『個を超えた、そして個を含みこむ(私の魂)の光の群がりに向けて、一匹の蛍として自分も光りながら飛んでゆく。』
大江健三郎『火をめぐらす鳥』より
主人公が若い頃に巡り合った「鶯」という詩の解釈と、(私の魂)についてのお話。
主人公の「私」は若い頃に涙が溢れるほど胸を揺るがす詩に出会い、その意味を自分の人生に重ね見る。が、後に識者の解説を知りどうやら自分は誤読していたのかもしれないとショックを受けてしまいます。ですが、あるいは、もしかしたら。同じ思いをしたいつかどこかの「君」に宛てられた短編小説です。
個人的には、その作品から生まれた気持ちや衝動はそれ自体が尊いものだと思うのです。それに「鶯」という漢字の成り立ちから魂の灯火を重ねて詩に壮大な画を見出だす、その発想が天才的ですよね。なので、もしかしたらそういう意図もあって書かれた詩なのかもしれませんよね。
現代文学ではあまり見かけない詩的な文体で、とても綺麗でした。
今回作ったのは4層の野菜のテリーヌ、うぐいす豆のお浸し、うぐいす菜のコンソメ煮。
テリーヌは一層ずつ別の野菜にして、重ねて一つのテリーヌになるようまとめてみました。