珠子ミッドナイトストーリー

珠子ミッドナイトストーリー

夜寝る前に少しだけ物語を読む。。。
そんな感覚でゆるーいショートストーリーを書いています。

日常で起こる出来事を、主人公が料理を作りながらつらつら考えています。

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母を誘って、家から車で30分の所にある美肌の湯で有名な温泉に行った。

 

朝から、夕飯用のぶり大根を鍋にいっぱい作っておく。

 

私は味がしみた大根が大好きだ。

 

おでんも、豚の角煮も、ブリ大根も、メインのお魚とお肉と同じくらいの量を

入れて作る。

 

 

大根が軟らかくなるまで煮て、夜には中まで味がしみているだろう。

 

夜を楽しみにして、車で母を迎えに行った

 

 

 

7時くらいに家に着いた。

娘のニッカは家にいるようだ。

 

お味噌汁を作って、お鍋を温めて、作り置きのお惣菜をお皿に並べて、

さあ、席につきましょう、とお鍋の蓋をあけたら。。。。

 

 

ぶりが1切れしか残っていなかった。

 

「ニッカ!ブリ大根食べたの???」

 

もう、食卓のサボテンを介して話すとか、気にしてられない。

 

 

ニッカは自分の部屋から出てきて言った。

 

「だって、お腹すいてたんだもん。。。」

「大根、全部食べたんだ。。。」

「うん。よく沁みてて美味しかったから、食べちゃった。」

 

 

1年以上ぶりのまともな会話。

 

ドキドキしながら平気なふりをして会話を続けた。

 

「もー、私も大根食べるの、楽しみにしてたのにぃ。」

 

へたな芝居。

 

なんかくすぐったい、変な空気が流れた。

 

ニッカは黙って席に着いた。

 

私は、

「もー」

とまた言って、私の分だけのぶりをお皿に盛った。