オブジェクタムーObjectum-
久々に小説を読んだのでその感想を書いていきます。オブジェクタムーObjectum-(高山羽根子)ある男性の少年時代の思い出と現在の男性がそれを振り返る構成の小説でした。少年時代の男性の町には誰が書いたとも知れない町内新聞が町中に掲示されていて、ひそかな話題になっていました。実はそれを書いていたのはその男性のおじいちゃん。少年時代の彼は町内新聞の発行に誰にもバレないように協力していた、という思い出を振り返りつつ、大人になった男性は町に里帰りしてきて当時の町内新聞発行に関わる場所である秘密を見つけた。文学小説が苦手なので読むのに時間がかかってしまいました。題名の”オブジェクタム”って何だろう、と気になってChatGPTに聞いてみたところ”基本的には、目に見える具体的な物や抽象的な対象のどちらも「objectum」と呼ぶことができます。”ということでした。私がこの小説を通して感じたことは、物事の一面はその時点での主観的なものでしかなく、全体像では決してないということをあらためて教えてくれる物語だったなということです。途中、おじいちゃんがボケて町内新聞は中止になったり紙袋に岩を持って町内を歩くおじいちゃんを見たりしてああ、もうあのころの聡明なおじいちゃんはいないんだなと思わせてからのお社の様子の描写に心が響きました。本の帯の中でいいな、と思った書評を引用します。”祖父の謎の壁新聞を糸口に、現実と表象、現在と過去、本物と偽物などのあわいを優れた筆致で往還する。(以下略)(日比嘉高名古屋大学教員)一番納得感のある書評で、私が気づけていなかった現実と表象の対比などについてさらっと書いていてすごいなと思いました。(上で引用した帯の書評は裏側でした…)