何もない、白い部屋に木製の椅子がひとつ、真ん中におかれている。白い布をかぶった子供がひとり、ちょこんと座っている。その子の名前は樹(いつき)。明るい部屋、窓もドアもない。
日付も時間もわからない部屋の中で唯一あった「おやつのじかん」だいたい白い半固体でスプーンかストローで体に入れる感じだ。同じところが手前に開いて食事する。トイレもベッドもない。
ある日、来客があった…と言っても顔は見えないんだけど。声がするだけ。もう一度だけ聞くけど樹はどうしたい?
… …樹は答えない、答えられない。
いつからだろう…樹がしゃべらなくなったのは。ごめんね、いつき。またくるね。
いつ来ても、何度尋ねても樹は答えてくれなかった。このB3の施設が資金不足でなくなるかも知れないのに…
あれから、30年が過ぎてしまった。今では廃墟と化したあの施設に、まだ樹はいるだろうか?
日付も時間もわからない部屋の中で唯一あった「おやつのじかん」だいたい白い半固体でスプーンかストローで体に入れる感じだ。同じところが手前に開いて食事する。トイレもベッドもない。
ある日、来客があった…と言っても顔は見えないんだけど。声がするだけ。もう一度だけ聞くけど樹はどうしたい?
… …樹は答えない、答えられない。
いつからだろう…樹がしゃべらなくなったのは。ごめんね、いつき。またくるね。
いつ来ても、何度尋ねても樹は答えてくれなかった。このB3の施設が資金不足でなくなるかも知れないのに…
あれから、30年が過ぎてしまった。今では廃墟と化したあの施設に、まだ樹はいるだろうか?