外国語の水曜日―学習法としての言語学入門 黒田 龍之助 | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

<My Opinion>


スポーツでも料理でも何でも物事を学ぶ時の共通事項だが、「実践」と同時に「どのように実践するか」という方法論を学ぶことは実践と同じくらい大切だと思う。「畳の上の水練」は実践を伴わない効果の低い学習方法の例えとして用いられるが、実際に水に入って泳ぐ練習をメインに据えつつ座学をすることは効果的なトレーニングプログラムだ。語学についてもスポーツと同様、語学自体の勉強を一生懸命続ける傍らで、勉強方法自体を勉強していく必要がある。そんな考えから、最近は中国語勉強をしながら息抜きに外国語学習法の本を読んでいる。中国語の勉強を開始して以来読了した下記4冊に引き続き、本書は5冊目。


・外国語学習の科学 白井恭弘

・外国語上達法 千野 栄一

・おじさん、語学する 塩田勉

・マルチリンガルの外国語学習法 石井 啓一郎


個人的な感想として本書は今の自分が必要としているものではなかった。「外国語の水曜日」というタイトルの文学的な響につられて買ってしまったが、これはあくまで言語学の世界を紹介することに力点が置かれた本だ。筆者の研究室に通ってくる理系学生が、生活の中心である研究を続けながらも、語学学習に奮闘する姿がユーモラスに描かれており読み物としては面白い。しかし、多少なりとも「言語学」それ自体に興味がなければ読み進めるのが途中で辛くなるだろう。語学学習方法を勉強するという観点では、5冊の中で「外国語上達法 千野 栄一」 が1番バランスが取れており、お勧めである。


1つ発見があった個所を抜き書きして終わりにする。


<Memo>


●日常会話という幻想


外国語学習の目指すレベルとして、「日常会話ぐらいは」という人がいる。甚だあいまいな表現だが、これはいったい何を意味するのだろうか?---中略---日常会話をナメテはいけない。日常会話はある意味では会話能力の総決算、最高段階なのである。知識がしっかりあれば、語彙が限定されている専門分野での会話のほうがむしろ楽なのだ。



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