手元に残したい本 その3
「野村萬斎写真集」


初めて狂言を観に行った時に買った本。
ちょっと思い入れのある本です。

人生初の狂言体験は、高校の頃の芸術鑑賞会。
学校に狂言師の方々がいらして、体育館で演じて下さいました。
どなたが来て下さったのか全く覚えていませんが(無礼をお許し下さい)、和泉流の方だったと思います。
とっても面白くて楽しくて、何百年も前の方々も同じように笑っていたのかな、と不思議な感覚になったことは覚えています。

それから10年以上経って、TVで当時ときめく某狂言師さんの狂言を拝見したのですが、これが全然面白くなくて。
高校生の時に見た狂言の楽しさと全く違うので、あれ?おかしいな、と。
同じ和泉流なのに何故こんなに違うのか、と思うほどでした。

しばらくして、野村萬斎師のお父様でいらっしゃる野村万作師の一門の方々が地元で公演されると知り。
和泉流は面白いのかどうか、不遜ながら真偽のほどを確かめに行きました。

結果は、本当に面白くて楽しかった!
最初に観た芸術鑑賞会と同じように笑いました。
あのTVでのつまらなさは一体何だったんだろうかと思うくらい別物でした。
あまりの楽しさに、観劇の記念になるものが欲しいと思い、購入したのがこの本です。

実はこの本、売り場でパラパラと見た時に一目惚れしてしまった写真があるんです。
それは、菖蒲の肩衣!
1999年当時の凛々しく格好いい野村萬斎師の写真も沢山ありますが、生成りと藍のシンプルな色合いでありながら大胆にデザインされた菖蒲はとても華やかで迫力があり、一目で心を射抜かれてしまいました。
菖蒲のために買ったと言っても過言ではない本です。

この経験から、地元での狂言の公演にはなるべく行くようになりました。
(今は体調如何で難しいですが…)
土地柄でしょうか、和泉流の方々がいらっしゃるのが多いです。
狂言には型があり、皆さん同じになさっているはずなのに、何かが違います。
同じことをやっていても出てくる違いを 個性 というのでしょうね。
いずれ機会があれば、狂言についてもお話できればと思います。


それでは、また。