『大根ひく手もとにそよぐ山おろし』



加舎白雄『加舎白雄全集・上巻』より



大根の収穫期、畑の葉を揺らす山おろし。冬の畑仕事の厳しさと同時に清廉な空気を感じる不思議な一句です。まず大根を引く手もとに視線が行き、そこへ戦ぐ山おろしから山の遠景を連想する。五七五でパノラマを描き出すのですから凄いですよね。「戦ぐ」を漢字にしているのも収穫の苦労を物語っているように感じます(これに関しては江戸時代の方なので当時は漢字で書くのが当たり前だったのだと言われればそうなのかとしか言えないのですけども)。加舎白雄先生は他にも大根引きの句を残しておられるのですが、いくつかの中でもこちらが好きだなあと思うのです。




今回作ったのはうえだ緑大根のはさみ焼き、美味おいだれ、緑大根の塩漬け、緑大根の甘酢漬け。

美味おいだれ、がんばって再現してみました。近くはなっていると思います。たぶん。




先日緑大根を購入しまして、折角なので上田出身の方の作品で何か作ろうと思い立ち、大根ならばこの句があったということで今回の更新と相成りました。

時代考証の観点から言えばこの句は緑大根ではあり得ないのですが、土地のものの組み合わせという事で多めに見ていただけると幸いです。