結婚式前夜
もうネタのテーマは決まったのか？
ああ、カンペキだ
大阪に着くまでこのタイツ姿で
経験した事をネタにする
まあ、そうなるわな
とんでもない目に遭った2人
というよりも
自ら進んで
そういう目に遭ってきたと
言い直した方が
良いだろう
ヒロツのテーマに乗せて
洗いざらいぶちまけてやるそうだ
ネタの内容は本番まで聞いていない
不安要素といえば
たそがれが人前でネタをやるのは
今回初めてだ
尚且つこの男のトークは
昔からつまらん、
オチが無いのだ
だがしかし
たそがれの十八番である
左斜め45度に構え
眩しくもないのに
哀しそうな顔で
目を細めて宙を見上げる姿は
その、壮絶なる殴り合いによる
苦悶の表情と相まって
独特な雰囲気がしてきた
まるで現在、たそがれの
置かれた立場と状況が
自虐の王ヒロツ
の佇まいと
完全にリンクしているのだ
エヴァンゲリオンさながら
シンクロ率は本家のヒロツを
凌駕し、もはやビッグウェーブの
兆候が現れてきた
行けるかもしれん！
極度の緊張感から解放された
その会場を包む
熱気を含んだ圧縮された空気は
リクトです・・・
待ちに待った最終公演における
その喋り出しのフレーズに対する
観客の反応は凄まじかった
ホンモノを越えた？
そのように錯覚を覚えるくらいの
観客の反応なのである
熊本と福岡の県境の言葉は
独特な訛り方があり
その話口調はヒロツの話し方
そのまんまである
付け焼き刃のモノマネとは違う。
その言葉の一言一句が
ごくごく自然であり
ヒロツがもしこのような話をしたらと
想定できる部分が
今回のライブでは
吉と出たのだ
もちろん、たそがれは
単純に地元の言葉で話したに
過ぎないが
大阪府民からすると
ヒロツとの高度なリンク
を想定してしまい
笑いの都の人々は
たそがれのモノマネは
技巧派、上手すぎて
本家を越えるような面白さと
インパクト、悲壮感
すべてを含み
パーフェクトな
話し方だったと後日談が残る
いよいよ
伝説のトークライブの
開幕
観客の笑いのリズムは
完全に我らがチームが
ジャックした。
ボルテージは最高潮
期待は膨張
しっぱなしである
もはや箸が転んだだけでも
面白い。笑いたくて笑いたくて
チャンスを伺っているかのようだった
ところで
「ヒロツです……」
の自虐ネタで大ブレイクしたのは
2003年～2008年頃。
絶頂期は月収1000万、
多いときは4000万にも上ったという。
地元の英雄ヒロツはその当時
テレビに出まくっており
自虐と言えばヒロツ
これにあやかり
ヒロツネタを
オマージュしたたそがれは
本名：永山リクト
「リクトです・・・」
自虐ネタを展開したいという
タロはこの男のテーマ曲を
探しだすのが大変だった、
たそがれの言いっぱなしは
毎度のことだったので
ミュージックストアに
何件もハシゴして
目当ての曲を見つけ出す
当日は打ち合わせの時、
式場係にCDを渡し
音楽を流すタイミングを決めていた
殴り合いが
完了し
試合後のインタビューが
終わるや否や
間髪入れずに曲を流してくれ
そのように伝えておいた
司会から次の出し物の
フリを受けるとMCタロは
呼吸困難になりつつも
出ない声を出し切り
昭和歌謡の司会の如く
アクの強い鼻にかかった
口調で続ける
ご歓談中の皆様
えー
づづきまして
みなさまに
ご紹介させていただく
4番目の余興になりますが
はるばる
九州の火の国熊本より
天下の台所、大阪に
やってまいりましたのは
性はナガヤマ
名はリクト
(どよめき笑う会場)
そんな彼の渾身のネタを
みなさまお聞きください
＃56 BIGWAVE
ペピーノ・ガリアルディ
リクトです。。。
次は何をやりだすのか？
観客は前のめりになり
たそがれの一言一句を
真剣に受け止めようとする
訛りのきついヒロツの自虐ネタと
たそがれの生き様がリンクする
リクトです・・
九州から大阪まで、
この姿で
やってきたのですがー
未だにその意味が分かっていません
リクトです・・・
この時点だけで
会場が爆笑にかられる
このアホ2人は九州から本当に
やってきたのだという事を
会場で明らかにされる事で
クソ度胸の
おバカ具合を認知されたのだ
リクトです・・・
駅員には追いかけ回され・・・
警官には職務質問されるわ・・
どうしてこういう流れになったのか
わけがわかりません
・・・・リクトです
割れんばかりの喝采が
リクトを祝福する。
たそがれは、
この時痛みで
半分泣いていた。
大きな声で、
苦しそうな声で
まるで悲劇のヒロインの如くである
単純な話、大阪府民がその
リクトの話し方を初めて聞くと
完全にヒロツのモノマネも完璧で
オリジナルな全身タイツのトークも
織り込まれた、
完成されたネタとしての
認識があったのかもしれない
そうなってしまったら
リクトのネタは
その一言一言が
完全なる計算されたネタとして
一流のネタだと大阪府民は認識する
リクトです
そう発するたびに
うまい、似てる、面白いと
既に笑ってもらえる環境は
もうすでに整っているのだ
ほんの10秒前まで熾烈な戦いを
した2人が、会場をドン引きさせるほど
口から出血をするほどに殴り合った
2人が、今度はネタで勝負するという
洗濯物。
上げて下げて
また上げて
そのジェットコースターのような
展開にもはや会場の人達は
乗せられるしかない
もはや、笑って笑い転げるしか
選択肢は無いのだろう
確かな手ごえたえを
感じたたそがれは、
４５度に構え直し、そのナルシストな
構え方から何故か眩しそうに天を
見上げて、こう語り出した
リクトです・・・
満員電車にも関わらず・・
周りが自分を避けるようにして
変な目で睨むとです
リクトです・・・
新婦さんが笑いを堪えキレず
爆笑している、そんな新婦の隣で
満足げに仲間のオンステージを
見守る十三、とても楽しそうだ
困った顔をしながら
会場をしたから睨みつけるように
ソッポを向くような仕草を見せ
更に、半分哀しそうな顔をして
語り出すリクト
リクトです・・・
博多駅で子連れのお母さんに
話しかけたら大声を出されて
近寄るなと言われたとです
リクトです・・・
立ちあがり拍手をするもの
大笑いで腹を抱えるを
リアルにやっているおっちゃん達
会心の一撃
偉大なる伝説
悲痛な叫びと共に
ロンリネスウルフのリクトは
観客に訴える如く
会場を見据えてこう叫んだ！
リクトです！！
口の中がキレて
まともに話す事が
できません！
もう、会場は
熱気どころではない
グラグラ揺れだすアタマ
いよいよ来るのか
ビッグウェーブ
リクトです・・・
ビジネスホテルの朝食ではー
浴衣姿はダメだと入場を
断られたので
この姿で食べに行きました。
ホテルマンが
絶句してたとです
リクトです・・
リクトです・・・
・・・リクトです。
その時、たそがれの背中より
後光が差したような気がする
産まれてきて31年にして
初めてここまで人を笑わせた事は
これからもこれから先も
無いのだろう
BIGWAVEが起きる
会場が揺れた
高校卒業の時もしかり
俺ら3人のうちで２度もビッグウェーブを
経験したのは本人だけだ
笑いの神様、いやさ
地獄の貧乏神が彼に降臨したのだ
ひっくり返る会場
そして、笑い転げる新郎新婦
してやったりの
タロとリクト
笑いの神様が
降臨した。
もやは、たそがれは
本番に弱い男の
イメージを払しょくし
最高のエンターテナーとして
皆に認められ
多くの観客より
激励とお礼の言葉を賜った
とうとう一皮
向けよったねたそがれ
ポコ〇ンは
小学校３年でむけてたのにさ
がっはっは！！
もうええわ！！！！！
BIGWAVE発動
全身タイツ男
そして伝説へ
つづく