新華僑のスゴい仕事術 陳 海騰 | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

★★★☆☆(星3)


<My Opinion>


百度駐日主席代表陳海騰氏が新華僑(改革開放後に中国を離れて世界を股にかけて仕事をしているビジネスパーソンのこと)を代表して自身の仕事流儀を紹介している本。


百度は検索サイトとしては日本で商業的に成功を収めているとは言えないので、著者の実力がどのくらいのものか測りかねるものの、著者は中国人であり、中国人特有の商人気質を武器としながらも日本人的価値観を十分に理解しつつ日本で日本語でビジネスをしているという点で「現地化」のロールモデルとしては非常に参考なる。


例えば、彼は現職に辿り着くまでに日系企業を数度転職しているが、その際は絶対に前の会社と喧嘩をしないようにする、悪口を言わない、ちゃんと引き継ぎをする、同業他社に移らないという鉄則を守ったらしい。このあたりは正反対の行動を取ることが多い中国人ビジネスマンと比べて、ビジネスパーソンのあり方としても正しいと思うし、日本社会では特に歓迎される思考だと思う。


新華僑のスゴい仕事術というタイトルであるが、本書では新華僑=著者であり、別に新華僑一般に通じる仕事上の思考特性、行動特性の紹介がされている訳ではないので誤解ないように。


下記参考になった点をメモ


<Memo>


●日本式人事管理は中国では通用しない
中国企業には基本的に終身雇用制度がない。ほとんどの社員は、1年単位で契約を更新していく雇用形態。優秀な人材は、今働いている会社をキャリアを積んで行く為のステップと考えているし、企業側も優秀な人材を他社から引き抜いて迎え入れようとする傾向が強い。


●現地の言葉を社内公用語にせよ
中国でいちばん成功している外資系企業である韓国のサムスン電子では、公用語として中国語が使われている。彼らが送り込んできた幹部はみな韓国人だが、全員中国語を勉強してから赴任する。彼らの中国での経営理念は「中国人に愛される企業」だというから徹底している。


●中国ビジネスを成功させる秘訣
キーワードは「職人の日本人」と「商人の中国人」。
日本人の職人気質は、生来の手先の器用さとともに、いい加減な仕事を許さないモラルの高さによって支えられている。日本人はまたきめ細かいサービスも得意で、日本を訪れる中国人は、デパートや温泉旅館での接客に目を見張る。相対的に見て、日本人の特性は「職人」である。職人が作ったものを商人が売るという形で手を組めば、間違いなくアジアナンバーワンになれる。職人と商人が手を組めば、日中間で大きなマーケットを分け合うことが理想だ。


●職人の技をほしがる中国人中間層
世界の一流ブランドを買い尽くした中国の富裕層が、次の段階で求めるのが「世界でたったひとつの、自分だけのもの」だという事実に次のビジネスのヒントを見いだすことができる。その流れは富裕層の次に必ず中間層に及ぶはず。現に、日本を訪れる中国人リピーターが、ヨーロッパブランドよりも日本の職人が作り上げる一点物を買い求めるようになっている。今、いいものをコツコツ作り続けている日本の職人たちに必要なのは、巨大なマーケットのニーズに関する情報と、製品を商品として流通させるための道筋だ。


●信頼できる中国人の見つけ方
中国でビジネスを展開するときに欠かせないのは、中国法人の設立。その際、現地の事情を良く知る人間を社長にして経営の権限を与えることが鉄則。現地採用であっても、採用した人物を1年ほど本社に呼び寄せて、仕事をさせてから社長として送り込むのが良い。

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