珠子ミッドナイトストーリー -2ページ目

珠子ミッドナイトストーリー

夜寝る前に少しだけ物語を読む。。。
そんな感覚でゆるーいショートストーリーを書いています。

日常で起こる出来事を、主人公が料理を作りながらつらつら考えています。

今日は、お看取りの方がいらっしゃったので、仕事が立て込んだ。

 

もうすぐ10時。

 

娘のニッカが塾から帰ってくるのに、なにも出来ていない。

 

 

とりあえず、ビールを開けて、立ち飲みする。

 

疲れた身体をアルコールでごまかして、お味噌汁を作った。

 

あとは、ネギと豚を炒めるだけでいいや。。。。

 

 

もう、疲れて、それ以上はできない。

 

 

豚バラとネギを、塩と胡椒だけで炒める。

 

にんにくも、しょうゆも使わず、がっつりと塩コショウを入れるのだ。

 

 

ネギの甘さと豚肉の甘さにピリッとした胡椒が利いていて、本当に美味しい。。。

 

 

私の母も、今日お看取りした方と同じくらいの歳だ。

「そういえば、お母さん、一人で何食べてるんだろう?」

 

気になったけど、10時すぎているし、電話を遠慮してしまう。

 

ラインしても、見てくれないだろう。

 

こうやって、いつも母に不義理をしている。

 

今週末は、(優太と過ごしたいけど)母を誘って温泉に出かけよう。

 

いつも、母の存在を忘れてしまいがちな自分を、申し訳なく思った。

 

ぼんやり考えながら、ネギ豚をつまみにビールを飲んでいたら、

気が付けば半分近く食べてしまっていた。

 

仕方がないので、ニッカのために、冷凍のシュウマイをふかすことにした。

 

 

寒そうにしながらニッカが帰ってきた。

 

基本、私とは話さない姿勢のにっかだけど、

熱い湯気を立てるシュウマイと、大好物のネギ豚を見て、思わず

「わー!」

と歓声をあげてしまってから、気まずそうに一瞬私をみた。

 

心の中で笑った。