都会の喧騒がひと段落した夕暮れ、冷凍庫を開けた瞬間、その奥に鎮座する無塩サバが目に飛び込んできた。
その姿は、まるで冷凍庫の王者とでも言わんばかりの堂々たるもの。
なんだこの存在感は、と内心ツッコミを入れつつ、背筋には妙な冷気が走る。
その夜、恐る恐るフライパンにサバを置くと、「ジュッ」と音が響く。
おいおい、まるでお供え物みたいじゃないか。
台所が一瞬、どこかの古びた神殿に見えたのは、気のせいだろうか。香ばしい匂いが漂う中、サバが「これが俺の実力だ」と言わんばかりに均一な火の通りを披露する。
ちょっと怖いけど、ちょっと感動。
翌朝、家族が食卓を囲む中、サバは静かにそこにいた…にもかかわらず、なぜか頭の中では「7,590円」の文字が踊り続ける。
数字がこんなにも不気味に感じるのは初めてだ。
それ以来、日常は少しだけ変わった。
洗濯機が変な音を出したり、テレビのリモコンが勝手に動いたり。
でも、すべてはきっとサバのせいだ。
いや、そう思いたいだけかもしれない。
それにしても、このサバ…ただの食材にしては、妙に人間くさい存在感がある気がする。
こちらを見つめ返す瞳、いや、いやいや…冷凍庫に戻しておけばよかったのかもしれない。
それとも、サバが新たな支配者になる日も近いのだろうか?
あなたも、もし冷凍庫でサバを見つけたら、覚悟を決めて向き合ってほしい。