岐路に立つ中国―超大国を待つ7つの壁 津上俊哉 | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

<My Opinion>

中国がどこまでの超大国となりうるのか、著者はその試金石として「7つの壁」の存在を指摘、今後の中国発展を定点観測する為の視座を読者に与えてくれる。

人民元問題の出口は見つかるか (第1の壁)
都市と農村 「二元社会」 を解消できるか (第2の壁)
「国退民進」から「国進民退」への逆行を止められるか (第3の壁)
政治体制改革は進められるか (第4の壁)
歴史トラウマと漢奸タブーを克服できるか(第5の壁)
「未富先老」問題を解決できるか(第6の壁)
世界に受け容れられる理念を語れるか(第7の壁)

どの「壁」についても著者の圧倒的な知識に裏づけされた踏み込んだ解釈が行われていて現代中国が抱える課題を知るには最適な一冊。巷に溢れている、シンクタンク等が中国政治、外交、経済、金融といったテーマ別に中国の課題を解説する類の本とは一線を画す豊富な洞察が本書にはある。著者いわく、この壁は難易度順らしい。確かに、人民元国際化については段階的に進んできているので相対的には一番難易度が低いといえるかもしれない。第二の都市住民と農民、又都市と農村の不平等問題になると問題解決の難易度は一段も二段も増す。これらの壁を中国が今後どう乗り越えていくのか、自分なりに仮説をもちながらウォッチし続けたい。

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