今出川ルヴォワール (講談社BOX)/講談社

2014年、13冊目。円居挽『今出川ルヴォワール』

「ルヴォワール」シリーズ3作目。

丸太町、烏丸ときて、今回は今出川です。

 

 

河原町今出川に存する大怨寺で発生した殺人事件の犯人として御堂達也が双龍会にかけられる。

突然のことに驚く龍樹家の面々に対し、達也は何も語らない。青龍師には城坂論語が立つが、黄龍師に立つのは天親雹平。

達也と似たタイプの龍師であり、証拠集めに隙はない。


大怨寺と達也との関係を調べるなかで、達也の復讐劇に辿り着いた瓶賀流や撫子は達也と流の母校である越天学園を訪ねる。

そこで流は達也の父でもある理事長御堂雷蔵を訪ね、事情を確認しようとするのだが、そこで達也の母本陣半と非常に良く似た女性に出会う。

女性は御堂辺理。辺理は達也の姉だと名乗るが、達也には姉はいなかったはず・・・。

越天学園を運営する宗教法人「鏡花の会」における異能者”はたたみ様”を辺理は務めるのだという。


雷蔵は大怨寺と達也の関係を物語った。

達也の復讐の発端となった大怨寺の権々会。

大怨寺が開催する博打の会、権々会で達也の祖父本陣茂が財産を失ったことが達也の復讐の大元。

本陣半の異能に目をつけた大怨寺が敢えて本陣茂を嵌めたのだ。

その後、本陣半は鏡花の会に身を寄せ、はたたみ様となったことで難を逃れたが、そこでの激務が半の命を縮めたと考えれた大怨寺は達也の仇と言えただろう。


その一方で、大怨寺を亡き者にしようという動きもあった。

大怨寺を取り仕切る天才常恩を嵌めた男は龕灯返しのジンを名乗り、その後の大怨寺を衰退に導いたものの、未だに正体は不明のまま。更に大怨寺も命脈を保ち続けた。


大怨寺の衰退後途絶えていた権々会の復活が企まれるなか、次々と大怨寺の高僧(七天狗)が襲撃されるのは、達也の仕業と考えても何もおかしくはない。


動機が満載となるなか、天親雹平の舌鋒は鋭い。達也の証言の矛盾をつき攻めるが、論語はいつものとおり飄々としたもの。

論語と達也の論により勝敗は決せず、火帝を務める黄昏卿は勝者に与えるとしていた権々会への出場権を龍樹家3枠、天親家1枠として付与することに決した。


権々会の種目は「鳳」というカードゲーム。

挑むのは龍樹家からは達也、論語、撫子。天親家からは雹平。

準備を進め、順当に初日は勝ち上がるのだが、最終日の決戦に残れる枠は4つ。


達也と論語との勝負は、実質的に論語が降りる。

一方、撫子は共闘を結んでいたはずの大怨寺の虚空坊に裏切られ、敗戦を喫する。

そして虚空坊は龕灯返しの後継者であることを告げ・・・。

また、突如乱入した天親家当主天親寅彦もまた、乱戦のなか最終日への切符を手に入れる。

そして最後の枠は、大怨寺を取り仕切る風天坊かと思いきや、大怨寺での監禁から逃亡して行方不明となっていた常恩が現れ、その座を攫ってしまった。


最終日を迎えるのは、達也、寅彦、龕灯返し、常恩の4人。

圧倒的な力を誇る3人の一方、いかさまのタネを見破られた達也の不利は必至だった。

そんな達也に流らのかけた声が響き・・・。

 

 

 

相変わらず、読みにくい話ではあるものの、だんだん慣れてもきました。

今回は達也の復讐の背景が語られます。

なぜか敵役であるはずの、達也の父親が飄々としていたり、意外な素性であったり、と脇筋のストーリーがなかなか楽しませてくれます。

本筋のところは「鳳」というゲームではあるものの、やや理解が難しく、なかなか入り込むことができません。

また、龕灯返しという存在も、なんだか余計な感じだし、今回の達也の仇役である大怨寺も今一つぱっとせず、肩透かしです。

よっぽど、天親寅彦の方が異彩を放っていて、圧倒的な存在感です。

 

このシリーズ、東西の通り名と南北の通り名が交代で来ていますから、次は南北の通り名でしょうか。

白川、東大路、河原町?

 




お奨め度:★★★☆☆

再読推奨:★★★☆☆