2020.3.14(土)の日記(14)アッター湖にて

昨日はLと遅い朝食をとり、食材の整理など簡単にアパートをかたづけ、一緒にLの車に乗りこんだ。フィットみたいな形、赤い色があせちゃってる。

 

地図を見てみると、ザルツブルクから北東方面へ。Lはアッター湖畔にあるDの両親の家に行こうとしている。MBSBの家は、そこから車で40分ほど北上したところにある。MBSBともうち合わせて、Lにはシェルフリングからアットナム・プッフハイムの駅まで送ってもらい、私はそこからさらに電車でリート・イム・インクライス駅まで乗り継ぐ。そして最後に、MBSBに車で迎えにきてもらうことになった。

 

しばらく走ると、どんどん山深い緑のなかへ。

 

高く険しい山と湖の集まるザルツカンマーグート。山に抱かれる幸せ。ぱっと視界が開けたら谷、水。オーストリア随一の風光明媚。

 

右手のほうへ大きくなが〜いカーブを下りながらL、「見て、モント湖!きれいでしょう!」

 

小雨が降ってきた。

 

さらに走り、Lはアッター湖近くの駅のそばに車を停めた。Dの生家はこの町にある。

 

あたりはひっそりしていた。季節外れの避暑地によそから足を運ぶ人はほとんどいないのだろう。

 

水際のカフェに入る。

 

コーヒーを飲みながら窓から湖を見渡す。クリムトの話などする。恋人と毎年夏をここで過ごしたというのは100年ほど前か。近くに美術館もある。

 

21歳、アメリカで大学寮の壁にKISSの大きなポスターを貼っていた頃を思い出す。去年はベートーベンフリーズをウィーンで見た。

 

あんなエネルギーを近くに置いてた私って…?

 

そもそも、こんな美しい自然を愛した、同じ人物の作品だなんて…

 

印象派か?湖の風景画は穏やかでかぐわしい波動を放つ。

 

車にもどる途中、足元の湖水をのぞきこむ。雨の中、波打っている。白くてごつごつした湖底が奥まで透けて見えた。

 

 

・アッター湖(2020年3月 SB) 

・クリムトの風景画の絵はがき

      (2020年6月 Lより)