Gateg22013年、95冊目。柳内たくみ 『ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝弐 黒神の大祭典編』



外伝2作目。



富田とボーゼスの娘の生誕を祝う儀式にことよせた大祭典を巡って、ロゥリィの過去の因縁も合せて大騒動になるという話。








富田とボーゼスの娘、舞の生誕を祝う儀式”ナッシダ”がロゥリィ主宰のもと盛式で行われることが決まる。



その祭司には現存する亜神すべて(グランハム、モーター、ワレハルン、ジゼル)が招待されるという。



前代未聞のイベントに、アルヌスの地は沸き立つ。



伊丹耀司はこれを支援すべく、駐屯する自衛隊のトップ狭間陸将にも働きかけ、自衛隊も巻き込んだ大祭典を企画する。



伊丹の暴走を懸念した幹部らにより、このイベントの代表には海上自衛隊から派遣された江田島二等海佐が就く。



日本と切り離されたことにより、ボーゼスを戸籍上の妻とすることのできない富田とボーゼスの不安定な立場を慮り、大祭典では富田とボーゼスの結婚式も執り行われることとなる。



しかし、これにはロゥリィが動揺する。



ロゥリィには結婚に絡んで呪いがかかっているというのだ。



話はロゥリィがエムロイを祀るフェブロン神殿で見習いをやっていた頃に遡る。



ロゥリィの暮らしていたエデンの建国にまつわる秘剣を宿した友人ベルティ・エム・フォーンを救うべく、友人らとともに古の神ズフムートの神殿で執り行われようとした結婚式を阻止したという過去があったのだ。



ロゥリィが結婚式を挙行しようとすれば、おそらくズフムートによる何らかの呪いが発動するだろうという懸念だ。しかし、そのリスクも踏まえたうえで、ロゥリィはその呪いに立ち向かうことを決意する。



一方、帝都では、身分の卑しい男と駆け落ち同然となったボーゼスを勘当した父、パレスティ侯爵の怒りは解けていない。



ボーゼスから提案され、パレスティ侯爵家を潤している鸚鵡鳩通信事業を評価するに吝かではないが、それ以上にボーゼスの所業にあたってはエファン伯爵家との婚姻破談など各種の醜聞を得て、今やパレスティ公爵家は社交界からは爪弾きの状態になっていたのだ。



ゾルザルの失脚によりピニャの覚えめでたいボーゼスとの仲を修復することに実利はあったが、ボーゼスに阿るようでパレスティ侯爵の矜持がそれを許さなかったのだ。



しかし、ボーゼスの届けた驚くべき書簡の内容はパレスティ侯爵の心胆を寒からしめた。



皇帝ですら成し得ない亜神を勢ぞろいさせたナッシダなど、嫉妬を買うのは必定だからだ。



情報を秘するべくピニャに相談するパレスティ侯爵だったが、既に情報を得ていたピニャも同意見だった。



富田の身分の低さがパレスティ侯爵の結婚反対の原因の一つであることを理解したピニャは炎龍退治の功をもって富田らを叙勲し、貴族とすること告げる。



そのうえで、ピニャはアルヌスに出向くことを決めるが、亜神が揃うという前代未聞のナッシダのことが知れ渡れば、帝都からアルヌスに人が押し寄せることが十分想定され、ピニャとしても情報は秘するよう努める。



しかし、亜神の一人グランハムは帝都を訪ね、その秘密を市中で明かしてしまう。



懸念されたとおり、多くの人々がアルヌスに殺到しするが、そのなかには亜神となったばかりのメイベル・フォーンの姿があった。



ロゥリィがかつて救った友人ベルティの子孫であり、ズフムートの亜神となったメイベルは、ズフムートの呪いを成就すべく、アルヌスにやってきたのだ。



炎龍を倒したという勇者伊丹と戦いたいというグランハムの眷属ユエルを焚きつけ、見方に引き入れたメイベルは、始まった結婚式でロゥリィに異議をとなえる。



結婚に異議を申し出る勢力を糾合したメイベルは、ロゥリィ側との勝負を申し出る。



事態を大祭典のイベントとして消化すべく、江田島は勝負の方法に”自衛隊名物”棒倒しを選択させ、両陣営の棒倒しが始まった。



そして・・・。





”門”が閉じてからの外伝もこれで2冊目になりました。



前作はピニャが主人公でしたが、今作はロゥリィ。主にロゥリィの過去が比較的詳らかになる一巻です。



こうやって各キャラクターの一巻というのが続いていくのでしょうか。



少なくとも、今作のラストではテュカの父生存の観測が示されているので、次作はテュカをメインとした話となるであろうことは推測される。



今回は新たにジゼル以外の亜神たちが初登場したり、自衛隊でも艦船愛のオタク、江田島などの登場もあり、またしてもキャラクターが拡大していっている。



ここまでキャラクターが増えてくると、なかなかこのあと大変そうだ。



お薦め度:★★★☆☆



再読推奨:★☆☆☆☆