![{EA985576-F750-4B1D-9800-1823E8FF4D15:01}](https://stat.ameba.jp/user_images/20130912/00/snowprincess-02/2f/94/j/o0480036012680630381.jpg?caw=800)
店員が困ってる。
閉店だというのに、くつろぐ客に困ってる。
ああ、この客は自分勝手なほど自由なんだ。
この客は自由だけど自由じゃない。
この椅子、このテーブル、その形の中でくつろぐにはこの方法しかないのだから
この形状に縛られたリラックスをただ堪能しているだけなのだ。
そのうえ、「俺の勝手だ!」と怒鳴りあげる。
勝手にやりたい放題しないと、「自分の勝手」と思えないなんて、かわいそうだ。
それを面白がって絵が趣味の店長が、スケッチする。
「ラフスケッチだよ」と、高いところから「お前らを描くか描かないかは俺の自由さ」と笑う。
僕ら2人がいなかったら、君は描く対象をなくしてしまうというのに、「俺が一番自由だ」と笑う。
この客のせいで、店員はシフト通りにあがれない。
そうしたら店の戸締りも遅れて「早く帰らなきゃ嫁に怒られる!」と愚痴るくせに。
はたして本当に自由なのは誰なのだろう。
誰かの人生が誰かの人生にくさびのように深く食い込む。
ありきたりな日常に眠る、不自由アンセム。
人生に於いて些細である
この不条理劇を愛せよ。