私にとっての安定剤
不思議なもので
学生時代のダブルスの相棒
彼女との付き合いは
もう30年以上になるのだけれど
2人でバドミントンに
燃えていたのは高校時代の
僅か3年間だけだったけれど
卒業してからも
この付き合いは続いている
私はずっと
バドミントンに携わり
私の一人娘も今現在も
バドミントンを続けているが
彼女は社会人になり結婚し
娘を産んでから少し復帰したり
子供たちも部活に入って
頑張っている時期もあったけれど
結局辞めてしまって
今はバドミントンとは
無縁の生活である
でも私はやっぱり
時々彼女と
見えない糸で結ばれている
運命のようなものを
感じる時がある
私が行き詰まる時
必ず彼女から
何かしらの音沙汰がある
『今は辛くてしんどい』と
私は自分から彼女に
弱音を吐く事は
一切無いのだけれど
彼女が連絡を寄越す時は
必ず精神的に参っている時で
『たまには明るい話題を伝えたいのよ』
といつも言うけれど
いつもしんどそうで
いつもこの世の終わりの
ような気持ちになって
私に助けを求めてくる
この関係はおそらく
学生時代から変わっていない
よりによって
私が立ち止まっている
しんどい時期に
その知らせは必ずやってくる
遠く離れていても
やっぱり
似たもの同士なのかもしれない
自分も行き詰まっているのに
偉そうに
自分ができもしないことを
アドバイスする
実際他人には
言えるのだから不思議
それができれば
私もこんなに悩まない
でも彼女は一方的に
自分の言葉を語り
私の現在の様子を聞くこともなく
興味を持つこともなく
ただただ今の自分を脱出する術を
私に求めてくる
私の話を聞くと
落ち着くのだそうだ
昔から変わっていない
たまには
私の不安も聞いて欲しい…とは
私は思わない
昔からそんな風に
思った事はない
それはまた私にとっては
彼女ではないのだろう
青木さんであり
馬場くんであり
私の安定剤は
彼女ではないのだろう
20200621
yobiko