山川草木コンクリート悉有仏性 | BLACK VELVETS

BLACK VELVETS

火水(ホシ)の舞踏と祝祭の音

シンギングボウル と霊性に
身体から働きかけるワークを
やっています

子供の頃

花は花で

月は月だった

人々は微笑み合っていた

ある時

天地の轟きを聴いた

その日から

花は花ではなく

月は月ではなくなった

大地はもはや崩れ去り

心の奥から大きな慟哭が

この大きな不安はこの世界の何によっても

埋まることはないのが分かった

私が存在しているという事の不安が財によって

どう消えるというのだ

あの日からずっと

私は探し続けている

尽きることのない平安を

山河は既に冥し

花月は既に冥し

街の喧騒も既に冥し

お堂の神仏も既に冥し

今や朝露も私には輝かない

私は冥き谷底で怯える幼子のようだ

谷底のおののきを知ること無しに

我は強しとのたまうことの虚しさよ


何年もの放蕩の末に

全ての探求こそが苦悩の根源だと気づいた

心底私を悩ませた慟哭と共に

それと一つになり冥き谷底に座り続けた

ある年の春

ひとひらの桜が私の茶杯に舞い降りた

それ以来

私はもはやかつてのように怯えてはいない

山河は陽に輝き

花月は闇に輝き

街の喧騒さえ山々の沈黙を深くする

山川草木コンクリート悉有仏性