情熱の欠片 | Johnnyのブログ 「Welcome to the Moomin village」

Johnnyのブログ 「Welcome to the Moomin village」

自由に気ままに
歩いて旅をしたい…

多くの事は望まない…

小さな幸せを感じていれば
それでいい…

このまま車が彼女の家に着き、小さな「サヨナラ」をした瞬間、もう一生彼女に会えないことは解っていた。
僕がその事を告げると、声もたてずに彼女は泣いた……

僕はたぶん彼女が好きだった……
そして彼女もたぶん僕が好きだった……
何年かの間、二人の間には暗黙の見えない線が引かれていて、その線をお互いに越えようとはしなかった。
軽く楽しく生きることが、流行っていた時代だった。

彼女は数日後、海外に渡り、そこで結婚してそこに永住する。
どこかの時点で見えない線を越えていたならば、人生は変わっていたかもしれない。

あれから長い年月が経ってしまった。
時が経過するというのは想像しているよりも早く、そして残酷だ。


僕はあの日から彼女に会っていない。
ここ何年かは思い出すことすら殆どなかった……

先日、古い小説を本棚から取り出した時、一枚の写真が足下に落ちた。

遠い日の夏は、なぜこんなに感傷的にさせるのか……

情熱の欠乏……
だけど今の僕には後悔するほどの情熱さえ持ってはいない……

今となっては彼女を抱いた時の柔らかい感触だけが、唯一の情熱の欠片なのだろうか……