それでも、創業者が、どうしても譲れないものと、
新しいニーズに合わせて変えていかなくてはならないものと二つあると思う。
私は、和食とか洋食とか、いろんな食について、
まったくエキスパートではないし、調理師学校を出ているわけではないけど、
何が美味しくて何がイマイチなのか、舌は一般的な方だと思う。
(ゲテモノ好きではありません。)
13年くらい前、料理の鉄人ブームがあった頃は、
本来の和食や洋食、フレンチをそれぞれが混じりあった
ヌーベルシノワ的な、料理を作る料理人の店がもてはやされた。
でも、今は、①高級食材を使った有名な料理人の高級料理
または、②大衆の昔ながらの料理、③海外の現地から持ってきたそのままの料理
の3つに淘汰されたような気がする。
関東は①のお店と③のお店が多く、②のお店は昔ながらの商店街のみ。
そんな感じだから、今は、美味しければ必ずしもお店が繁盛する
というわけではない。
何か、そこでしか食べられないものが無いと飲食業は流行らない。
しかも、東京では、海外から持ってきた料理をその国出身の者だけが
客としてついているようなお店も多い。
ターゲットは、日本人では無かったりする。
それが良いのか悪いのかわからないけれど。
そうなってくると、日本の若者が、一端に調理師学校を出ても、
売れるお店にはなれないという事で。
大手の外食産業のアルバイト同然の下っ端の職人にはなれても、
こだわりのお店を出す個人のお店にはなかなかなれないし。
新しいものが好きな現代人の舌には、新しい味ばかりが求められ、
本当に昔は、飲食店は食いっぱぐれが無いからつぶれないと言われたものだが
なかなか商売は難しいだろうなと思うこの頃。
商売って、なかなか、勝算が無ければ、はじめられないし、
昔ながらの商店街や街の市場もどんどん廃れて寂れていって、
買い物は、大手のスーパーで一度に済ませなきゃならないくらい、
みんな忙しく日々を送っている。
そんな中で、京都の老舗の和菓子職人が、クリスマス限定和菓子を
作ってるとか聞いて、限定だからこそ、変化があってもいい。
でも、老舗の昔ながらの名のある菓子もきちんと作り続けている事が
素晴らしいと思う。
そんな風に、昔からコツコツ大事に守っていくこだわりの味と
変化していかなくてはいけないものとそのバランスを
受け継ぐ者がしっかりわかっていないと食文化は消えていくのだろうなと
いつも思う。