてきたのだけども、今年の講話では、この機会にこれまで省いてきた身上を明ら様にすることにしたいと考えて、事務の方とお話を進めているところ。何のことは無い先輩方の真似をしているだけの事なのだけれど。先輩方の披露して下さる「履歴書」は、私には何よりも生きたモデルとして大きな地図を示してくれているから、ちょっとだけでもその真似に近づきたいと願ってる。
頭の整理に、少しだけ流れを一瞥。
▢生育 社会性共感性の欠落、言語力の欠落等、今で言う緘黙症、今で言う発達障害。今さら診断を受けた所で治療できるものでもないので、医師も検査を受けたければ受けてもいい程度。今のところ検査を受ける予定もない。これを診察項目に加えると収拾がつかないので今のところ傍論以外では触れないでいる
▢10代前半 対人恐怖症状など神経症諸症状の深刻化
▢10代中盤 陽性症状の苛烈を極める。幻視はほぼ無し。幻聴の激しさ。死ね死ね大集団の襲撃 冷たい視線 「歪んだ笑い顔」集団。
実存的無価値観・反価値感。etc
芸術点の見事に高すぎる股裂き状態(生への執着の強さ、生に値しない反価値の確信・生を返上する義務感)
一度目に確実な方法で、しかしほんの僅かな偶然で生かされる。ここで精神科に繋がる。
二度目には確実性に劣る方法で、数日の入院のみで終わる。
よく言われる、一度目は躊躇いがあり不確実な方法、二度目には確実な方法で完遂に至る、とは異なる経過。
⇒昏迷状態にありながら、生き残ったことで一つの生まれかわり体験
問題の先送り
▢18歳~ 高校の卒業と大学入学、先送りした問題とも再開・直面
生きる以上は社会の轍から外れてはいけないとの強迫感もあり外観上は停滞なく順調にルートを進んでいる、しかし内実を伴っていない。
大学卒業、修士課程、一見順調に見えるから親族も治ったのではないかと錯覚。精神科医、学相の先生、患者集会の諸先輩方の支え、同病の仲間との出会い、などのお蔭でギリギリのところを生かされる。
▢浪人から就職へ 浪人と標榜していたが実際には就労不能を自覚する期間。障害を受け入れる手前まで。障害基礎年金の申請寸前までいくが親族の反対を受け中止(当時の診断書が残っているが、現在とは基礎疾患のリストがだいぶ異なる。三大精神病、薬物アルコール中毒、人格障害、知的障害など。現在のような、例えば“広汎性”といった曖昧さを許すリストにはなっていない)
⇒就労。まさかの展開。こんな奇跡はあるものか、諦めなくてよかったとの思い大。
▢就労状態 何一つ治ったわけではないので、治らずでも付き合いながら仕事をこなしていく技術を身に付けて行く。生活が安定したことに安堵、一時期伸び伸びとする。
~~→徐々にごまかしがきかなくなる。身体症状の悪化。二次的三次的な精神症状の発現。薬物依存状態へ。
▢健康状態の悪化 健康への無頓着、緩やかな自殺行為でもある。
次第に身体各所に不具合が現れる。しかし治療を受けない。
→要精密検査。2018年悪性の結果。翌年入院・オペ・等々、身体面でも正式に病人。別部位でもまた。
▢勤務先から事実上の戦力外 集団的組織的無視活動。これを受けて何人も辞めていくのを見てきて、いよいよ自分の番。悪あがきを見せる。意地になって勤務を続ける。やがて消化器系に異常、出血。
長年困ってきた物忘れが格段にひどくなる。思考言動の支離滅裂さにストップが効かない。こまごまと日常的にミスの発生。そして戦力外へ。法的な責任を負うようなどでかい失敗を犯す前に最後通牒を出して下さって、結果的にはよかった。
▢保健福祉など受給面 2014年保健福祉手帳2級(現在1級) 何のために申請をしたのか、一般就労はいよいよ厳しいと感じ始めていたため次の手を打つ準備として。結局就労面では使用せず。現在福祉サービスの利用に必須、申請して置いたことは適切だったのでは。
他の受給面は基礎が2級、これは最後の最期になって昨年に申請、審査期間は一か月と1週間、誰が見ても一見して明らかに該当するケース。疑いを容れないケースなので、結果待ちまで予定が立ちにくい、という期間のなかったことは有難かった。
▢現在 一旦表ルートから外れることで時間的に余裕、ゆっくりと振り返る時間。病識を新たにする。生活すること仕事をこなすことで必死であったために気付かなかったことに、どんどんと気付いてしまう時期。これまでの無茶を知る。身の丈に合った生き方を模索。身の丈に合った活動を医師とケースワーカーさんから提示される。それに向けて徐々に舵を切っている段階。
話すとあっという間なので、まだまだ肉付けをしていっているところ。患者会仲間と久しぶりにお会いできる楽しみ、というか不安、恐怖と、これまで隠してきた恥の部分も話さねばならない苦痛と。怖さ、苦痛がある分だけ、そのあとにはたとえがたい清々しさが待っていると、期待して。