矢田津世子『凍雲』より
想い合っていた、結ばれる筈だった二人の悲しい恋の物語……の噂話。矢田津世子先生の出身地である秋田を舞台にした作品です。
幸せそうな二人が家の問題から離縁し、悲劇に至る。始めの方では溢れんばかりに愛情を描いていたのに、凶行中の地の文に感情の描写が無いのがそら恐ろしいです。「仙太は剃刀を思い出した。」から俯瞰の視点に切り替わって、ただ凶行が描写される。
ですが、何より恐いのはこれらが全て噂話ということだと思うのです。事実として挙がっているのは、仙太に仙一という子供がいることと、お高の顔に傷があることだけなのですよね。
今回作ったのは雷魚の唐揚げ、なめこおろし、漬物ののの字巻きです。