Melody | とりあえず今日を生き 明日もまた今日を生きよう

とりあえず今日を生き 明日もまた今日を生きよう

山の麓で 英語塾をしています。週末は東の都 東京のおうちで過ごし とりあえず今日を 明日もまた今日を生きようと ゆるりゆるりをモットーに過ごしています。


むかし
好きだった男の子がいた

その当時
彼は20歳そこそこの
真面目だけれど
ヤンキー装う
いかしたこだった

会えない日は
夜になると 

わたし達は
よく電話で
お喋りを楽しんだ

そのお喋りは
延々と朝まで
続くこともあった

彼は
気が向くままに
思い付くままに
女に喋らせておくのが
得意なこだった

くだらない脈絡のない話を
とりとめのない
何をいいたいのだか
わからないような話を

甘く低いトーンで
かわしながら
聴くのが上手かった

わたし達は
ほどよく仲がよかった

ある日

そんな彼とのことを
ある人に話した時の
その人の言葉が
今も忘れられない

その人は

‘’白雪姫ちゃんは 
彼相手にいったい
なにやってるの?

もっと大人になりなよ
そんなのは愛でもなんでもない‘’

あの時は

わたし達のことを思い
心配して言ってくれただろう
その人の友情を思い

その言葉を
そのまま素直に
心に飲み込んだが

愛でもなんでもなければ
一体なんだと
その人は思ったのだろうか

と今は思い

その言葉が
妙に不粋に響く

愛でなければいけない必要が
あったのだろうか

なにが愛で
なにが愛じゃないとか

愛の定義づけなど
誰にも出来ないのでは
ないだろうか

わたし達は
肌を合わせることは
しなかったけれど

もし

肌を合わせていたとしても

きっと
今なら

わたし達は
なにごともなかったかのように
やり過ごせてしまえるだろう

そして

遠い昔にみた映画を思い出すように
懐かしく振りかえれるのだろう

関係性はどうであれ
たった1度の逢瀬が
肌に心に
深く染みいることがある

そのたった1度の逢瀬が
その女の心を
人生さえも
支えることもある

その思いの丈を
なにとなづけよう

愛ともなにとも名付けられない
深淵で混沌としたmelodyだ

それを聴く耳を
さずけられた者だけが
聴くことができるmelodyだ

彼となら

きっと
そのmelodyが聴けたのに

そして

彼も
きっと

それを感じていたはずなのに

あえて

わたし達は
肌を合わせることはしなかった

そして

それは

愛などという
高尚な理由からでも 
なんでもなく
未熟な気紛れと
気弱な狡さだった

彼は
今でも

ちょっと思い出してみた
くらいのさりげなさで
‘’挨拶‘’をくれる

そして

わたし達は
互いの指をまさぐりあう

あの時

聴けなかったmelodyの旋律を
互いの指で聴くために...