Absolute Skating proboards

 

 

  Interview : Elena Vaytsekhovskaya

 英訳 copyright:Reut Golinsky

 日本語訳 copyright:snowy

 

残りの人生でやりたいことを見つけた

 

E: Elena

S: Stephane

 

E:7年前のインタビューでお話いただいたことをよく覚えているのですが、そのときすでに引退されて いて、引退後の感想をこんなふうに表現されていました。〝次に何をして、どこへ行って、何をすべきかよくわからない。たくさんのショーの予定があったので、どんなふうにパフォーマンスしようかと思っていて、でも同時に、まだそれがやりたいのかわからない。そして自分がやりたいことは何だろう“と。私はあなたがコーチになるとは少しも予期していませんでした。

 

 

S:そのときから僕くにとってスケーティングがそれほど重要か気がついていたんだと思います。スケートは僕の人生。2010年に競技に出ることをやめて、振付のセミナーを始めました。そしてそれがとても面白いことに気づきました。教えたり、自分の経験を分かち合ったり、できる限り自分がしたような間違いをしないように導いたりすることが。

 

コーチングはピーター・グルッター先生の助手からはじめました。彼にはふたりの素質のある生徒がいて(ノアとノエミのボーデンシュタイン姉弟)、彼らをみていた。それからしばらくして彼らのお母さんが来て、ローザンヌで、彼らが住んでいるところにより近いところで教えることが可能か聞かれました。ピーターはジュネーブで教えていたので。僕は賛成した。いろいろな細かいいきさつがあって、僕自身もまだスケートをしています。

 

しばらくして、コーチングは素晴らしいもので、これが僕の残りの人生でやりたいことなんだとわかりました。僕は分かち合うのが大好き。個性を理解して、身体のメカニズムをどう技術に反映させるかを教えるのが大好き。教えることはそんなふうにクリエイティブな仕事なんです。生徒に与えなければならないけど、生徒はエネルギーを持って、僕に与えてくれる。とてもよい関係が築けて、生徒も成長することができる。でもあなたの言う通り、競技に出ていたころは自分がコーチになるとは全く考えていなかった。

 

E:お聞きしづらいことですが、ユリア・リプニツカヤが以前に夏で(2016年夏)にシャンペリーに振付に来た時のことについてこんなふうに言っています。ステファンはステップをし始めたがそれがとても速くて、アレクセイ・ウルマノフと私はポカンとして彼がどういうことをしているのかわからなかった。もう一回やって見せてといったところ、彼は繰り返してくれたが、すべてがまったく違うものだった。彼は無意識のうちにそれをやっていて、ステップの種類やその順番も記憶にないときがあった。

 

S:たぶんまったく違うということではないと思う、、、違うことをやったかもしれないけど、生徒を教えるときもやっていることです。僕が教えたいのは、フィギュアスケートでは、やることはそんなに多くない。どんなふうにやるか、ということです。誰でもツイズルができる。どんなレベルでも。小さな子にツイズルを教えると、練習で何百回繰り返した後、ようやくできるようになる。でもどんなふうにやるか、つまりは美しさです。それだからただツイズルを教えるのではなく、それをすることでどう感じるか、音楽にのせて、最高に美しいツイズルとして輝かせるかということを教えたい。美しさのために。

それにユリアたちに見せたステップは様々なバリエーションがあって、でも、水はいつも同じようには流れませんよね?それに僕たちは昨日と同じ自分じゃない。常に学んでいるから。そして氷の上にのったとき、魔法が起きるんだ。僕たちがどんなスケーターかを見せられる。いい加減なことはできないんです。

 

E:今もピーター・グルッターと一緒に仕事をしていますか?

 

S:ええ。

 

E:多くの有名なスケーターに振付をしていますが、その人たちのなかにはあなたにコーチをしてもらいたかった人もいるかもしれません。でもあなたは無名のジュニア選手のほうを選んだ。それはなぜでしょう?

 

S:コーチをはじめたときから、スケーターと仕事をしています。ノアとノエミは2012年の僕の最初の生徒。彼らがシングルジャンプをしていたときから教えている。僕はノアがダブルジャンプをはじめたときのことを覚えている。とても面白かったよ。そしてもちろん、シャンペリーの僕のところへきたほかの生徒たちも。生徒たちが望んでいるのは僕たちの持っているような静かな環境。個々のスケーターに合った環境だと思います。

 

デニスが僕のスクールに来た時、彼は怪我をしていた。僕は医者じゃないし、理学療法士でもない、でも同じ経験をしてきたから、早く回復する方法を提供することができました。そういう人とのつながりがあって。コーチとして自分自身ですべてできるわけではないということがわかるのはとても重要なことだと思う。コーチはガイドでなければならない、でもすべての仕事ができるわけではないんです。チームワークなんだ。今シーズンのように、僕はサロメにデニスのプログラムをケアするよう頼むこともできる。ピーターには、僕がほかの生徒と遠征しているときに面倒を見てくれるようにお願いすることもできる。それはとても重要なことで、パズルのピースがすべて合わさって完成するんだ。ひとりだけではとても難しい。そしてシャンペリーにくる人たちはほんとうにこのチームを信頼している。

 

E:まだ、わからないところがあるんですが、あなたはいつも演じることがだいすきだし、時々サマーキャンプにトップスケーターたちがシャンペリーを訪れる一方でショーをかけもちして滑っていました。自分のスケートのための時間がないしやりたいことをする時間もないのでは。

 

S:そんなことはありません。時間はある。スケートよりほかのことをする時間がないだけ。僕にとって24時間がスケートのための時間。でも僕自身のためのスケートの時間はあって、自分で振付をしたショーをやる時間もあります。それに練習もできている。今はそれをやめようとは思わない。なぜなら演じることはいまだに素晴らしいことだし、本当に楽しんでいる。昨シーズンが終わったあと、夏に日本でショーがあったとき、氷の上に戻ってきて演じるのは本当に素晴らしいことだと感じました。そのためにたくさんやることがあっても。僕はこのふたつのことができて本当に幸せ。それでバランスがとれているんです。

 

~リスクをとる人たちを好む~

 

E:かつてあなたは最初にクワドを跳んだスケーターのうちのひとりでした。今ではもうすぐ男子シングルのジャンプはすべてクワドになるだろうという議論がされていますが、この傾向についてはどう思いますか?

 

S:僕はリスクをとる人たちが好きです。個人的にはとても興味深いのは、僕が競技に出ていたときには、自分自身を前進させるため、もっとうまくなるためにやっていた。でもプログラムにはバランスもまたあって、要素のつなぎだけではない。全体のパッケージなんだ。それが僕が追い求めているもの。リスクをとってしかも全体のパッケージを崩さない最適なバランスを見出す必要があると思う。そして今は最良のバランスではない気がします。

 

E:だれのプログラムがバランスがとれていると思いますか?

 

S:名前をあげなきゃいけない?

 

E:もちろん。

 

S:エフゲニアをブラチスラバで観て、彼女のショートプログラムを本当に堪能しました。彼女は技術も感情表現も素晴らしいと思う。キャラクターになりきって感情を伝え、ジャンプにばかり集中しすぎない、それでもジャンプが跳べているという良いバランスがあると思う。デニスの新しいプログラムはどちらも大好き。クワドを入れることになるだろう、彼は氷の上で何度もそう言っているんだ。彼はとても情熱的で、音楽をとらえるのもうまく、感受性が鋭い。僕たちはそんなスケーターが理想なんだ。僕たちが理想とするのはリンクを震わすようなスケーターだ。

 

E:羽生結弦がオリンピックシーズンにかつてのプログラムを再演するのはどう思いますか?

 

S:最初はどうかなと思ったけど、クリケットクラブで彼に会って、フリープログラムを見てほしいと言ってきました。そこで彼の技術の正確さ、音楽のとらえ方にすごく感心した。プログラムを再演することで、動作を少し深くすることができたんだと思う。最終的には悪いアイデアではなかった。ショートプログラムのショパンも、どのブラケットを見ても熟達したと感じます。音楽にのせた動き、アクセントの取り方、成熟したプログラムを見るのは本当に素敵なことです。一方では新しいプログラムを見たいとも思う。彼は非常に能力のある選手ですから。

 

 

E:アリーナ・ザギトワのドン・キホーテについても似たようなことを言ったのですが、このシーズンは昨シーズンよりさらに印象ぶかいものになりました。この成功したプログラムをもう一シーズン続けるというのは正しいことのように思えるのですが。

 

S:でも彼女の年齢を考えると、、、結弦はすでに世界チャンピオンになっているし、オリンピックチャンピオンだし、そういった点から彼は成長した選手だといえます。ザギトワのキャリアははじまったばかりだし、早く成長しないといけない。2年同じプログラムを続けたら、まだとても若いのだから、成長はまだこれからです。プログラムを変えることで成長できるのです。それが新しいチャレンジになるから。だから若いスケーターには同じプログラムを2年、3年と続けることは勧めません。もちろん、2年やったら滑りやすいだろうけど、若いときは自分にチャレンジしないといけない。それが自分を成長させるんですから。

 

E:ザギトワのようにすべてのジャンプを後半に入れる傾向についてはどう思いますか?たぶん前半に入れたほうがやりやすく、力があればより高いGOEを得ることができるのでは?

 

S:たぶんそうですね。グループの6人目の滑走で、氷の上から長く離れているとすれば。そしてすべてジャンプを後半に入れるということは、前半の部分はウォームアップになる。だから2分ウォームアップしてからジャンプジャンプジャンプ、ということになりますね。

 

プログラムをはじめるために2分間あるようなものだから、構成としては理想的とは言えません。バランスのよいプログラムは、密度の変化のあるものがより面白いと思う。次はスピン、ここでステップシークエンス、もう一度スピン、のような予想がつくものより。知っているものより。後半に入る前はウォームアップなんだ、って、わかりきっていて容易に予想がつくからね。

 

(ここに段落がひとつあるのですが、意図がはっきりしない箇所がありましたので

残念ながら割愛します(T_T))

 

E:今年オリンピック用のプログラムを何曲振付しましたか?

 

S:ミハイル・コリヤダにステップシークエンスと両方のプログラム、デニスには僕がショートをつくって、フリーはサロメと一緒につくった。シブタニ兄妹には両方のプログラムのアイデアを。

 

E:彼らがスイスに来たのですか?

 

S:そう、ワールドの後にスイスに来ました。それから昌磨と両方のプログラムの解釈について。

これで全部かな。そしてディアナには、もし出場できればだけれど、ディアナ・ニキティナにはフリーを僕がつくってショートはサロメとつくった。これで全部かな。ショープログラムと合わせて、もう充分つくった。

 

E:エフゲニー・プルシェンコと仕事をしたとき、彼のプログラムにあなたの振付がほとんど残っていなかったのを見て困惑されたと記憶しています。コリヤダについては、私の知る限りでは、あなたが意図したステップの一部を変えたようですが。

 

S:いくつか変えたものはあるけどおもしろい動きも残っていてとてもうれしい。それにとても難しいプログラムだけど彼はそれを保っている。自分自身にチャレンジしている彼がとてもうれしいです。彼はどうすればいいか知っているし、でも考えはじめたとき、、、練習で今朝、考えすぎて失敗したんだ。彼はただ楽しむことが必要だ。とくにフリーのエルビスプレスリーではね。見ているととても楽しくて、彼に楽しく演じるのが必要なんだ。