★★★★☆(星4)
<My Opinion>
本書は「日経ビジネスアソシエ」の2005年10月4日号から連載している「渋谷ではたらく社長のキャリアアップ塾」を加筆修正したもの。従って、夫々の内容が単発で終わり、全体としてまとまりがなくなることは否めない。しかしながら、この77のセオリーは全て藤田晋氏本人の実体験から得た経験知なので、自己啓発作家が同様のことを言うよりも腹に落ちる。
仕事の仕方を説くような本は、どれも内容が似通ったりしていることが多いという批判があるが、私はこういった本を一種の栄養補給だと捉えている。自分自身でも仕事のセオリーは言語化して整理してはいるが、整理したものを全て実行することは困難だ。そんなとき、自分が一旦言語化した内容であっても別の著者がカタチを変えて主張してくれることで、自分のものになっていなかったセオリーをうまく自分の行動に落とし込むきっかけを作ってくれる場合がある。ビジネス書は読みっぱなしではなく、実践していくことを意識して読む限りにおいてはいくら読んでも害はなく、むしろ積極的に読むべきだと思う。
以下は抜き書きメモ。
<Memo>
・上司に期待しない方が成長できる
・効率よりも場数が能力を決める
→仕事に就いたら、とにかく早く結果を出すことが重要。その為には「場数を踏む」ことが一番重要。仕事のできるできないは、要するに場数=経験の差で決まる。
・できる人より志の高い人と付きおう
・ロールモデルは「前例」に過ぎない
→「ロールモデルがいないからキャリアの先が見えない」というセリフを耳にするが、そもそも時代も自分自身も日々移り変わっていく中では、キャリアの先などそもそも誰にも見えないのではないか。むしろロールモデルを追うよりも、それを打ち破るような誰にも思いつかないロールモデルを自分で作ってしまうほうが望むキャリアを手に入れるずっと早道だろう。
・ドリームチームは意外ともろい
・ネーミングとスローガンに知恵を絞ろう
→Cyberagentの社内制度である「2駅ルール(勤務している職場の最寄り駅から2駅以内に住めば月額3万円が支給される制度)」はネーミングが奏功した典型例。「近距離通勤者に対する家賃補助制度」ではなく、キャッチーで分かりやすい「2駅ルール」にしたために社内で広く浸透した。社内制度だけでなく、会社のビジョンや事業目標は浸透しないと意味がない。借り物の言葉やありがちな言葉では、人の心には響かない。「自分達の言葉」を作る意識が必要。
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