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http://www.absoluteskating.com/index.php?cat=articles&id=2018artoniceInterview & article copyright:Reut GolinskyJapanese translation:snowyアートオンアイス2018のオープニング前夜、次々とリハーサルのビデオが流れ、美しく奇抜な衣装と比類ないステージデザインがソーシャルメディアに現れると、去年のショーを思い出すとともに明日どんなことが始まるか想像せずにはいられない。「アート・オン・アイス」2017は素晴らしいキャストを集め、いつものようにスケートと音楽は完璧なバランスに達し、スケーターの魅力を強調したレパートリーと、爽やかなリメイクを施した新しいプログラムがオンアイス・オフアイスで繰り広げられました。。アンナ・ポゴリラヤは2014/15シーズンのエキシビジョンナンバー "Rise Like a Phoenix"を再現しました。特筆すべきはビートを逃すことなく曲の途中でコスチュームを変えたことでしょう。髙橋大輔は’キャラバン’’。「3年前のプログラムです」と語った。「観客をハッピーな気分にして、楽しんでもらいたいので、ベストな選択だと思いました。」ステファン・ランビエルはかの有名な「Four Seasons」。アート・オン・アイス2010で一度演じたことがありますが、今回は面白いひねりが加えられました。彼の教え子であるデニス・ヴァシリエフスとのデュエットです。すべてがはじまったのは半年以上前の5月。その頃デニスはアレクセイ・ウルマノフの生徒で、振付のためにコーチとスイスに来ていました。多くの人が信じていたのとは違って、デニスのロングプログラムにヴィヴァルディを使うアイデアはステファンではなくウルマノフのアイデアでした。ステファンは「私は自分が演じたバージョンを使用したくなくて、他のものを探していました。マックスリヒターのアレンジが本当に気に入りました。リズムは少し違っていて、より現代的です。デニスのような若いスケーターにとてもぴったりだと思いました。」それから2、3カ月して、デニスがコーチになってくれるようステファンに頼んだのです。シャンペリーでの長い練習の間、デニスはステファンの動きを忠実に手本にして、プログラムを洗練させ、スタイルを改善しようとして、そしてこのアイデアが生まれました。ステファンとサロメがこの面白いアイデアを思いついたのです。コーチとコラボレーションナンバーを演じるのはとても光栄なことです。素晴らしい経験でしたし、とても楽しかったです、とデニスは述壊しました。台本(筋書き)、というものがステファンのプログラムには常にあって、このプログラムはエネルギー、創造性、インスピレーションなど全てが目覚める時代の "春"から始まります。この部分は新しく、特にショーのために振付されました。デニスが氷上を歩くと、ステファンはこのすべてのエネルギーとインスピレーションを彼に伝えます。それから、デニスはひとりで彼のフリープログラムの一部を続け、その気持ちをますます広げて、彼に参加する他のスケーターに渡します。最後の部分は、年を終えてサイクルを閉じる「冬」です。再びステファンのソロにうつり、オリンピックで演じたその独特の "Zebra"のステップシークエンスに戻ります。次世代との共有が主となるテーマのようです。ステファンがコーチングを始めた直後に頻繁に考え始めたことでした。ショーのクリエイティブディレクター、ヘッドコレオグラファーショーの、シーン・チーズマンは(今年は5年目になります!)アイデアを提供し、後に新しいプログラムを滑るスケーターに詳細な部分と全体的な方向を示しました。「最初にこのプログラムを床の上で振り付けました」と、髙橋大輔が「The person I should have been(あるべき姿の自分で)」のプログラムがどのように作られたのかを語りました。「床の上でつくったものを氷の上で演じるのは初めてでした。ホームレスの人についての少し悲しい物語ですが、好きなプログラムです。コンセプトは、貧しくなったかつて裕福だった人物を描いているので、彼の衣装はスタイリッシュでカッコいいはずだけど、くたびれ果てていて、あちこち破れているんです。でも彼は、この人物は、それでもまだカッコよくいようとして、人間性を保って、シャツに花を飾っているんです。リハーサル中はどのように見えるか分からなかったけれど、ショーでジェームス(モリソン)はとても素晴らしくて、このナンバーを滑るのはとても気持ち良かったです」
http://www.absoluteskating.com/index.php?cat=interviews&id=2018ogquotesInterview & article copyright:Reut GolinskyJapanese translation:snowyD: Deniss VasiljevsR: Reut GolinskyS: Stephane LambielD:僕たちは歴史の一部になろうとしていると思うんです。この試合に出場する僕たちのひとりひとりが、家族の歴史をつくるのです。存在していただけでなく、オリンピックという最高の舞台に立つのですから。これ以上のことはありません。僕にとっては大きく前進する一歩ですし、とても誇れることです。ここにたどり着くまで頑張ってきました。一歩一歩、、、R:デニス、コーチのステファンは3回のオリンピックに出場しました。ステファンから何かアドバイスはありましたか?D:できるだけ楽しんで、その場にいることを。と。R:ステファンはかつてこのように言っていたと記憶しています。2002のソルトレイクシティーは楽しく、2006トリノはとてつもないプレッシャーがあったと。S:そう、それでも楽しかった。でも最初のオリンピックはまるで冒険だね。デニスはリレハンメルで冒険は経験済み。僕にとってソルトレイクシティーは初めての大きな国際試合だった。ヨーロッパ選手権には2回出場していたけど、それまで世界選手権には出たことがなかった。だから世界中の優れたスケーターとの試合はそれが最初。彼はもう2回世界選手権に出ているし、グランプリシリーズにも出ている。記憶や経験の束を持っているからね。でも僕たちはしょっちゅうこの経験をどういかすかについて話している。いかにこのプレッシャーを糧にして前に進むかというね。D:僕はヨーロッパのオリンピックフェスティバルに参加したときは、家族の全員が集まって楽しむみたいな感じでした。リレハンメルではまるでオオカミたちが戦いに集まったたみたいでした。とても楽しめたと同時に、攻撃的な気持ちになりました。今はビッグゲームに向けてどんなふうになるだろうと楽しみにしています。R:オリンピックの間に特別に楽しみにしていることはありますか? D:アリーナ全体を見てみたいです。リンクの中心に立って、巨大なエネルギーの泡のなかで観客の喝采を浴びる瞬間を楽しみにしています。 S:アリーナに立つ剣闘士だね、、、まさに自分がリンクに入ったときのような気持ちだよ。
http://absoluteskating.com/index.php?cat=interviews&id=2018musiconiceInterview & article copyright:Reut Golinsky 日本語訳 copyright: snowyLaurent Tobel Entertainment SAプロデュースで毎年行われるショーが、今年は「School of Life」をテーマにして、スイスのBellinzonaで1月5日と6日に開催されました。キャストの中で一番若いスケーターのひとり、ラトビアのチャンピオンでありステファン・ランビエルの教え子のデニス・ヴァシリエフスと、ヨーロッパ選手権とグランプリシリーズメダリスト、フィンランドのキーラ・コルピ に話を聞くことができました。このショーやプログラムへの思いと、人生におけるショー、スケーターとして、また人間的な成長について話をすることができました。そして、この「スクールライフ」は、個人的には素晴らしいレッスンで、ふたりから多くのことを学びました。DenisVasiļjevs:「ショーがスケートを上達させる」R: ReutD: Deniss R: "Music on Ice"は2回目ですが、このショーの全体的な印象はどうでしょう?他のショー と比べて特別なところ、違うところはどういうものでしょうか。 D:このショーはリンクがとても小さいので、非常に良い挑戦ができます。リンクにジャンプやスケーティングを合わせなければならないので、チャレンジしがいがありました。スピードを上げることに慣れているので、広いリンクでも小さく感じることがありますが、ここはさらに小さいので、すごくきつく感じます。鳥かごに閉じ込められたような感じがちょっとしますね。でも、なんとか上手くいって満足しています。お城のような装飾も楽しいです。これは他のショーでは見られません。この装飾が私たちが伝えようとする物語のムードに観客をもっと引きこみます。それに、音楽が本当に楽しいです。この屋根のおかげで、音楽がダイレクトに観客にとどくのではとおもいます。これは特別な感覚です。キャストにまた会えるのもうれしいです。ほとんどが去年と同じ方々ですし。R:ここではエキジビションやショートプログラムを選んでいますね。なぜフリープログラムではないのでしょう?D:リンクが小さすぎるのです。カーブでスケートするのは足にかなり負担がかかります。広いリンクでは直線が多くあるので、それほど押す必要はありません。しかしここでは曲線を描く必要があり、それでステップシークエンスがより難しくなるのです。R:ヨーロッパ選手権の前の良い練習になりますね!D:はい、通常ではできない良い練習ができていると思います!R:コーチのステファン・ランビエル(StéphaneLambiel)が現役の選手だったころ、競技のシーズンの間にショーに出るのは「気が散る」として賛成しない人もいました。私は彼が現在あなたをショーに出していることを意外には思いません。彼はいつもショーが役立ったという信念があったので。あなたはそれについてどう思いますか?D:僕の考えでは、ショーは絶対に必要です。観客がショーをひたすら楽しんでくれて、それによって、彼らから受ける感情で「再充電」できるからです。それが自分自身をさらに押し進め、より上手くスケートをする助けになりますし、モチベーションが大きく向上します。そしてショーは楽しい時間や面白い経験をすることだけではありません。非常に困難な状況下ですべる機会でもあります。そしてまた、それが大好きです!本当にやり続けたいと心から思います。 場所を変えると、環境のなかで変わるものもあって、例えば氷が変わるんですが、これは常に1つの場所にとどまっているよりも良いことです。それが経験というものであり、環境が違うほど面白いものです。色々な障害を克服しなければなりませんが、それはとても良い学習でもあります。これも練習ですが、これは通常の練習というものとは違う練習です。しかし、まだするべきことがたくさんあり、僕はスケートを続け、毎日ベストを尽くそうとしています。 R:衣装について質問があります。エキジビションのThey live in youでは、Villarsで違ったオリジナルの衣装を着ていましたが、ほかの機会では、数年前のステファンのプログラム "Water"のシャツを着ていますね。それはどうして?D:僕が思うに、「They live in you」は、もともとはVillarsで観客が見たいものとは異なる意味を持っていました。したがって、衣装は異なります。僕がこの曲を聴いていて描いたイメージは、火のような、別世界、霊的な世界につながるものでした。自分なりの解釈では、人は肉体を脱ぎ捨ててその世界に行くことができます。たとえば、人は燃え尽きると、魂は別の世界にたどり着きます。ステファンが彼のプログラムで表現していたものとは違って、この赤い衣装は、個人的には、火花につながり、別の世界に行くためのあるポータルにつながっています。これは僕がお話しできる最も簡単な説明です。(笑)R:面白いですね。だから、あなたは単にステファンのワードローブのシャツを使ったわけではなく、意図的に用いたのですね。。この選択は意味があるのですね!D:僕には独特の見方があるように思います... [ライオンキング]のミュージカルでは違いますが、個人的には自分自身の世界にはついてもっと。そして、僕はこの色が本当に大好きです。このボルドーの色は、内面的な世界と関連していて、少し神秘的なところもあります。この衣装は、僕の中にある神秘的で深い世界を表しています。僕はこの衣装が本当に好きで、まさにプログラムの特徴をイメージしたものです。少し変えることもできたかもしれませんが、それはしたくありませんでした。そもそもステファンの衣装ですし、彼にはそれにまつわる彼自身の思い出があります。僕はその衣装を使って良いか尋ねて、お互いにそれが最良であるという結論に達しました。R:あなたがステファンと仕事を始めたとき、大きなスケートのプロジェクトの世界に曝されました。「Ice Legends」は、あなたが出演した最初の大きなショーでした。それ以来、 "Art on Ice"、 "Christmas on Ice"、 "Music on Ice"に参加しています。この過去2年間で学んだことは何でしょう?D:たくさんのことを学びました。自分のなかに独特な面があって、いつも興味を持っていることからポジティブな感情が湧き上がってくるのです。そして、全体的に僕はそれを本当に楽しんでいます。良い面と欠点を見て、欠点を克服することを学びました。これが非常に良い学習経験であることがわかります。これらのショーは僕に決められた条件の下で演技することを教えてくれました。R:それでは、悪いことは...?D:自分自身に挑戦しなければなりません。多くのリハーサルをしたうえで、ショーでスケートをしなければなりません。そして、いつも少し遅れて終わるので、自分のリズムを調整する必要があります。また、通常のルーティーンのトレーニングがあるので、体を動かし続ける必要があります。リンクのサイズが小さく、音楽が大きく、それにライト...そういったことも克服しなければなりません。体のために本当に大変な仕事であり、コントロールしなければならないものであり、通常のリズムから外れることを克服する必要があります。R:そして良いことは...?D:素晴らしいキャスト、雰囲気、スケーターの歓待、氷の上で表現することへの素晴らしいアイデア、移動に伴って 色々な場所に行くのが楽しみです。私にとって大事なことは、ショープログラムをより芸術的に発展させ、要素が少なくてもスケートに多くのことを加えることができ、また、自分自身をより開放させることがとても大事です。観客は僕の電池を充電するのを助けてくれます。日常だけでは少し退屈になるときもあるので。R:ええ、特にシャンペリーのような小さな場所では...D:僕はChampéryが大好き!R:私もChampéryは大好きですが、1週間以上そこに住んでいるのは想像できません。D:人それぞれだと思います。時には混雑していると感じることがあります。特に冬の間には、何百人もの人がいます。多すぎる!(笑)
Interview : Llia Polakov (Diena)英訳: Krista Zelnina日本語訳 : Snowyランビエル、ラトビアのベストスケーター、ヴァシリエフスとニキティナのコーチとして2022年北京オリンピックのメダルを狙う 高名ですべての人から尊敬を集める人物ーそれがステファン・ランビエル。世界チャンピオンに2度輝いた彼は現在ラトビアとも関係している。すでにデニス・ヴァシリエフスのコーチとして2年めとなり、この夏からはディアナ・ニキティナのコーチングもはじめた。そのカリスマ的個性とフィギュアスケートに対する情熱で人々を魅了し、あらゆるスピンのパイオニアでもある彼は自身の知識をふたりの有望なラトビア人スケーターに伝えている。先週ラトビアと“Diena”を訪ねたランビエルにインタビューする機会に恵まれた。(invite the Swiss for the interview とあるのですが、このインタビューはラトビアで行われたのでは、と思うのです。それから英文中「シャモニー」とあるところはたぶんシャンペリーのことだと思いますので、ここではシャンペリーとしています。)L:LliaS: StephaneL: ラトビアは初めてですか?S: いいえ、去年デニスがラトビア国内選手権に出場するために来ました。そしてラトビアオリ ンピック委員会の方に会って、デニスのスケーティングキャリアについての話をしました。ディアナ・ニキティナのコーチとしては初めてですね。L:今生徒は何人いますか?S: スイスの私のスケーティングスクールには3つのグループがあります。第一にデニスやディアナのいる技術の高いスケーターの6人のグループです。3人がスイス人、一人の日本人、2人がラトビア人です。彼らは国際試合に出ている選手たちです。第二に国内試合に出ている選手たちで、それから初心者のグループです。未来のチャンピオンになり得る可能性は大いにありますね(smile)。L: あなたのスケーティングスクールのHPはサマーキャンプのようなサマースクールだけのような印象を受けるんですが、スクールは一年を通してやっているんですよね。S: そうです。ホームページは毎年の夏のトレーニングキャンプのインフォメーションをおもに載せているのですが、実際は年中、12か月やっています。L: ラトビアのスケーターがどうやってあなたに教えを乞う道を見つけたかあなたの生徒になるために、サンタクロースに書くようにあなたに手紙を書いたのでしょうか。S:(笑)いいえ、そんなことはありません。最初にディアナがトライアルのために私たちのスクールに来たんですが、、シャンペリーでのトレーニングの状況、施設やコーチについて知るためだったんです。その後私たちは一緒にやることを決めたんです。デニスとは違います。彼はプログラムのひとつの振付を私に依頼してきました。そして振付をしていくうちに、彼は周りの状況が気に入ったんです。そのとき彼は新しい練習場所を探していました。そして結局私の生徒なっていいか尋ねてきたんです。だから一緒にやるようになったきっかけは違います。私はいつも子どもたちが一緒にスケートしたいなら協力する用意はあるんです。私のスケートへの情熱を彼らとシェアする準備はあるし、それは彼らがどの国から来ているかは問題ではありません。私にとって重要なことは、彼らが自分自身が決めたゴールを明確に持っていることです。L: あなたは今や基本的にラトビアチームのメインコーチです。ラトビア人スケーターがラップランドよりシャンペリーに多くの手紙を送る心配はありませんか?もしかしてラトビア人がスイスに散らばるはじまりになるかもしれませんよ。S: Oh,my God ! そうしたら私自身がラトビアに引っ越すほうが良さそう。さっき言ったように、どこから来ても大丈夫。モチベーションがあって可能性があるなら、喜んで手伝いますよ。でも同時に自分の限界も自覚しています。私は今も世界中のアイスショーに出演していますし、常にそこにいなければならないくらい学校を大きくすることはできません。私は自分がどのくらいできるか知っているし、自分が扱えることができることより多くを引き受けることはしません。オーバーロードは許されないのです。L:デニスとディアナがなぜあなたに教えを乞うことを選んだのかよく理解できました。あなたが彼らと仕事をするのを選んだ理由は何でしょうか?S: 実は何年か前にデニスのスケーティングを見たのです。私はいつもチャンピオンになり得る新世代のスケーターはどういうものかという視点でジュニアスケーターを見ていたのです。デニスはずいぶん早い段階で、氷上での彼のカリスマ性、強い個性に目を奪われました。彼は素晴らしいアスリートというだけでなく氷上で音楽にのせて自分を表現するのに優れているのです。彼は私に非常に強い印象を残しました。二人とは3年前のリレハンメルでのユースオリンピックで会いました。私はそこで講義をしたのですが、デニスはとても、非常に興味を持ってたくさんの質問をしてきました。氷の上でも降りても彼の魅力を窺えるのが楽しいです。振付するのに彼を助けたり一緒に練習するよう求められたりするのがとてもうれしいです。私の意見ですが、お互いにとって良い経験だと思います。私たちは出会って間もなく、彼が私にコーチになってくれるよう頼んだときから良い化学反応に恵まれたと思います。その点はディアナとは違います。シャンペリーでのトライアルの期間にディアナは魚雷のように来ました。彼女のエネルギーを目にしたときは信じられない気持ちでした。今まで女子のジャンプでは見たことがないようなジャンプを跳ぶのです。彼女はジャンプの重要さを知り、しかもほかのエレメンツも教えてくれるコーチとチームを探していたと言いました。そこで私のチームに話をして、今彼女のスケーティングを手掛けています。とても良い選手で、試合ごとに上達しています。一緒にやってきた6か月の間に色々な面で彼女の上達を見てきているのはとても誇らしいことです。これからも継続しなければなりません。L: ディアナはフィギュアスケーターとしては身長が高いですね。ある面ではあなたと旧知のカロリーナ・コストナーと比較できるかもしれません。このことがあなたがディアナとコラボレーションをする理由のひとつとなると面白いのでは?S: (笑)ディアナはコストナーより背が高いと思います。私は14歳からカロリーナを知っていますが、二人は違いますよ。カロリーナはとてもシャイで内向的な性格です。彼女のキャリアがこんなに長く続くことに驚いていません。彼女のパーソナリティーは多様な面があり、氷上でそれを表現することができます。彼女が厳しい練習を続けて新しいチャレンジを探すのを喜んで見ている。ディアナは彼女とは違うけれど、そういうふうになってほしい。身体も健康良いコンディションをキープできれば、彼女もまた高いレベルで競技に臨めると思う。でも今のところふたりのパーソナリティーの面では、あまり比べることはできないと思う。二人は全然違うから。L: デニスやディアナを手掛ける前にラトビアのフィギュアスケートについて知っていたましたか?S: ラトビアのフィギュアスケーターの存在は知っていました。若いころはあらゆる競技を見ていましたから。90年代の初めにKonstantin Kostinという選手がいたのを覚えています。彼がラトビアのフィギュアスケーターの最初の印象です。でもいつも世界中のあらゆるスケーターを見ているので、デニスとディアナを知る前のことです。ラトビアの若いスケーターたちのことは知りませんでした。私は最も才能のある選手を知っていたのです。7歳から世界中のスケーターを追いかけています。ほとんどマニアックですね(笑い)。L: ラトビアでのディアナの一番の強敵となるアンゲリーナ・クチヴァルスカについてはご存知でしょうか?S: 私が帯同した色々な競技会で彼女を見たことはあります。彼女には敬意を表します。彼女はいつもデニスの良いチームメイトでした。彼女のキャリアの中で成し遂げたことはラトビアのフィギュアスケーターにとって称賛に価します。私は彼女のパーソナリティーをよく知らないのですが、彼女自身をよく知らないので、でも彼女の成し遂げたことは素晴らしい。スポーツには試合があります。お互いが競技で競いあうのを今や遅しと待っています。私にとっても興味深いものですし、ファンもそうであると想像できますね。L: 今まさに、フィギュアスケートの人気の波がラトビアにあります。まずクチヴァルスカ、ヴァシリエフス、そして今ニキティナたちはフィギュアスケーターについて新しい印象をもたらし、多くの注目を浴びています。伝統として継続させるためにはどのように保護したらよいでしょうか?S: あらゆる国でこうなりたいというお手本になるようなアスリートが必要です。今、ラトビアにはデニスとディアナがいます。人々は若い世代のこうしたリーダーが必要なのです。この若い世代のなかにやる気があり、上達するために懸命に練習し、チャンピオンになる準備ができる子どもたちがいることを願っています。デニスとディアナは夢を実現するためにまだほんの子供のころから懸命に練習してきました。そして今もなお練習でうまくいくと瞳を輝かせるのです。例えば先週ディアナはパーソナルレコードを更新しました。彼女が自分自身を誇らしく思うのを感じて私もうれしかったです。子供たちは有名になることは格好いいことの一方で、その下には多くの懸命な努力と時間を費やすということを学ばなければなりません。そしてやるべきことのすべてが自分自身がそうしたいからするのであって、コーチや両親、ほかの人々のためではないということです。L: 現在のデニスとディアナの有利点、不利な点は何でしょうか?S: 二人にとって初めてオリンピックに出られる機会を得たことは重要なことだと思います。私の意見では、次のオリンピックで、あと4年ありますけど、そこでふたりともメダルを取れるチャンスは高いと思います。それまでできる限りたくさんのことを学ぶ必要があります。技術的な点では、デニスは世界のトップ5に入るにはクワドを習得することが重要です。その練習をこれからも続けていきます。ディアナの場合は、彼女の武器となるジャンプを決めれば高いレベルになると思います。彼女が今学ぶべきことは先週のように(チロルカップ)滑ること。感情をこめて。すべてのエレメンツを実行するのは素晴らしいけれど、そのなかのすべての感情をこめていけたら、見る人を夢心地にさせるようにできたらもっと素晴らしいものになると思います。まさに特別な感覚です。そして先週彼女はそれに成功しました。内なるスケートへの情熱があるのですから、それを表にも出さないといけないのです。L: 本当にラトビアのスケーターがオリンピックのメダルを競うことは可能なのでしょうか?S: 私自身、フィギュアスケート大国ではない小国のスイスから来ています。しかしメダルをとることができました。私がいつも生徒たちに繰り返すのは、君たちがどこの出身かは問題ではない。なにをするかだ。と。私はメダルは大いにあり得ると思います。でも、オリンピックは4年にたった一回で、メダルは3つしかありません。それを得るためにかなりのプレッシャーが伴いますが、それでも彼らはすべてのことを実現できると思います。L: フィギュアスケートではどこの国の出身かというのがジャッジに影響すると言われているのですが。S: ええ。でも、繰り返しますが、それでは私はどうやってメダルを獲ったのでしょうか。ロシア、カナダ、日本や中国の出身ではありません。でも銀メダルを獲得しました。だからどこの出身かではなく、何をするのかがより重要だということなのです。L: 我が国のフィギュアスケーターの成長を妨げるものはあるでしょうか?例えば財政的な面とか?S: スケーターのキャリアに影響するものはふたつあると思います。まず健康です。特に男子の場合、女子もそうですが、どのジャンプも急激に進化しています。それに伴い怪我も多くなっています。こうしたジャンプの進化は怪我のリスクを大きくしているので、私は健康面に重きを置いています。デニスが私のところに来た時はとても深刻なトラウマを抱えていました。私の最初の仕事は彼をより強くし健康にすることだったのです。それから金銭的な問題です。もちろん、お金のかかるスポーツなので。
Absolute Skating proboards Interview : Elena Vaytsekhovskaya英訳 copyright:Reut Golinsky日本語訳 copyright:snowy残りの人生でやりたいことを見つけたE: ElenaS: StephaneE:7年前のインタビューでお話いただいたことをよく覚えているのですが、そのときすでに引退されて いて、引退後の感想をこんなふうに表現されていました。〝次に何をして、どこへ行って、何をすべきかよくわからない。たくさんのショーの予定があったので、どんなふうにパフォーマンスしようかと思っていて、でも同時に、まだそれがやりたいのかわからない。そして自分がやりたいことは何だろう“と。私はあなたがコーチになるとは少しも予期していませんでした。S:そのときから僕くにとってスケーティングがそれほど重要か気がついていたんだと思います。スケートは僕の人生。2010年に競技に出ることをやめて、振付のセミナーを始めました。そしてそれがとても面白いことに気づきました。教えたり、自分の経験を分かち合ったり、できる限り自分がしたような間違いをしないように導いたりすることが。コーチングはピーター・グルッター先生の助手からはじめました。彼にはふたりの素質のある生徒がいて(ノアとノエミのボーデンシュタイン姉弟)、彼らをみていた。それからしばらくして彼らのお母さんが来て、ローザンヌで、彼らが住んでいるところにより近いところで教えることが可能か聞かれました。ピーターはジュネーブで教えていたので。僕は賛成した。いろいろな細かいいきさつがあって、僕自身もまだスケートをしています。しばらくして、コーチングは素晴らしいもので、これが僕の残りの人生でやりたいことなんだとわかりました。僕は分かち合うのが大好き。個性を理解して、身体のメカニズムをどう技術に反映させるかを教えるのが大好き。教えることはそんなふうにクリエイティブな仕事なんです。生徒に与えなければならないけど、生徒はエネルギーを持って、僕に与えてくれる。とてもよい関係が築けて、生徒も成長することができる。でもあなたの言う通り、競技に出ていたころは自分がコーチになるとは全く考えていなかった。E:お聞きしづらいことですが、ユリア・リプニツカヤが以前に夏で(2016年夏)にシャンペリーに振付に来た時のことについてこんなふうに言っています。ステファンはステップをし始めたがそれがとても速くて、アレクセイ・ウルマノフと私はポカンとして彼がどういうことをしているのかわからなかった。もう一回やって見せてといったところ、彼は繰り返してくれたが、すべてがまったく違うものだった。彼は無意識のうちにそれをやっていて、ステップの種類やその順番も記憶にないときがあった。S:たぶんまったく違うということではないと思う、、、違うことをやったかもしれないけど、生徒を教えるときもやっていることです。僕が教えたいのは、フィギュアスケートでは、やることはそんなに多くない。どんなふうにやるか、ということです。誰でもツイズルができる。どんなレベルでも。小さな子にツイズルを教えると、練習で何百回繰り返した後、ようやくできるようになる。でもどんなふうにやるか、つまりは美しさです。それだからただツイズルを教えるのではなく、それをすることでどう感じるか、音楽にのせて、最高に美しいツイズルとして輝かせるかということを教えたい。美しさのために。それにユリアたちに見せたステップは様々なバリエーションがあって、でも、水はいつも同じようには流れませんよね?それに僕たちは昨日と同じ自分じゃない。常に学んでいるから。そして氷の上にのったとき、魔法が起きるんだ。僕たちがどんなスケーターかを見せられる。いい加減なことはできないんです。E:今もピーター・グルッターと一緒に仕事をしていますか?S:ええ。E:多くの有名なスケーターに振付をしていますが、その人たちのなかにはあなたにコーチをしてもらいたかった人もいるかもしれません。でもあなたは無名のジュニア選手のほうを選んだ。それはなぜでしょう?S:コーチをはじめたときから、スケーターと仕事をしています。ノアとノエミは2012年の僕の最初の生徒。彼らがシングルジャンプをしていたときから教えている。僕はノアがダブルジャンプをはじめたときのことを覚えている。とても面白かったよ。そしてもちろん、シャンペリーの僕のところへきたほかの生徒たちも。生徒たちが望んでいるのは僕たちの持っているような静かな環境。個々のスケーターに合った環境だと思います。デニスが僕のスクールに来た時、彼は怪我をしていた。僕は医者じゃないし、理学療法士でもない、でも同じ経験をしてきたから、早く回復する方法を提供することができました。そういう人とのつながりがあって。コーチとして自分自身ですべてできるわけではないということがわかるのはとても重要なことだと思う。コーチはガイドでなければならない、でもすべての仕事ができるわけではないんです。チームワークなんだ。今シーズンのように、僕はサロメにデニスのプログラムをケアするよう頼むこともできる。ピーターには、僕がほかの生徒と遠征しているときに面倒を見てくれるようにお願いすることもできる。それはとても重要なことで、パズルのピースがすべて合わさって完成するんだ。ひとりだけではとても難しい。そしてシャンペリーにくる人たちはほんとうにこのチームを信頼している。E:まだ、わからないところがあるんですが、あなたはいつも演じることがだいすきだし、時々サマーキャンプにトップスケーターたちがシャンペリーを訪れる一方でショーをかけもちして滑っていました。自分のスケートのための時間がないしやりたいことをする時間もないのでは。S:そんなことはありません。時間はある。スケートよりほかのことをする時間がないだけ。僕にとって24時間がスケートのための時間。でも僕自身のためのスケートの時間はあって、自分で振付をしたショーをやる時間もあります。それに練習もできている。今はそれをやめようとは思わない。なぜなら演じることはいまだに素晴らしいことだし、本当に楽しんでいる。昨シーズンが終わったあと、夏に日本でショーがあったとき、氷の上に戻ってきて演じるのは本当に素晴らしいことだと感じました。そのためにたくさんやることがあっても。僕はこのふたつのことができて本当に幸せ。それでバランスがとれているんです。~リスクをとる人たちを好む~E:かつてあなたは最初にクワドを跳んだスケーターのうちのひとりでした。今ではもうすぐ男子シングルのジャンプはすべてクワドになるだろうという議論がされていますが、この傾向についてはどう思いますか?S:僕はリスクをとる人たちが好きです。個人的にはとても興味深いのは、僕が競技に出ていたときには、自分自身を前進させるため、もっとうまくなるためにやっていた。でもプログラムにはバランスもまたあって、要素のつなぎだけではない。全体のパッケージなんだ。それが僕が追い求めているもの。リスクをとってしかも全体のパッケージを崩さない最適なバランスを見出す必要があると思う。そして今は最良のバランスではない気がします。E:だれのプログラムがバランスがとれていると思いますか?S:名前をあげなきゃいけない?E:もちろん。S:エフゲニアをブラチスラバで観て、彼女のショートプログラムを本当に堪能しました。彼女は技術も感情表現も素晴らしいと思う。キャラクターになりきって感情を伝え、ジャンプにばかり集中しすぎない、それでもジャンプが跳べているという良いバランスがあると思う。デニスの新しいプログラムはどちらも大好き。クワドを入れることになるだろう、彼は氷の上で何度もそう言っているんだ。彼はとても情熱的で、音楽をとらえるのもうまく、感受性が鋭い。僕たちはそんなスケーターが理想なんだ。僕たちが理想とするのはリンクを震わすようなスケーターだ。E:羽生結弦がオリンピックシーズンにかつてのプログラムを再演するのはどう思いますか?S:最初はどうかなと思ったけど、クリケットクラブで彼に会って、フリープログラムを見てほしいと言ってきました。そこで彼の技術の正確さ、音楽のとらえ方にすごく感心した。プログラムを再演することで、動作を少し深くすることができたんだと思う。最終的には悪いアイデアではなかった。ショートプログラムのショパンも、どのブラケットを見ても熟達したと感じます。音楽にのせた動き、アクセントの取り方、成熟したプログラムを見るのは本当に素敵なことです。一方では新しいプログラムを見たいとも思う。彼は非常に能力のある選手ですから。E:アリーナ・ザギトワのドン・キホーテについても似たようなことを言ったのですが、このシーズンは昨シーズンよりさらに印象ぶかいものになりました。この成功したプログラムをもう一シーズン続けるというのは正しいことのように思えるのですが。S:でも彼女の年齢を考えると、、、結弦はすでに世界チャンピオンになっているし、オリンピックチャンピオンだし、そういった点から彼は成長した選手だといえます。ザギトワのキャリアははじまったばかりだし、早く成長しないといけない。2年同じプログラムを続けたら、まだとても若いのだから、成長はまだこれからです。プログラムを変えることで成長できるのです。それが新しいチャレンジになるから。だから若いスケーターには同じプログラムを2年、3年と続けることは勧めません。もちろん、2年やったら滑りやすいだろうけど、若いときは自分にチャレンジしないといけない。それが自分を成長させるんですから。E:ザギトワのようにすべてのジャンプを後半に入れる傾向についてはどう思いますか?たぶん前半に入れたほうがやりやすく、力があればより高いGOEを得ることができるのでは?S:たぶんそうですね。グループの6人目の滑走で、氷の上から長く離れているとすれば。そしてすべてジャンプを後半に入れるということは、前半の部分はウォームアップになる。だから2分ウォームアップしてからジャンプジャンプジャンプ、ということになりますね。プログラムをはじめるために2分間あるようなものだから、構成としては理想的とは言えません。バランスのよいプログラムは、密度の変化のあるものがより面白いと思う。次はスピン、ここでステップシークエンス、もう一度スピン、のような予想がつくものより。知っているものより。後半に入る前はウォームアップなんだ、って、わかりきっていて容易に予想がつくからね。(ここに段落がひとつあるのですが、意図がはっきりしない箇所がありましたので残念ながら割愛します(T_T))E:今年オリンピック用のプログラムを何曲振付しましたか?S:ミハイル・コリヤダにステップシークエンスと両方のプログラム、デニスには僕がショートをつくって、フリーはサロメと一緒につくった。シブタニ兄妹には両方のプログラムのアイデアを。E:彼らがスイスに来たのですか?S:そう、ワールドの後にスイスに来ました。それから昌磨と両方のプログラムの解釈について。これで全部かな。そしてディアナには、もし出場できればだけれど、ディアナ・ニキティナにはフリーを僕がつくってショートはサロメとつくった。これで全部かな。ショープログラムと合わせて、もう充分つくった。E:エフゲニー・プルシェンコと仕事をしたとき、彼のプログラムにあなたの振付がほとんど残っていなかったのを見て困惑されたと記憶しています。コリヤダについては、私の知る限りでは、あなたが意図したステップの一部を変えたようですが。S:いくつか変えたものはあるけどおもしろい動きも残っていてとてもうれしい。それにとても難しいプログラムだけど彼はそれを保っている。自分自身にチャレンジしている彼がとてもうれしいです。彼はどうすればいいか知っているし、でも考えはじめたとき、、、練習で今朝、考えすぎて失敗したんだ。彼はただ楽しむことが必要だ。とくにフリーのエルビスプレスリーではね。見ているととても楽しくて、彼に楽しく演じるのが必要なんだ。
Interview & Text copyright:Titanilla Bőd (Új Szó)日本語訳 copyright:snowyAbsolute Skating.comステファン・ランビエルについての紹介は最早不要ですので、このインタビューのはじめに、まず私の個人的なコメントを載せさせてください。同僚の書いたステファンの記事を読んで嫉妬のようなものを感じるのは、多くの人が感じたように、活字にしたものを通してでさえ、彼のフィギュアスケートに対しての情熱が伝わってきたからです。ブラチスラバで開催されたオンドレイネペラ杯で、ラトビア人スケーター、ディアナ・ニキティナのコーチとして来ていたステファンに話を聞く機会に恵まれました。‘5分お話できますよ’と彼は礼儀正しく話してくれましたが、そうしゃべり始めた彼の瞳にすばらしいきらめきを見つけて、たった5分ではないと確信しました。あなたの情熱を話し終えるには5分で足りるはずがない。。。―2001年のヨーロッパ選手権初出場は古いオンドレイネペラのリンクでしたが、覚えていますか?そうだね、古い競技場、よく覚えているよ。僕にとってはこの新しいリンクにいるのが大きな違いだ。初出場にヨーロッパ選手権、とってもとってもわくわくしたのを覚えているよ。ネペラ杯には2002年に出て優勝したのも覚えている。シーズンの最初で、いつもシーズンのはじまりは競技の準備があまりよくできていなかったんだけど、このネペラ杯では刺激を受けて、良いスケーティングができたんだ。だから競技キャリアにおいてはここはすごく良い印象がある。ブラチスラバでスケートをするのは大好きで、ここでいくつかショーに出たこともある。ここに戻ってくるのは本当にうれしい。昨日は古い街並みを歩いたんだけど、本当に素敵なところだよ。―15歳の天才スピナーとしてここで競技に出てから多くの変化があったと思いますが、変わらないものは何でしょう?スケートに対する情熱でしょうか?おそらく。スケートに対する情熱は変わらないし、情熱や知識、経験を生徒と分かち合えるのはとても幸運だと思う。自分自身もまだ多くのショーに出演しているし、自分の人生においてまだスケートを楽しんでいるし、生徒たちにもまたベストをつくせるように導くというのは、とても素晴らしい仕事だよ。自分が現役の選手のときはコーチになるなんて思ってもみなかったけど、今はこの仕事に本当に感謝している。毎日生徒から学ぶこともあるし、彼らと一緒にいてより良いスケーター、人間として成長できるよう教えるのが大好き。僕はスケーティングは自分自身を心身ともに理解する良い機会だと思う。生徒たちに寄り添って導いてあげられる仕事を愛しているよ。―短期間に色々な生徒の振付をつくってきたと思うんですが、コーチングをはじめたのはつい最近ですね。振付との違いはどんなところにあるでしょうか?振付をつくるのはたいていシーズンのほんの短い間で、一方でコーチは基本的に毎日プランを練っているよね。毎日の練習、休息の時間、すべての試合、すべての休日。すべての計画をコーチがつくるんだ。それがまったく異なる仕事。ラッキーなのはサロメ・ブルナーに頼れること。彼女は僕が10歳のころから振付を手伝ってくれている。僕らはオフシーズンのほとんど一緒に仕事をしていて、でもそれから、シーズンが始まるとすぐに細かい調整をしなくちゃならない。最初の試合で調整するのがとても重要で、それによってその時点でどの位置にいて、何を修整すべきかわかるから。僕は振付のクリエイティブな部分がとても好きだし、コーチとして何をすべきか考えるのも大好き。シーズン中のすべてのことにコーチとしての責任を果たさないといけないし、自分の計画もたてないといけない。振付をしているときも、パフォーマンスをしているときも、スケーティングスクールにいるときも。かなり努力が必要だけれど、こなせている。先のことを考えて気を引き締めなければならないけれど、とてもうまくいっている。―それでは、いちばんのチャレンジは時間の管理でしょうか?そう思う。今いちばん大きなチャレンジは役割を切り替えることで、少しの時間も無駄にしたくないんだ。一秒でも有意義に過ごすようにしている。―オリンピックシーズンですが、教え子のデニス・ヴァシリエフスのチャンスをどのように見ていますか?ロンバルディア杯でのデニスのパフォーマンスにはとても満足している。新しいプログラムはどちらもとても良かった。この夏つくりあげた仕事にとても満足している。どちらのプログラムも大好きだし、デニスは上達したよ。最初のシーズンは、彼自身もやるべきことをわかっていたし、、容易に理解できる課題があったので、それに取り組んだ。今シーズンは少し前進して、もう少し深い部分まで追求していこうとしている。彼は偉いよ。とても上達しているし、人間としても成長しているよ。彼との作業はとても楽しいし、デニスのスケーティングを見るのも楽しいし、そしてこのふたつのプログラムにすべてをこめて、オリンピックでよいパフォーマンスをしてほしい。それが僕たちのゴール、そのために今はやっている。クワドも練習しているし、オリンピックでベストなパフォーマンスができるようにこのシーズンは支援している。―ソーシャルメディアであなたとデニスが一緒に写った写真を見ましたが、単なるコーチと教え子という関係ではなく、とても良い友人のように見えました。そうだね、すごく良い友達だよ。去年僕のところに来たとき、彼は怪我をしていて、そういう状況にすごく親近感がわいた。僕も同じ怪我をしたことがあったから。それに僕は何に対しても感情的で情熱的。彼にすごく親近感を感じて、きっと僕たちにはコーチと教え子以上の特別な絆があると感じた。僕のコーチのピーター・グルッターとはこういう関係を築けていて、僕は彼を全面的に信頼しているので、アイコンタクトひとつで彼が何をしてほしいか、何を言いたいか、何を意味しているかわかるんだ。僕はデニスとそんな関係を築けると思っているし、その途中にいると思う。まだほんの1年ちょっとの短い時間だけれど、年月を経てそういう関係になれると願っているよ。―女子ショートプログラムの後、耳にしたことですけれど、あなたはエフゲニア・メドベデワを賞賛してこう言ったそうですね。僕はジャンプは重要視しない、スケーティングが大事だ。ということですが、最近のクワドの発展についてはどう見ますか?僕はスケーターを見ているとき、もちろん技の要素はとても感動する。最近のクワドやタノは素晴らしいよ。。。でも僕が見たいのは彼らが何ができるかじゃなくて、彼らが観ている人や世界に何を伝えたいかということなんだ。僕にとって、それが一番大切なこと。僕が観たり感じたりしたいのはスケーターのエネルギー、彼らそのものなんだ。もしプログラムが単なる要素をつなぎ合わせたものだったら、ちょっと興味を失うこともあるかもしれない。僕はスケーターには要素の順番としてではなく、パフォーマンス全体に集中できるといいと思う。コンテンツのシートをなぞっているようなプログラムを見ているときには、少し悲しい気持ちになる。プログラム構成があるということを考えずに見てみたいと思う。たとえば最高のアイスダンスを見るとき、要素なんて意識していないと思う。パフォーマンスに入り込んでいるときは、ここでステップシークエンス、ここでリフト、なんていうふうには見ていないだろう。見ている人を違う世界につれていくように滑るんだ。それこそが僕が見たいスケートだし、スケーティングの面白いところなんだ。―来季から男子とペアのフリープログラムは4分30秒から4分に短くなります。これについてはどう思いますか?とても残念だね。ジャンプをひとつ跳べなくなる。たった5秒、ということじゃない。30秒短くなるということは、5秒で跳ぶ1回のジャンプと25秒のスケーティングがなくなるということ。―まだ先のことになりそうですが、プログラムがアスレチックプログラムとアーティスティックプログラムのふたつになる、といううわさもありますが、このアイデアについてはどうでしょう?それはおもしろいね!芸術的なプログラムをぜひ見たいね。レベルのないスピンやステップシークエンスの。そういったもののレベルのゴールはスケーターにとっては達成するのはむずかしいものもあるけど、そういう難しいものでも練習することで容易になるし、だれでもレベル4のスピンができるようになる。僕はそんなにレベルは重視していない。もちろん、生徒たちに教えているからみんなにレベル4をとってほしいとは思うけど、、、でも、、、僕が思うに、スピンは美しくなければ!スケーティングは美しくなければいけないんだ!そうあるべきなんだ。そしてレベル4のスピンのほとんどが、、、美しいとは言えないんだ!だからこそ、レベルよりも美学を僕は重視したい。特に芸術的なプログラムでね。―ご自身が主催するIce Legendsという特別なショーがありますが、スケーターたちを招いて伝説のプログラムを演じてもらっていますね。このショーのインスピレーションはどこから来るのでしょうか?僕が子供のころTVで競技を見ていたように、最近ではインターネットで動画を見られるようになった。それは素晴らしいことだけれど、ライブで観るのとはやはり違う。ライブで観られることも、見たいな、と思っていた過去のものをみられることは素晴らしいことだと思う。例えば、僕はマイケルジャクソンのステージが見たくて、でもそんなことは絶対ムリ、だけどそれを実現できそうなことがまだあるということ。僕の夢は人生のある時点でインスパイアされたことを、自分の目で再び見たり感じたりできるようになること。これが最近はとても重要なこと、、、感じること、インターネットだけで手っ取り早く見ることだけじゃなく、そのひとときを、このひとときが自分自身にもたらすものを感じること、これがとても重要なことだと思っている。―最近ではそんな伝説的なプログラムというものはあるでしょうか?10年20年後にまた見たいと思うようなプログラムが。そうだね、きのう(オンドレイネペラ杯のショートプログラム)のエフゲニアのパフォーマンスは印象深かった。彼女は今もっとも力のある選手だけれど、はかなさが感じられてすごく心が動かされたし感動した。だからこそ美しい。だから僕は彼女を賞賛するよ。ジャンプも素晴らしいが、彼女が氷の上でもたらす感情的な表現は本当に特別なものだ。僕たちは彼女の演技を、そして彼女のスケーティングと情熱を長くみていたいし楽しみたい。―ご自身のプログラムでもっとも印象に残るものは何でしょう。演じたいプログラはとてもたくさんあるので、ひとつを選ぶというのは難しいな。でも確かに、ビバルディは特別なものだね。ビバルディとウィリアムテルのふたつは現役の選手だったとき、演じていてとても楽しかったし、競技生活を終えても演じることができたプログラム。音楽を聴いて振り返るのも大好き。特別な思いがあるよ。ショーでいうと、好きなプログラムは、、、難しいな。Ice Legendsでは、ラ・ヴァルスの全体的なコンセプトがすごく楽しかった。カロリーナと演じたもの。とても面白いプロセスで、カロリーナがシャンペリーに来て一緒に振付をつくって演じたんだけど、バレエのようなもので、とても面白かったんだ。またある日にアートオンアイスで滑ったThe Water を見たとき、これは本当に僕?本当にこんな動きをしていたっけ?と思った。こんなことができたなんて自分自身も知らなかった!僕は創造するのが大好きだし、自分で創造して演じていると、自分が何をしたかすっかり忘れてしまうことがある。そういうプログラムを見ると楽しいこともある。そんなに昔じゃないけどTom OdellのSenseを滑っていた時、音楽が流れると、滑っていた時のそんな喜びがよみがえってくるんだ。最初の音を聞いたときから本当に楽しくなるんだ!本当に素晴らしい。―最初のトリプルアクセルをパンクする心配をしなくてもいいので、競技プログラムをショーでやるほうが良いのでしょうか?自分の人生においてそのとき何をするかはその人の問題だと思う。競技に出ていたとき、競技で滑るとき、トリプルアクセルは僕にとって問題ではなかった。準備はできていたから。それに最近ショーでも準備しているし、ショーで跳ぶのも大好き。競技でショーナンバーを滑ることや、ショーで競技のプログラムを滑るのがどういうことかは説明できない。ただ、今競技をするムードじゃないよ。僕は競技を見るのが大好きだし、選手のコーチをするのが大好きだし、でも自分自身はショーで滑るのをとても楽しんでいる。ショーのアドレナリンは信じられないくらいすごい。より簡単だ、ということじゃなくて、ショーでもたくさん練習が必要だしできる限りの練習、技術的要素、振付が必要で、でも観客と一体になる解放感がある。スコアは関係ない。スケーターはスコアやレベルだけでないものからもっとインスパイアされたほうが良いとも思う。ディアナにも言っていたんだけど、ジャンプはもちろんとても重要だけれど、もしミスをしても演技を続けなければならないし、それでもリンクにいて、観客に見せなければいけないんだ!ジャンプが思ったほどうまくいかなくてもがっかりしなくていいんだ。僕にとってスケーティングはその全体でのパフォーマンス。ジャンプだけじゃないんだ。―試合で教え子が滑っているのを見ていると、自分自身が選手だったときより緊張しますか?リンクのそばで教え子と一緒に滑っていますよね!プログラムが練習を通して上達するのを見て、彼らが何をするか知っているんだから、必然的にそうなるよ。それに僕はプログラムのほとんどの動きを創ったから、とても個人的な気持ちで観ている。たしかに僕はナーバスになったり、この瞬間にいあわせることに幸せを感じたりする。そういうわけで僕は彼らと100%一緒なんだ。―あなたは周りの人たちにたくさんのポジティブなエネルギーを与えて、情熱を伝えるという特別な才能を持っていると私は思います。グラスのなかがもう半分しかないと思うかまだ半分も入っていると思うかはその人の見方によると思う。僕のキャリアは困難なときもあり、自分のやっていることの意味が見出せなかったときでも、いつもなにかが前進させてくれた。それはぼくたちを活気づかせたり、もっと前進したくなったり、朝立ち上がって闘志がわいてきたり、闘志がなくても、僕たちは自分の人生を生きている。よくわからないけど、たぶん教育からだったり、僕の経験によるものだったり、、素敵な人たちとの出会いだったり、素晴らしい環境にいるからなのかな。僕はいつもどんな環境でも僕を前進させてくれる何かを見つけているんだ。
(1の続きです)R:ウォンカ?S:ステファン。(笑)たぶんファンなんじゃないかな・・・R:たぶん?聞いたことはないの?S:たぶんね。わからない。でも、彼女の猫がステファンだっていうんだから、たぶんそうだよ。彼女はとても、とても素敵な子。すっごく才能があるよ。すごく、すごく、すごく、才能があるんだ。R:本当に?それは楽しみ。。。(ディアナのファンにはわるいが、私はそういう印象を受けなかった。ステファンが自分の練習や睡眠や休息、自由な時間を費やして教えているのに、という偏見があったかもしれないけれど)S:今練習しながら、彼女のスケートに対する認識を見直そうとしているんだ。ジャンプが決まりさえすればいいと思っているから。彼女は動きが自然なんだ。音楽もよく理解できている。そのふたつをうまく組み合わせて表現できれば、素晴らしいものになるし、それが彼女の強みだから、それで、、、R:ディアナは3-3を跳べますか?S:跳べる。余裕さ。この間は(ブラチスラバでは)ベストパフォーマンスじゃなかったけど、昨シーズンは彼女にとっては本当に大変だった。すごく身長が伸びたし怪我も多かったし。世界ジュニアでフリーに進めなかったし、成長期だし、手術も受けたし、本当に厳しいシーズンだったけど、それを越えての最初の試合だったから、プレッシャーも大きかったんだ。彼女は本当にオリンピックに行きたいと思っているし、出場できるように必死で頑張るよ。R:ナショナルズで決まるんですよね?S:たぶん。あとまだふたつの試合に出ることになっていて、もちろん、そこで良い演技をしないといけない。それからナショナルズに出ることになる。来週ザグレブでのゴールデンベアー、ロブが一緒に行くことになっている。僕は6週間後にNHK杯にデニスを行くし、そのあと高志郎をみて、ロブが高志郎とノエミをつれてグダニスクに行く。R:わかりました。2つの国際試合があって、12月にナショナルズがあって、それで決まるでしょうね。アンゲリーナは今シーズンまだ試合に出ていませんね。何があったのかわかります?S:わからない。全然聞いていないけど、棄権したしね、、、R:ブラチスラバに、彼女も出ることになっていたんですけどね。S:そう。そこで競えると思っていたんだけど、そうならなかった。アンゲリーナもいいスケーターだよ。R:(オリンピックの)出場枠を獲得したのは彼女でしたね。ワールドで。S:そうだけど、枠を取った選手がオリンピックに行くなんていうルールがある国はないんだ。彼女が枠を取ったのはわかるけど、僕の意見では、調子のいい選手が行くべきだ。僕はアンゲリーナが出場するのに異論があるわけではないよ。僕はただディアナのコーチだけど、アンゲリーナが頑張れば出場するべきだと思う。ベストな選手が行くべきだ。(アンゲリーナはこの週ミンスクでの試合に出場したが、結果はよくなかった、、、彼女に何が起きたのかよくわからないけれど、ステファンが韓国にひとりだけでなくふたりの選手を連れていける良いチャンスかも!WOW!)R:あなたがデニスを生徒にしたとき私たちの多くが思ったのは、ステファンはコーチとスケーターを両立できるんだろうか?ということだったんですね。で、今3人生徒がいますよね。。。S:3人じゃない、6人だよ。R:国際試合に出る選手という意味で。。。ノアとノエミと、ほかには?S:彼女はスイスのレベルスケーターで、うちのパフォーマンスグループにも所属している。パフォーマンスのグループと競技のためのグループ、スケートを習うグループに分けられていて、ほとんどパフォーマンスと学習のグループに重点を置いていて、セッションの終わりに少人数の競技グループの練習をやっている。R:わかりました。それで、質問にもどりますが、今シーズン、やらなければならないことがもりだくさんだと思うのですが、どうやって両立させているのですか?これが限界、これが精いっぱい、というところはありますか?あと何人生徒を受け入れられると思いますか?S:あと何人かなんて考えていないけれど。。。まさに今、今シーズンが僕のリミットだよ。たくさんオファーもあったけど、たくさん、たくさん、お受けできないくらい。。。R:デニスと一緒にいるのを見ると不思議に思うのですが、いかにデニスに注意をはらっているかわかるんですよ。‘私もキスクラで君が一番だ、って言われたい’とかツイッターに書かれているのを見ましたよ。S:(笑)本当にたくさんリクエストがあるんだけど、残念ながら僕にも限界があるんだ。。。R:限界だな、と思ってらっしゃったらいいんですけれど。そういうふうに見えないときもあるので。。。S:心配しないで大丈夫。僕は自分の限界をわかってるよ。今がそうだと思う。悪いことが何も起きていないことに感謝しているよ。僕は限界を知っているから。バランスが大事なんだ。将来、まだ僕は演技がしたいし、まだスケートがしたい。それはとっても重要なことで。。。R:以前にも言われたとおり、あなた自身がスケートを見せてくれることがとても重要なんですよ。それを忘れないでくださいね。。。S:もちろん、それは僕にとってもそう。もしパフォーマンスできる状態を維持できなくなって、僕のスケートを見たいという人がいなくなったりしなければ。。。R:そんなことはありません。みんな楽しみに待っていますよ。ワルツジャンプができるうちは、、、大丈夫です。S:ワルツジャンプ?そうだね。ワルツジャンプだけのプログラムをつくろうかな。(笑)でも、まだパフォーマンスは続けたいんだ。4月にサロメと時間を作ろうと思っている。R:新しいプログラムの振付ですか?アートオンアイスで2つプログラムをつくらないといけませんよね?S:そう、来週サロメと会ってそれから。。。R:とりかかるんですね?S:うーん、スケジュールを調整しないと。それからだね。R:最後の質問になります。明日の演技構成にはクワドが入っていますね。ここではじめて入れるつもりだったのですか?もっと小さい大会ではなくて。S:ロンバルディア杯で入れたかったんだけど、6分間練習を見てデニスにトリプルにしなさいと言ったんだ。でも明日は、彼はやると思う。挑戦しなくちゃならないんだ。どうしてもクワドを降りなきゃならない、彼もそう思っているところだよ。R:10回のうち何回成功していますか?S:まだ降りられたことはない。R:クワドサルコウについてはどうですか?S:トウもサルコウも。同じように降りて、でも完成した形ではない。自分を信じることができるかどうかだ。ジャンプの形はできているんだから。R:さあ、明日の6分間練習の間にまた決断するかあるいは、もうモスクワでやってみせる、と決めているのでしょうか。S:モスクワでやってみせる!
Interview &Text ©Reut Golinsky Absolute Skating proboards日本語訳 ©snowyR:ReutS:StephaneD:Denissショートプログラムが終わったあとのミックスゾーンでお会いすることができました。私が着いたときには彼らはすでにそこにいて、スクリーンで結果をチェックしていました。ステファンがデニスに何か言っていましたが、デニスはあまりうれしそうではありません。尋ねるとステファンは少し微笑みながらジョークを言うように教えてくれました。「デニスは数の数え方がわからないんだ(彼はスピンの回転数を正しくカウントしなかったので、点数をとりこぼしてしまったのです)」気が付くとそこで彼らに話を聞くために待っていた記者は私ひとりでした。去年は彼らの周りにはもっと人がいたと思いましたが(去年デニスは第1グループだったので、取材してから第2グループを見に行くことができて、私は結弦以外の第2グループを見逃したのでした。私はもし見たい選手がいれば手短に切り上げますと言うと、結弦が見たいということだったので、それでは‘結弦まで’ということになりました。R:まずお聞きしたいのは、あなたのチーム全体のことなのですが、新しいスケーターが入りましたよね。まったく公なアナウンスがなかったので、私たちは彼らのインスタストーリーから知ることになりました。彼らひとりひとりについて、どうやってあなたのもとへやってきたのかお聞かせいただきたいです。チームシャンペリーのファンは何も情報がないので。S:本当に何もわからない?(笑)それは変じゃない?だって3人ともリレハンメルユースオリンピックで会ったでしょう。R:ええ、それではこれはリレハンメルつながりということなんですね。S:そう、確かにリレハンメルグループ。高志郎と会ったのは・・・R:Ice Legendsですか?S:Ice Legendsの前に日本に指導に行ったときに彼に会っていて、彼はノービスで、僕は彼のスケーティングがとても気に入った。それでIce Legendsに招待して、それからリレハンメルでも会った。彼にショートプログラムの振付を頼まれて、そのときに彼のコーチが両親の面倒を見るために引っ越すので、新しい練習場所を探しているということだった。それに彼はデニスと僕と同じ怪我をしていたという、すべてがつながった友情関係が僕たちを結び付けたと思う。そして僕は彼にスイスに来ることを提案した。16歳の少年にとっては遠い旅になるけれどね・・・R:彼は英語を話します?あまり話さない?S:いや、だいぶうまくなったよ。D:一緒に料理するし、彼は英語を話しますよ。S:怪我の治療やリハビリでトロントに滞在している間にだいぶ上達したよ。短い間にずいぶんうまくなった。ステファンはデニスもここにいたほうが良いか私に聞き、結弦の演技を見るときに声をかけるといいながらデニスを休憩に送り出しました。「良くやった。本当に良かったよ」そして私に向かって「美しかった。とても、とても・・・本当に美しい演技だったよ」待って、衣装について聞きたかったんだけど、これはエキシビションのときと同じもの?質問の途中、私のちょうど目の前に立っているデニスを見ながら、私は違う衣装だということに気が付いていました。ロンバルディアのときに着ていたものではない。でもちょっと遅かった。D:いいえ、、新しい衣装です。この前のはエキシビション用の衣装で。S:レウト、君はもっと観察眼があったんじゃなかったっけ?R:今はあなたにたくさん生徒がいすぎるからですよ!細かいところまで全部覚えていられるほどの記憶の容量はないんです!S:そんなに多すぎないよ。ほかのコーチに比べれば、全然。R:その生徒たちのことですが、去年、まさにこの場所で、ほかのコーチが同じ大会に複数の選手をつれてくるときはどうしているのか想像できないっておしゃってましたけど、ジュニアグランプリシリーズで高志郎とノエミのふたりに帯同したときはどうでしたか?S:そんなに大変でもなかったよ。ノエミの場合は、2012年から、だから5年も彼女を教えているからよく知ってる。彼女のお母さんや関係者もそこにはいたし。高志郎もとても責任感がある子だからそれほど大変じゃなかった。最初の大会はデニスとロンバルディアに行こうと決めて、最初の大会はデニスに集中したかった。それは正解だったよ。それからディアナとブラチスラバに行った。彼女の最初の大会だったから。それから2回のジュニアグランプリがあったけど、全部に帯同することができなくて、、、ヴェローナにいたから。6週間の間に、、、ロンバルディア、ブラチスラバ、ザグレブ、それからインティミッシミ、そしてスイスカップ、で、このロステレコム杯。R:ああ、そんなに、、、S:先週はスイスカップもあったから、長い6週間だったよ。でもプログラムをつくりあげるために本当に必死に頑張ったんだ、、、それは当たり前のこと。自分のことを心配することはないよ。なぜなら、、、僕は生徒たちと一緒にたくさん滑っている。そして、たとえばディアナがあまり気がのらない日があったら、‘よし、彼女に課題を見せてみよう’というふうに、彼女の前で僕にはこんなことができる、これが君の課題だ、というふうにね。今でも僕はスケーティングに多くの時間を費やして、生徒たちにステップの種類や方法、エッジの使いかたを見せている。彼らと一緒にいて、みんなで共有できる時間がとても楽しい。お互いにすごく良い刺激をうける機会になるからね。デニスやノア、ノエミだけでなく。R:みんな一緒に滑るんですか?S:いや、別々に。午前中にセッションが2回、午後に3回。分けて滑るんだ。R:それぞれ個別に?S:いや、2つのグループに分けて。普段は午前中に2つ、午後に2つのグループで、あとは延長して練習したければ。アンナとロブが最後の時間は年少の子を見てくれる。R:コート、脱ぎませんか?S:そうだね、暑いし。R:ファンがあなたのコートをなんて呼んでいるか知っていますか?‘コーチング・コート’ですよ。S:コーチング・コート。コーチング・コートか!僕もそう呼ぶよ。R:それで、高志郎があなたのところへ来たいきさつはお聞きしました。ディアナはどうやって?S;彼女はトライアルを受けたいと連絡してきたんだ。それがいつだったかはっきり覚えていない。チューリッヒに行って、、、ファンタジー・オン・アイスの前だったと思うけど、、、R:ユースオリンピックではつながりはなかったんですか?サマーキャンプに来たとかではないんですか?S:違う違う。ユースオリンピックで彼女に会ったよ。それから5月に連絡があって、トライアルを受けたいと行ってきたんだ。それでお父さんと一緒に数日シャンペリーに来た。そのあと、5月か6月の終わりごろだったかな、、、よく覚えていない、、、日付までは。。。R:去年の後半はあいまいな感じですか?S:あいまいじゃないよ。すっっっごくいろんなことがあったから。あんまり覚えていようと思わないんだ。過去のことだから。R:でも私たちにとっては初めて知ることですよ、新しい情報が何もなくて。S:まあ、それで、彼女はトライアルに来たんだ。彼女もまた少し怪我をしていて、昨シーズン足首と、あと臀部と背中も少し。R:成長期ですしね。。。S;そうだね。それにもまた注意しないといけなかった。で、トライアルはうまくいった。彼女のお父さんに、シャンペリーで彼女が入れる学校があるかと聞かれたので、それでプランを練り始めた。今年の夏はすごく忙しいし国外に出るので、帰ってくるまで通常のスケジュールは難しいけど、彼女をシャンペリーであずかることを決めた。ぼくが日本にいるとき彼女はラトビアへ帰るということにした。プログラムをひとつつくったとき、それじゃあ、トライアルの間にプログラムを作り始めて、終えたらそこまでで、終えられなかったらまたあとで作ろう。で、シャンペリーはリンクの準備ができていないので、来週チューリッヒに行くと言ったら、彼女のお父さんが娘がとどまればプログラムを完成させられるのでは、ということだったので、完成させて、彼女はラトビアに戻った。連盟のテストスケートを受けなければならなかったので。新しいプログラムを演じることができて、3週間ラトビアに滞在した。それからサマーキャンプに来て、シーズンの計画を練った。競技用のプラン。そして。。。R:でもなぜあなたにコーチを?デニスの影響で?S:なぜ彼女が来たかって?さあ、それはわからない。彼女の飼っている猫の名前が・・・(続きます)