From 長崎。 | 反省人生最前線。

From 長崎。

 早朝到着しました。高速道路では、余りのスピード感に、後部座席でまるで病院に行きたくない子犬の様に足を突っ張りっ放しだったので、大変疲れました。運転手である、従妹の旦那にゃ悪いが、恐らく俺が一番疲れたと思う。俺の突っ張ったふくらはぎの筋肉がエンジンを回転させていた様に思う。
 さて到着寸前、近隣の親戚が亡くなったとの連絡が入り、母はそのまま仏さんに挨拶しに行く事に。
 しかし母は今日に限って力一杯鮮やかなオレンジのポロシャツ。カリフォルニアの日差しを一杯に浴びた柑橘類の様である。流石にこれではいかんと、母は叔母に喪服を借りてひとまず安心。
 暫くすると、お盆で帰省していた母の兄弟達がわらわらと集まりだすも、こちらもいきなりの話で喪服など調達できる筈も無く、取り敢えず全員、上だけ黒のしかもTシャツ。下Gパン。どぅ贔屓目に見ても、ライブハウスのスタッフミーティングだがまぁ仕方ない。
 彼等は出掛けて行き、残された者は取り敢えず酒呑んで寝まして。
 
 目覚めると、挨拶に行ってた皆が帰って来ており、通夜まで時間もあるし、取り敢えず一旦、山の上のばあちゃんちに上がろうか、と言う話に。で着替えようとしたら、どぅせ通夜の時にまた下りてくるからそのままで良い、と言われ、寝間着のまま、荷物も叔父宅に残して車で移動。
 ばあちゃんちで暫くのんびりした後、叔父達は皆、何処からか調達した喪服に着替え、準備完了。俺も一応出席しろとの事で、着替えをする為に、寝間着のまま一路さっきの叔父宅へ。こんな事なら最初から荷物下げて来りゃ良かった。まぁ着替えたところでいつもの柄シャツGパンだが。
 慌ただしく山道を下る車中、まぁ毎年タイミング良く誰かが死ぬものだ、などと考えながらぼんやりしていると、さぁ着いたぞ、と叔父。ふと我に返り窓の外に目をやると、何故か既に通夜が行われる斎場の駐車場。
 …ぃゃぃゃぃゃ。いやいやいや!!俺まだ寝間着!!
 何処でボタンを掛け違えたのか分からんが、俺寝間着。全員喪服、俺寝間着。沈痛な面持ちの遺族の方々に混じって、俺寝間着。
 半ズボンの太股を力一杯つねって、必死で笑いを堪え、何とか坊さんの有り難い説教を聴き終え、帰宅。
 予期せぬところで、一生の思い出が出来ました。
 しかしまだ初日。さぁこの先、この不安要素一杯の長崎で、一体何が俺を待ち受けるというのか!?