シベリアンハスキーは傍らに,,, | Councelor Satoshi

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あれは確か6年前だ。

街の定食屋のテレビでオーロラの特集が組まれていて、
それを見た瞬間に「見に行こう!」と決意した。

 

弁護士を目指すべく高校生のころからひたすら勉強をしていたが、
そういえばゆとりもなにもなかった。

 

心は荒涼とした砂漠のように乾き、
體はさびついた歯車のようだった。

オーロラを拝むこと自体が困難ということも知らずに、
思い付きで航空券の予約をしてノルウェーに訪れたことを今考えると、
無計画に無鉄砲をかけ合わせた行動だとも思う。

さらに思い立ったタイミングも悪かった。
一年の中でも寒いとされる時期だったのだ。

-20℃という極寒を数値でしか捉えずに、
「めっちゃ防寒すれば大丈夫でしょ!」
と考えた自分の浅はかさにはムンクの叫びと同じくらい、
開いた口がふさがらないだろう。

しかし4日という短い滞在期間でオーロラが見れたのは幸運だった。

元々そこにあったオーロラが何かの気まぐれで姿を現したように感じた。
何かに隠されていたのだろうか。

それとも私たち人間の目がそこにあるオーロラを認知できないからかもしれない。
そんな私たちに気を利かせてオーロラが見えるようにしてくれたのだろうか。

それがもっともらしい。
私たち人間は見たいものしか見ないのだ。

心理学の世界では「スコトーマ」というが、
この世の中には見えない世界(盲点)がたくさんある。

 

シベリアンハスキー

ノルウェーに滞在しているとき私の傍らにはずっとシベリアンハスキーがいた。

犬ぞりを10頭ほどで引っ張っていくその訓練された姿を見ると、
人間のエゴによってそうさせられているのではないかと感じた。

ただその役目を終えると彼らは調教を行っている現地人のもとに向かい、
その愛らしさを最大限表現している。

犬は与えられた役目を忠実に果たすことそれ自体が幸せなのかもしれない。

そう考えるとその訓練された動きは、
決して義務感からの行動ではなく忠誠心の表れに感じたし、
ある種の気高さと雄々しさを感じた。

だからといって近寄りがたさはなく、
目で会話をしようとすれば近づいてスキンシップをとってくるほどに
人懐っこい性格にはとても癒された。


シベリアンハスキーはその名前の通りロシアのシベリアを生まれとする犬で、
運動量が他の犬種に比べて非常に多い。

そのため彼らの真骨頂は寒い地域と広大な土地で活かされるのだ。

日本の冬以外は彼らにとって暑いからだろう。

常に口を半開きにしてハァハァ言っているせいか、
日本ではたまにバカ犬と揶揄する人もいるぐらいだ。

何を言う!

シベリアンハスキーのその気高さと雄々しさは日本では表せない。

運動量が多い犬種でもあるから、
そのダイナミズムも狭い土地の日本では味わえない。

個性が活きるには適所がある。
それを忘れてはいけない。

私たちは知らないことは知覚できない。


世界

世界をあるがままに見る

人間は自分の見たいものしか見ないし見れない。
オーロラの神秘とシベリアンハスキーの雄々しさを目の当たりにした時に私はそう感じた。

生まれ育った環境・教育・経験に基づいてでしか世界を解釈できない。

それは自分自身にも他者においてもそうなのだ。
自分の価値観で全ての事象と他人を解釈するのは愚かなことだと思うし、
なによりも新たな可能性を閉ざすことになる。

私が見たシベリアンハスキーのノルウェーでの気高さを知らなければ
一生バカ犬のレッテルのままかもしれない。

それはもったいない。

世界を見る解像度が高まれば高まるほど、
小さな幸せにも気づくことになる。

私が常に旅をするのは新たな発見を得て、
世界をあるがままに見るためだ。

Mount Cook, New Zealandにて

ノルウェーを訪れた後、私は弁護士を目指すことを止めた。

初任給1500万円を超える弁護士がいるなか、
4万円の家賃さえ払えないほどの弁護士がいるほど歪みがある業界で、
私は自由も豊かさも手に入れられる気がしなかったのである。

大学を中退した後にニュージーランドに訪れ、
日本では見れない広大な大自然と地平線を見た私は、
新たな世界に踏み入れたような気がしたのである。

大学を中退した私にニュージーランドが
門出を運んでくれたのである。

弁護士に理想を描いていたころには視界に入らなかったものが
オーロラを見ることで目が洗われたのだろう。

人は世界を見たいようにしか見ないし、
聞きたいものしか聞かない。

今までの自分の経験でしか物事をはかれない。

世界を在りのままに見るには、
非日常を味わうという世界を旅する経験が必要なのだ。